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140字小説【走り幅跳び】

私は若い頃、走り幅跳びの選手だった。渡し守に船賃を渡し川を渡ったが、向こう岸から戻ってこいという家族の声がする。姿は見えないし、渡し守も首を横に振った。そもそも人の跳べる距離ではない。でも軽くなった今なら跳べる気がした。私は失敗した時のことなど考えない……ただ三途の川を跳ぶだけ。

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