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スーパー山田屋のPayPay導入で、京田辺のスーパー勢力図は変わるか

これまで現金払いオンリーだった、京田辺のスーパー山田屋が、この10月、ついにPayPay払いに対応するらしい。ソースは店頭。(夕方買い出しに寄ったらレジ前にPOPが貼ってあった。まだネット上で誰も言及していない)

京田辺の住人にとって、これは事件である。

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JR京田辺駅と、近鉄新田辺駅の間には、特徴のちがうスーパーが2つ並んでいる。地場の「スーパー山田屋」と、滋賀の大型チェーン「アルプラザ/平和堂(通称アルプラ)」だ。

さきにアルプラの紹介をしておくと、1957年・彦根にて創業、滋賀県を中心に総合スーパー「平和堂」151店舗を展開する、京滋地域の核となるチェーン店だ。ほんとに滋賀ではどこを向いても平和堂があると言われる(滋賀県民の方の補足をお待ちします)。

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京田辺のアルプラザは、3階建ての1階半面ぐらいが食品エリア。広くて、品揃え豊富。グランドキリン IPAはこのへんだとアルプラにしかないし、食品各種けっこう凝った商品を並べている。値段はふつうか、全体的にちょい高め。優等生的な存在だ。

レジのレーンは10列ぐらい、セルフレジも6台あって、とにかくでかい。そしてクレジットカード払いに対応。

食品フロアの周りにはフードコートとパン屋さん、お寿司屋さん。2階に衣料、3階に文房具と百均。アルプラに来るとだいたい何でもそろう。アルプラがあるから、京田辺の民は便利に暮らしていけるのだ。


そして、スーパー山田屋

城陽市発祥で京都府南部に5店舗を展開するスーパー山田屋は、たまにB品もあるけどとにかく安くて買い物が楽しいお店。とくに地場の青果と日配、精肉が強い印象。店頭には旬の果物と野菜が並び、この季節は特大の「めちゃうまい」藤稔(ぶどう)が1000円で出ていたり、少し前は2個パックの桃が¥298, ¥498, ¥698と綺麗にランク違いで並んでいたりした(金額感合ってたかな…)。お肉は「牛匠かぐら」の良い和牛と、3パック1000円で質の揃った豚肩ロース切り落とし、毎日投げ売り状態の鶏ももと豚切り落とし(≒小間切れ)が鉄板。(鮮魚は、まあ、海から遠い町だからね。。)

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品揃えは、ちゃんと一通り揃ってるから大丈夫だけど、いわゆる「ちょっと珍しいやつ」を入れる代わりに、スタンダードなやつに敢えて絞って揃えましたという割り切り。食品の売場サイズはたぶんアルプラの半分ぐらい。でもだいたい揃う。

価格帯はチラシみて。

で、

とにかく安さが売りの地場中小スーパーだから、現金払いに絞っているのもうなずける。入金サイクルの遅いクレジットカード払いやっちゃうとキャッシュフローが回らないのではないか(想像です)。ちょっと不便だけど、まあ安いし、レジは速いし、個人的にはそんなに気にならない。

昨年秋、寺岡精工のセミセルフレジが入って、劇的に流れがよくなった。セミセルフとは、商品のスキャン通すまでをチェッカー【レジ係の人】がやって、精算機だけ分かれている形式。2人のチェッカーに3台の精算機が配備されている。通常レジに比べてセミセルフがいかに革命的かっていうのは下の動画を見て欲しいんだけど、これは改めて書きたいし業界人の解説を読みたい。(オオゼキ高井戸店も富士通のセミセルフだった)(子どもが遊んじゃうフルセルフよりも速いらしい)


そんな現金オンリーの山田屋だが、2019年10月、消費増税に伴うキャッシュレス・ポイント還元事業のあおりで、ついにキャッシュレスへと舵を切ることにしたようだ。この政策については全然知らなかったのだけど、上記リンク先(PayPayのLPです)によると、

2019年10月から9か月間、キャッシュレス決済をした消費者に最大5%が還元される国の補助金事業です。

とある。つまり多くの消費者が、この期間、キャッシュレス対応していないお店で買うのを避ける可能性が高いので、競合に客を取られないためには、何らかのキャッシュレス決済対応をしないとまずいっていうこと。

そこで、山田屋の対応が、PayPayだけ対応するっていう潔さ。
これは面白い。

キャッシュレス対応というと、SquareとかAirレジのような複数の決済方法が選べる端末機器を導入しないといけないイメージだけど、PayPayは「専用機器は一切必要ありません」とあり、お客がお店のバーコードを読み取る「ユーザースキャン方式」なら、QRコードを貼っておくだけでOKなのだそう。(セミセルフ精算とQR決済をどう両立させるのかは実際見てみたい。寺岡はこのへんのソリューション持ってると思うけど)

↓店舗の導入事情に詳しいブログ記事がこちら


QRコード決済といえばPayPayとLINE Payの二大巨頭だけど、LINE Payは標準の入金サイクルが月末締めの翌月末払いとめちゃくちゃ遅いので、それがかなりネックになっていると思う(これを何かのnote記事で読んで知って以来、私はずっと使っていたLINE Payのショートカットを削除して完全にPayPay利用に乗り換えた)。

PayPayの入金サイクルは、最速で翌々日。そのくらいならキャッシュフローへの影響が軽微で済みそうだ。

うちテレビなくてCMを見ないので、PayPayのキャンペーンもいまいち身近に感じなかったんだけど、巷ではかなり地盤整備が進んでいるようだ。京田辺の中心部でも、コンビニはもちろん、普通の飲食店や美容室、各種店舗にも導入が広がっている。

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こうして、現金払いだけだった山田屋がキャッシュレスに対応すると、「現金払いめんどくさいからカードで払えるアルプラに行こー」という理由で山田屋を避けていた客(うちののことだ……)が、財布を持たずに山田屋に移ってくる可能性が十分ある。

国の政策に引っ張られる形で、「競合に負けないために仕方なくキャッシュレス導入する」中小企業が、逆に強い競争力を持つことになる。これは政策的には予期せぬ波及効果かもしれないけど、現金ベースで高い付加価値を提供し続けてきた地場企業の底力と、知名度No1で大資本のPayPayが、徹底的なコストリーダーシップ戦略で「面」を取りに行く動きとが噛み合った結果だと思う。

おそらく、いろんな提供事業者の思惑が絡み合う本政策には色々な歪みがあるとは思うけれど、日本社会が一気にキャッシュレスに動いていくのか、そうもいかないのか、山田屋で日々買い物をしながら注視していきたいと思う。10月を待たずに、自分もPayPayで払える時は基本全部PayPayで払うスタイルにしてみるつもりだ。


▼キャッシュレス・QRコード決済に関するおすすめnote

▼参考記事


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