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わかりやすい現場の成果目標から、仕事の意味を逆算する

『提示されないビジョンを模索する方法』の続き。

いま、とある学術系webサイトの設計をしている。いろいろ難しいのだけれど、きょうの担当部門(広報じゃない実務の)の1時間ヒアリングは、最初の2分で霧が晴れた。「(webサイトの)目的は、イベント集客です」という明快な回答があったからだ。

ここで言うイベントは、講演会とかセミナーの類いなのだが、イベントというのはターゲットターゲットに撮って欲しい行動(=参加申し込み)が自動的にはっきりするので、情報がとても組み立てやすい。イベントのねらい、どんな人に来て欲しいのか、どんな情報があれば参加したくなるのか。具体的に考えられる。

仮にそのイベント企画がかなり見当違いだったとしても、一人ぐらい興味を持つ人はいるだろう。その1人のことを徹底的に考えるというアプローチが取れる。

そしてここから、ビジネスや事業全体のコミュニケーション方針を逆算していくことができる。

なぜそのイベントを(組織のコストをかけて)やるのかなぜそのイベントに来る人がいるのかを掘り下げると、主催が最終的に成し遂げたいことにたどり着くはずだ。

ビジネスセミナーなら、製品やサービスの契約が成果目標になるが、そこからさらに「製品やサービスの提供価値、なぜその事業をやっているのか」まで遡れる。非営利の活動なら社会課題解決に、学術系の活動は「知の探究・社会還元」といったキーワードが絡む。この辺りを、「そもそも」側から落としていくととても抽象的になるが、イベントという、生身の人間が動く現場から考えると、具体性を失わずに済みそうだ。

この目標が「知ってもらう」にとどまると、弱い

イベントは、たとえ無料のイベントでも、参加側が「行く」「時間を割く」というコストを払うし、参加した結果なんらかの行動変容を引き起こす。一方、情報が溢れ切っている世の中で、情報を読む・見る・知るという行為はとても受動的で、コストがかからない。そして、引っかからない。働きかけた先の行動が変わらない限り、逆算して考える余地がない。

web制作の企画は、どうしても「知ってもらう」「伝える」「表現する」で思考停止しやすい。大切なのは行動変容だ。ターゲットの行動にはたらきかける現場は、どこにあるだろうか。その現場を大事にして、思考を積み上げていきたい。

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