シェイクスピアの喜劇は多くの役者に見せ場がある
今年の8年生卒業演劇『空騒ぎ』を観た。去年の『十二夜』に続くシェイクスピアのどたばた喜劇、21人での上演。この作品は序盤がめちゃくちゃ難しい(掛詞だらけの長台詞が続く)んだけど、動きが出始める中盤からは圧巻の出来だった。
役者の人数が多いシェイクスピアの喜劇は、台詞の物量が多い主役級の役者以外にも、しっかり見せ場が用意されていて、個性的なクラス全員で演じるにはとても向いている。
見事な歌声をソロで響かせるバルサザー。
怒髪天を突く黒幕ドン・ジョン。ふてぶてしいボラチオ。
剣をぶんぶん振り回してクローディオに迫るアントーニオ。
「侍女」マーガレットとアーシュラも、それぞれ印象強いワンシーンを持つ。
裏シーンとも言える警吏ドグベリー・ヴァージズと夜警メンバーとのやりとり。(去年観た『ハムレット』の墓掘りのシーンも同じく面白いシーンだった)
「ちょい役」と見せかけて、一点集中でシーンの完成度を極端に上げられるのが、出番が少ない役のいいところかもしれない。キラリ輝くシーンが続くと、観客も「おっ」となる。
娘のクラスは20人を越えて、徐々にどの子にも思い入れが強くなってくる。どの子のシーンもじっくり観たい。それぞれの子がどんな役をどんな風に作り込んでいくのか、今から楽しみでならない。
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ちなみに、演劇を見終わった後はすぐに原作を買って読むのが保護者の楽しみでもあり、今回もKindle版で福田恒存さんの旧訳を、書籍版で河合祥一郎さんの新訳を買った(表記的に今回の上演は河合新訳のほうだろう)。ハムレットも2冊、十二夜は英語原文と訳を並記してある『双書』版含め3冊。エンデの『サーカス物語』もあり、年とともに演劇関連書籍がどんどん増えていく。
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