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化学や言語について語っていきたい

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最近の記事

化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第九回「めっき液・めっき皮膜の評価・解析法―めっき液の評価・分析法第一回―」

1.はじめに お久しぶりです、Hazaculaです。今回は、めっき液の分析評価法についてお話ししましょう。めっきは、皮膜の物性も重要ですが、めっき液が扱いやすくないとお話になりません。また、めっき液の研究開発においてはめっき液の内容成分の分析も必要です。では実際、どのような分析評価法があるのでしょうか? 液分析法はそれこそ片手どころか両手の指を総動員しても間に合わない数がありますが、実際にめっき液の分析に使われるのはそのごく一部です。見ていってみましょう。 2.めっき液の各

    • 化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第八回「めっき液・めっき皮膜の評価・解析法―めっき皮膜の評価法第二回―」

      1.はじめに お久しぶりです、Hazaculaです。気づいたら前回投稿から1か月以上たってしまいました……。今回は接触抵抗、摺動性、はんだ接合信頼性、ワイヤボンディング接合信頼性についてご説明しましょう。 2.接触抵抗 電子部品のうち、特にコネクタ類は金属同士の接触で電流を流します。そのため、接触箇所の抵抗が小さいことが必要です。この接触抵抗の評価を行うのが接触抵抗測定となります。その測定は、プローブと呼ばれる接点をめっき表面に特定の荷重で接触させて、抵抗値を測定することで

      • 化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第七回「めっき液・めっき皮膜の評価・解析法―めっき皮膜の評価法第一回―」

        1.はじめに   お久しぶりです、Hazaculaです。今回から、大体3回ぐらいですかね? かけてめっき液およびめっき皮膜の評価、解析手法について解説していきたいと思います。  めっきというのは、当たり前ですがなんらかの機能を付与することを目的に行われます。である以上、実際にめっきされた皮膜が所望の機能、性能を満たしているか評価する必要があります。では実際に、どのような評価法があるのでしょうか? 今回は、私Hazaculaが知っている限りのめっき皮膜の性能評価法についてお教え

        • 知らぬが仏の環境問題-環境問題は嘘ではない-

          今日、とんでもないツイートを見つけた。これである↓ https://twitter.com/_HATORI_/status/1364490200739536909 いや正確には、リプライや引用rtの方が問題である。酸性雨で木が枯れる枯れないの真偽は今はどうでもいい。このツイートについているリプライや引用rtの内容を要約すると「環境問題なんて嘘ばかり。酸性雨もダイオキシンも、今じゃ誰も話題にしない」 はっきりと言っておく。環境問題は嘘でも陰謀でもない。まぎれもない現実である

        化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第九回「めっき液・めっき皮膜の評価・解析法―めっき液の評価・分析法第一回―」

        • 化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第八回「めっき液・めっき皮膜の評価・解析法―めっき皮膜の評価法第二回―」

        • 化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第七回「めっき液・めっき皮膜の評価・解析法―めっき皮膜の評価法第一回―」

        • 知らぬが仏の環境問題-環境問題は嘘ではない-

          研究者・技術者のためのラテン語入門-in vitro,ab initioについて-

          1.はじめに お久しぶりです、Hazaculaです。今日は趣向を変えてラテン語のお話をしましょう。  ラテン語とは、古代ローマ帝国の公用語であり、英語とは比較にならないほどの複雑さを有する言語であり、現代でも学術用語を始め日常のあちこちに進出している非常に影響力の高い言語です。欧州では言うに及ばず、日本でも学術系の論文はもちろん、英語を経由して日常的に使う外来語にも入っていますし、ゲームやアニメ作品でも多用されており、その影響力のデカさがよく分かると思います。正直筆者は、古代

          研究者・技術者のためのラテン語入門-in vitro,ab initioについて-

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第六回「めっき液の研究開発の進め方」

          1.はじめに お久しぶりです、Hazaculaです。今日はめっき液の研究開発の進め方についてお話ししようと思います。  これまでの五回のめっき記事で、めっき薬品がどのような物なのかはおおよそお分かりいただけたことと思います。では、そのめっき液の設計や開発は、実際どのように進めているのでしょうか? どこの大学でも、理工系学部で化学あるいは応用化学、生命化学などを教えているところであれば、有機化学や無機化学については教えていることでしょう。しかし、大学でめっき液について教えている

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第六回「めっき液の研究開発の進め方」

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第五回「添加剤の反応機構基礎-2 その他の添加剤の役割」

          1.はじめにお久しぶりです、Hazaculaです。前回は添加剤の内、光沢剤の種類と作用機序についてご紹介しました。今回は、その他の添加剤をご紹介しましょう。とはいえ、光沢剤以外の添加剤となると、これはほとんど各論になってしまいます。そこで、今回は添加剤をいくつかのタイプに分けて、それぞれの役割を解説することとしましょう。 2.添加剤の種類 めっき皮膜に求められる性能は光沢性以外にも多様なものがあります。簡単に以下に挙げてみましょう。    硬度    純度    内部応力

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第五回「添加剤の反応機構基礎-2 その他の添加剤の役割」

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第四回「添加剤の反応機構基礎-1 光沢剤について」

          1.はじめに お久しぶりです、Hazaculaです。前回は電解めっきと無電解めっき、それぞれの特徴を解説しました。今回は、めっき皮膜の性能を特徴づけるスパイスである添加剤、その基礎についてお教えいたしましょう。とはいえ、この添加剤についてはまさしく各めっき薬品メーカーのトップシークレットであり、私自身口外できない成分を数多く知っています。そのためそれらの情報には触れられませんが(いろいろヤバいし、そういう秘密保持義務違反は技術士を目指す筆者としてもできない)、今回は調べればど

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第四回「添加剤の反応機構基礎-1 光沢剤について」

          私の公害防止管理者試験勉強法

          1.はじめに 先日令和2年度の公害防止管理者の合格発表がありましたね。皆さんはどうでしたでしょうか? 私は、昨年の水質一種に引き続き大気一種に無事一発合格しました。  しかし、世の中には何度も受験してようやく合格するという方もいます。公害防止管理者試験は、勉強法さえ間違えなければ一発で十分合格可能な試験です。そこで本記事では、効率的かつ効果的な公害防止管理者試験の勉強法をまとめてご紹介しようと思っております。 2.参考書選びの重要性―電話帳は捨てよ!-  最初に気を付けなけ

          私の公害防止管理者試験勉強法

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第三回「それぞれのめっき法の特徴」

          0.はじめに さて、前回まででめっき技術の基本、電解めっき、無電解めっき(還元型、置換型)についてその原理を説明しました。では、これらはどのようにして使われているのでしょうか? わざわざこれだけめっきの種類があるということは、それだけ必要な理由があるということです。それぞれの特徴を見ていきましょう。  なお、前回の最後に「次回は添加剤の機構について解説する」と予告していましたが、先にそれぞれの特徴について解説した方がいいと考え、今回予定を変更してお送りしています。申し訳ありま

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ 第三回「それぞれのめっき法の特徴」

          大学化学復習シリーズ  なるべく分かり易く解説するつもりの有機化学反応概説 第一回「求核置換反応」

          0.はじめに どうもお久しぶりです。Hazaculaです。今回は、大学で学ぶ有機化学反応を概説するシリーズをお送りしていきたいと思います。  私がこのシリーズを書こうと思い立ったのは、会社での後輩との会話が切っ掛けです。私はめっき薬品メーカーで働いているのですが、化学系の人が集まる業種であるにも関わらず、有機化学が分かる人というのが非常に少ないのです。有機化学が分からない人に話を聞いてみると、「どの結合が切れやすいのか、あるいは切れにくいのか? という点が分からない」というこ

          大学化学復習シリーズ  なるべく分かり易く解説するつもりの有機化学反応概説 第一回「求核置換反応」

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ  第二回「無電解めっき基礎」

          1.無電解めっきについて  皆さんお久しぶりです、Hazaculaです。第二回の今回は、無電解めっきについて、その概要を説明しようと思います。  無電解めっきは、電解めっきと対になる重要な技術であり、この技術が無ければ今皆さんが使っているパソコンもスマートフォンも存在しないと言っても過言ではないでしょう。ただし、無電解めっきは専門家ですら誤解していることの多い、理解が難しい技術でもあります。本稿ではそれらの誤解を解きつつ、無電解めっき技術について分かり易く解説していこうと思い

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ  第二回「無電解めっき基礎」

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ  第一回「めっき技術概観と電解めっき」

          1.はじめに 皆さんはじめまして、Hazaculaと申します。本記事は、一般にはほとんど知られていない「めっき」という技術について、化学の観点から解説するシリーズです。  めっきというと、本性が現れるというような意味の「めっきが剥げる」という慣用句が有名であり、なんとなく見た目を取り繕うといった悪いイメージが付き纏います。しかし、めっきという技術は今や、現代文明を維持するのに必要不可欠な技術となっています。  本記事は、めっき薬品メーカー勤務約10年(1回転職経験)の筆者が、

          化学の観点から解説する現代めっき技術シリーズ  第一回「めっき技術概観と電解めっき」