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散文【栄養ドリンク】419文字


「残業おつかれさまです。これ、よかったらどうぞ」


そう言って彼が差し入れてくれたのは栄養ドリンク。

でもぼくに足りないのは栄養じゃない。

栄養は足りないどころか、余ってぜい肉になっているくらいだ。

彼の親切をムダにしたくないので、笑顔で「ありがとう」と言って受け取った。


そしていつものクセで成分をチェックした。


損得勘定ゼロ

勝ち負けゼロ

シナジー5%


ぼくの目は輝いた。

彼が差し入れてくれたのは、ぼくが本当にほっしている心の栄養だった。

よく見ると「死にそうな心の疲れに!!」と書いてある。

シナジー5%は大きい。

シナジーとはつまり相乗効果。

お互いの弱点をさらけ出し、長所を活かし合うことで生まれる。

けん制し合うような関係ではなく、お互い腹を割った良い人間関係の中でしか生まれない。



たまたま目に留まったどこにでも売っている栄養ドリンクでこんな妄想をしてしまうとは、ぼくはいつもにも増して疲れているのかもしれない。


さあ、もう一仕事・・・・・・踏ん張ろうか。


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