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【連載小説】第四部 #4「あっとほーむ ~幸せに続く道~」戸惑い


前回のお話(#3)はこちら

前回のお話:

レイカが選んだ二曲目は、かつての孝太郎をイメージして作られた「ファミリー」だった。しかし今の孝太郎が心動かされることはなかった。彼はもうあらゆる困難を乗り越えてここにいると気づいた。孝太郎は、この曲が息子・翼との思い出の曲だと話す路教みちたかに救われたことに改めて感謝する。
一方、庸平もまた姉であるレイカのライブ会場にいた。彼は姉のファンが未だに多いことに感服しプロ意識の高さを痛感するも、孝太郎を超えるプロはいないという結論に至る。そして、孝太郎には一般人ではなくスーパーヒーローで居続けて欲しいから憤っているのだと気づく。そんなタイミングで孝太郎の姿を見つけた庸平は彼の後をつけるが、マンションのオートロックに阻まれてしまう。諦めかけたそのとき、運よく同マンションの住人、詩乃に出くわす。
詩乃は庸平を部屋に招き入れ、孝太郎の考えには反対なのだ告げた。聞けば庸平同様、孝太郎の才能は野球界の未来のためにも活かすべきだとの考えからだった。嬉しくなった庸平が一緒に野球人の育成をしないかと誘うと、詩乃は快く引き受けたのだった。

8.<悠斗>


 今日の孝太郎さんは機嫌がいいらしく、昼から一杯引っかけようとおれたち全員を自宅マンションに招待した。彼は、買い出しに行くと言ったニイニイを制し、冷蔵庫を開けるよう指示した。中にはビール瓶が何本も冷やしてあった。

「野上クンがいつ来てもいいように、これだけは準備してあるんだ」

「……やっぱりあの日のこと、根に持ってません?」

「僕は楽しく飲みたいだけなんだが……。そんなにビールかけを体験したいなら大津クンに頼んで店を貸し切りにしてもらおうか?」

「いいえ……! せっかくのビールがもったいないんで、やめときます……!」

 二人の間で『あの日のこと』と言えば、ニイニイが孝太郎さんの目を覚まさせるために、酔った勢いでビールをぶっかけた出来事を指す。もう何年も前の話だし、孝太郎さん自身はまったく気にしていない様子だが、ニイニイはビールと聞くとそのことを思い出すらしい。

 ニイニイはビール瓶を取り出して栓を抜くと、食器棚から適当なグラスを出してつぎ始めた。それを見た翼が慣れた手つきでスマホから軽食のデリバリーを頼み始める。彼らに諸々のことを任せたおれは、まなと一緒にソファに腰を下ろした。

 何度かここへ遊びに来ているまなは誰よりも落ち着いている様子だ。そのうちにソファから降りて室内を歩き始めたかと思うと、孝太郎さんがまなのためにと買ってくれたおもちゃのピアノで遊び始めた。

 独身男性の家に幼児用のピアノが置いてあるなんて、事情を知らない人が見たらびっくりするに違いないが、それだけ孝太郎さんにとってまなの存在が特別であることを物語っている。まながピアノで遊び始めたのを知ると、孝太郎さんは満面の笑みを浮かべた。

「……そうだ、翼クン。一つ歌ってくれないか。麗華さんの歌を。どれでもいい。もう一度聴きたくなった」

 彼の言葉に、まなを除く全員が目を丸くする。

「歌うのは構わないけど今日は俺、ギターを持ってきてないぜ?」

「ギターはないが、そこに……おもちゃだがピアノがある。それで弾き語りすればいいだろう?」

「マジかよっ……!」
 翼は一度頭を抱えたが、うろうろしながらブツブツ言い、指を動かし始めた。やがて「じゃあ『ファミリー』で」と言うとおもちゃのピアノの前に座った。

 翼は鍵盤の上で指を動かしながら、レイカに負けない美声で朗々と歌う。一同の視線が彼に集中し、部屋はつかの間コンサート会場と化した。

 弾き語りを終えた翼は「こんなちっちゃなピアノで弾ける俺ってすごくね?」と自画自賛した。本人が言うまでもなく、おれたちは彼を褒め称えるべく拍手を送った。

 すると突然、まなが不安げな表情をしてめぐにしがみつき、大声で泣きはじめた。

「あれ……。俺がピアノを取っちゃったからかな……。まな、ごめんよ。もう弾いていいよ」

 翼は困惑しながらおもちゃのピアノを明け渡したが、まなが泣き止む様子はない。自分が抱っこして泣き止ませようと手を差し出すも、めぐに拒まれる。なぜ泣いているのか、めぐには分かっているようだ。翼はうなだれながらおれの隣に座った。

「こういう時、母親には敵わないなぁって思うよ。ああ、もどかしい……」

「しかたがないさ。多くの子どもにとって母親のそばは、世界中の誰よりも安心できる場所だからな。お前だって、めぐの隣が一番落ち着くだろう?」

「それ、そっくりそのまま返してやるよ」

 やがて頼んでいた食事が届きランチタイムが始まると、まなも落ち着きを取り戻してサンドイッチを食べ始めた。酒が入り、気分が良くなった大人たちは、そのうちにまなが泣いたことさえ忘れてしまっていた。

 家に戻ると、まな自身もすっかりいつもの調子を取り戻し、笑顔になっていた。

「おかえり、まなちゃん」
 留守番をしていたオバアと、その世話をしてくれた彰博に出迎えられる。二人は同じように目を細め、まなの相手をし始めた。

「留守番、ご苦労様。助かったよ」

 彰博に礼を言ったおれは、家族の脇を抜けて自室に向かった。最近は、心臓の負担を避けるためにも時間があれば休むように心がけている。家族もそれが分かっているので、居間から去る姿を見ても引き留めることはない。

 ところが、布団に寝転がると、少しだけ開いていたドアから誰かが入ってきた。まなだった。

「どうした、一緒に遊ぶか?」
 横になったばかりだったが、起き上がってまなを呼ぶ。まなは笑顔でおれの胸に飛び込んできた。

「おとーたん。だいちゅき!」

「…………!」

 あまりにも突然のことに声を失った。おれは夢を見ているのだろうか……。それとも酔っているだけなのか……。一度、自分の頬を叩く。それから目の前にいる子の瞳をのぞき込む。

「まな、今、おれのこと……?」

「おとーたん。まなたん、わかる?」

 夢でも幻でもない。確かにまなは「お父さん」と言った。のぞき返す瞳の奥に写るおれが、どういうわけか実年齢より若く見える。

「ああ……。分かるよ……。まなは……ここにいるのは間違いなくおれの娘の愛菜まなだ。そう言いたいんだろう?」

「ん!」
 返事をしたまなは、おれの言葉のすべてを理解しているようだった。

「……ってことは、まなには記憶があるのか。過去の、おれとの記憶が……?」

 にわかには信じられなかった。再びこの世に生を受けるときは過去の記憶がリセットされてしまう、と愛菜自身から聞いていたからだ。しかし過去の記憶を持ったまま生まれてきたのが事実なら、神様も粋な計らいをしてくれたものだ。

「……愛菜はおれとの思い出を作りに来たのか? それとも野上まなとして生き直そうとしているのか?」

 まなは首をかしげただけだった。それよりも遊ぼう、と言いたげな様子で服の裾をつかみ、部屋の外に引っ張り出そうする。

 過去の記憶を持っているらしいまな。しかしそうと分かったあとであっても、目の前にいる子どもを亡き娘としてみることができなかった。おれを遊びに誘っているこの子は紛れもなく翼とめぐの子、二歳になったばかりの「野上まな」なのだ。そしておれは、その野上まなのもう一人の父親として二年間生きてきたのだ。

 亡き娘とこの世で再会できたらさぞかし嬉しい気持ちになるんだろうと思っていた。なのに、この胸のざわめきはなんだ……? この落ち着かない感じはなんだ……?

 戸惑うおれを余所よそに、まなは必死に遊びにいざなう。

「よぉーし。鬼ごっこしよう。お父さんが鬼だ。行くぞー、待てー!」
 おれは出来るだけ明るい声で、笑顔を作って鬼を演じた。混乱の渦に飲み込まれないように。


9.<めぐ>


 まなと鬼ごっこをしていた悠くんは、廊下を二往復したところで翼くんと交代した。途中からはパパこと「アキじい」も加わり、賑やかな鬼ごっこが続いている。

「……どうやらまなは、亡き娘の生まれ変わりらしい」

 私の隣に腰を下ろした悠くんが、賑やかな声にかぶせるように言った。反射的に声を発しかけたが、唇に人差し指を当てられたので、く気持ちをぐっと抑えつける。

「……もしかして、何かしゃべったの?」
 なんとか冷静さを保ったまま小声で言うと、悠くんもささやくように耳打ちする。

「さっきおれの部屋で『おとーさん、だいすき』って言ったんだ。それだけじゃない。まなは数少ない言葉を駆使して、自分がおれの娘の愛菜だってことを伝えようとしているみたいだった」

「……じゃあやっぱり、木乃香が言ってたことは本当だったんだ」

 先日彼女が、もうすぐ話せるようになると神様が言っている、と神社の神木の前で言っていたのを思い出す。

 翼くんがレイカの曲を弾いたあのときも、何かを訴えたくて泣いているんだろうと思ったが、やはり……。

「よかったね、悠くん。愛菜ちゃんとの再会が叶って」

 娘の中に前世の記憶が残っていると聞いてちょっと複雑な気持ちにはなったものの、それを望んでいた悠くんにとっては朗報だろうと思ってそう言った。

「ああ……」
 が、彼の反応はいまいちだった。

「……嬉しくないの?」

「もちろん嬉しいよ。……なぁ、あとで春日部神社に行かないか? しゃべったことを神様に報告しておきたいんだ」

 そう言った言葉に力はなかった。が、わたし自身も神様にはお礼が言いたいと思っていたので同意する。木乃香の言うようにまなが神様の申し子なら、今度はもっとはっきりとした変化が見られるかもしれないとの思いも少なからずあった。

「何をこそこそ話し合ってんだよ。俺をのけ者にするなんて百年早いぜ?」
 ささやきあっていると、まなを捕まえたらしい翼くんがやってきた。彼は大あくびするまなの背中をトントン叩き、昼寝に導いている。

「……まなが悠くんのことを『おとーさん』って呼んだって」

 わたしが耳打ちをすると、彼は「……そっか。悠斗には、しゃべったのか……」と、言って複雑な表情を浮かべた。

「あとで春日部神社にお礼参りに行こうと思ってるんだけど、翼くんも行く?」

「もちろん、行くさ。まなが急にしゃべったのが神様の仕業なら、ちゃんと礼は言っとかないとな」

「神様の仕業、か……」
 ぽつりと呟いた悠くんの表情は物憂げだった。

 日が傾くのを待って、わたしたち四人は春日部神社に赴いた。夕日を浴びる新緑が目にまぶしい。オレンジ色の木漏れ日がまるで神の降臨を物語っているようにも見えた。

 本殿に向かうと、神社の宮司である木乃香のお母さんが立っていて、わたしたちを見るなり会釈した。

「お待ちしておりました」

 誰も驚かなかった。以前にも、わたしたちがここに来ると事前に知っていたことがあったからだ。神様からの知らせを受けてのことなら、なぜ訪れたのかも知っているのかもしれない。

「娘さんのことですね? とうとう言葉を発したのでしょう?」
 案の定、木乃香のお母さんは事情を知っていた。

「はい。それもこれも神社ここの神様のおかげです。ありがとうございました」

 先日、木乃香とここへ来た際の出来事を頭に思い浮かべながら言ったわたしに対し、木乃香のお母さんは首を横に振る。

「いいえ。ご神木さまは決まっていた未来を伝えただけです。実際に言葉を発するに至ったのは、その子自身が強く願ったがゆえのこと」

 木乃香のお母さんはわたしに歩み寄ると、腕に抱くまなの頭にそっと手を載せた。そして何かを受信するかのように目をつぶる。木乃香のお母さんは、しばらくそうしたあとで再び口を開く。

「……鈴宮さんの命を救った魂は、再び父親と話すことを強く望んでいるようです。しかし、本来ならば消えてしまうはずの記憶を残して欲しいと神に頼み、対価として言葉を封じられていたようですね。……鈴宮さんの命を救った魂は問いかけています。このまま、たどたどしい発話しかできなくても過去の記憶を残すことを願うか、過去の記憶を失う代わりに他の子と同様に話せるようになることを望むか……」

「それは本当に愛菜が……おれの亡き娘が望んでいることなんでしょうか……? おれが、、、そのどちらかを選ばなければいけないんでしょうか……?」
 悠くんは不安げに言った。木乃香のお母さんは優しく声をかける。

「時間がかかってもいい。どちらを選んでもあなたの決定に従うと、この子は言っています。この子の未来を決めるのは他でもない、あなたなのです」

「…………」

「大変な重責を負ったと思われるかもしれませんね。ですが、亡くなった娘さんに会ったら何を話したいと思っていたのか、もう一度よく考えてみてください。答えはそこにあるはずです」

 悠くんは答えなかった。わたしも翼くんも文字通り言葉を失った。ただのお礼参りのつもりが思いがけない方向に話が進んでしまったことに、わたしたち全員が戸惑っている。

 ――愛菜ちゃんとの再会を待ち望んでいた悠くんだもの。遠慮などせず、亡き娘さんとの思い出を語り合えばいいじゃない!

 善人ぶったことを言う自分がいる一方、別のわたしは冷静な口調で言う。

 ――悠くんは、今はこの子のもう一人の父親でしょ? だったら、この子の未来のためにも過去にすがるのはやめて、現実を見て。

 翼くんの意見はきっと後者だろう。わたしの本音も一緒だ。が、即決できないらしい悠くんを前にして、自分の考えを伝える気にはなれなかった。黙するわたしたちに木乃香のお母さんが言う。

「焦る必要はありません。時が満ちれば、自ずと最善の道へと導かれるはずです。それでも、不安になったり迷ったりしたときはここを訪れて下さい。私はいつでもあなた方を待っています」


10.<翼>


 まなが悠斗の亡き娘さんの生まれ変わりだったらいいな、と思いつつも、やっぱりまなは俺とめぐちゃんの遺伝子を持つ唯一無二の存在なのだと、心のどこかで確信してもいた。だから実際、不思議な因果によってそれが現実に起きたのだと聞かされて困惑しないはずがなかった。

 だけどそれは悠斗も同じらしいと知って余計に戸惑っている。三人の中で彼が一番それを望んでいたはずなのに、今の彼はまるで俺と出会って間もない頃のような青白い顔をしているからだ。高野さんに言われたことが余程ショックだったのだろうか。

 世の中には知らない方が幸せなこともあると言うが、今回はそれを実感している。三人とも、だ。無邪気なまなのように、目の前の出来事を素直に喜べたらどれほど幸せだったろうか……。

 家に帰る道すがら、おとーたん、おとーたんと言いながら歩くまなとは対照的に、ひと言も発しない俺たち。まるで立場が逆転したみたいだった。

「三人してどうしたの? 神社に行ってきたにしては、ずいぶん暗い顔をしているようだけど……」

 できるだけ明るい顔で家に帰ろうと示し合わせたにもかかわらず、祖母と留守番をしていたアキ兄は俺たちの異変に気づいてしまったようだ。しかし、どう説明していいかも分からずに俺たちは黙りこくった。

 悠斗の亡き娘、愛菜ちゃんを巡る諸々の話は三人だけの秘密にしてある。俺自身は、ことのすべてを打ち明けても構わないと思っているが、仮に一から話すとなれば膨大な時間が必要になるだろう。

「いや、なんでもない。……ちょっと疲れただけだ。悪い、部屋で休ませてもらうよ」

 当の悠斗は説明を避け、逃げるように自室にこもってしまった。めぐちゃんも気まずい空気に耐えられなくなったのか「まな、おむつ替えよう」といって部屋を出て行った。

「……ま、とにかく食事の支度だ。腹が減っては戦はできぬって言うしな」
 せめて俺だけは普段通りを心がけようと、台所へ向かいかける。そのとき、アキ兄に呼び止められた。

「翼くんの耳に入れておきたいことがある。おばあちゃんのことで」

「えっ、なになに……?」
 深刻そうなアキ兄の顔を見て嫌な予感がした。不安を悟られないように返事をしたつもりだったが、声に表れていたのか、彼は小さく頷いた。

「……おばあちゃんの食欲が失せている。いろいろ工夫したけど食べたくないらしい。普段のおしゃべりも今日は控えめだった。……ここ最近の様子はどうだったか、教えてもらえるかな」

「…………」
 言われてみれば、ここ数日の食事は普段よりも少ない量で満足しているようだった。とはいえ元気そうに見えていたし、あまり気にしていなかったのだが……。

 そのことを告げるとアキ兄は腕を組んで唸った。
「……お医者さんに診てもらおう。僕らでは正しい判断ができない」

「それって……」

 死、と言う言葉がよぎる。だがアキ兄は明言を避けるように「今はまだ答えを出す時じゃない」と厳しい顔つきで言うだけだった。

「めぐちゃんや悠斗には……?」
 別室にいる彼らにも伝えるべきかどうか打診する。

「二人はおばあちゃんのこととなると感傷的になりやすい。やはり医者に診せてから伝えた方がいいと思う」
 アキ兄は表情を崩さずに言った。

「仕事の調整がつきそうなら、連休明けにでも病院に連れて行くよ。休めなければ兄貴に頼んでみる。翼くんたちは、詳しいことが分かるまでは普段通りの生活を。おばあちゃんの食事については本人に聞きながら用意してあげて」

「分かった……」

「……今日は自宅に戻るつもりだったけど、泊まっていこうかな。君たちも君たちで何やら問題を抱えているようだし、僕が残った方が何かと都合が良さそうだ」

 アキ兄はそういうと、俺の返事も待たずに自宅に電話をかけ始めた。そこへめぐちゃんがまなと一緒に戻ってきた。

「……アキ兄、今日は泊まってくって。俺たちのことが心配らしい」
 俺は慎重に言葉を選んで伝えた。めぐちゃんは表情を曇らせる。

「……パパにまなのこと、話したの?」

「まなのことは関係ない。そうじゃなくて……悠斗の様子からマズい空気を察したみたいだ。悠斗は介護の頑張りすぎで倒れたことがあるし、アキ兄なりに気を遣ってくれてるんだと思う」

「なるほど……。悠くん、大丈夫かなぁ……」

「心配は心配だけど、こればっかりは悠斗の問題だ。俺たちは見守るしかないよ」

 うわさ話をしても彼が部屋から出てくる気配はない。家に着くまでずっと「おとーたん」と繰り返していたまなも、帰宅後からは口をつぐんだっきり。まるで、悠斗の前でしか話さないぞ、と決めているかのようだ。

 俺はきょとんとしているまなの目をのぞき込み、心の内で言う。

(まな……。前世での父親が悠斗なのは分かる。だからって、悠斗の決定ならどんなことでも受け容れる、でいいのかよ……? それ以前に今のお前の親は俺たちだぜ? 俺たちの気持ちは全無視って、あんまりじゃねえの?)

 我が子とはいえ、また幼子とはいえ、少し腹が立った。いや、腹を立てるべきは「まな」ではなく「愛菜ちゃん」だってことは分かってる。悠斗の気持ちを考えると一方的に怒れないことも……。俺は行き場のない怒りにえるしかなかった。


続きはこちら(#5)から読めます

※見出し画像は、生成AIで作成したものを使用しています。

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