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SS【不老不死の霊薬】

名も無い薬師が死ぬ間際に完成させた薬。


薬師はガラスの小瓶に入れられたその液体のことを、息子にこう説明してから息を引き取った。



「生きたい者には希望を与えるが、生きたくない者には猛毒になるだろう」




薬師の息子はとても繊細な性格で人生に悩んでいた。



自分は何のために生きてきるのか。


生きる意味も価値も見いだせない。



そんなことを考えるようになり、父親の死後、自分もあとを追うように猛毒を飲んで自殺を図った。


父親が最後に作った猛毒を飲んで。


死を願った息子は毒が効いたのか、意に反して誰よりも長生きした。



薬師の父親が作ったのは不老不死の霊薬だった。 




ある日、息子はもう死にたいとは思わなくなった。


父が薬を作ったように、自分も誰かのために生きたいと。



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