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hibi_milk
SS【代行屋との再会】524文字
高校生の時、クラスメイトの雑用を百円で引き受ける男がいた。
宿題や買い物の代行。
それに復讐代行。ターゲットの物を隠したり悪い噂を流したりして嫌がらせをする。
そんな彼と十年ぶりに街で再会した。当時のぼくはいじめっ子だった。
彼との仲は可もなく不可もなくといった感じで、愛想のいい彼に気を良くしたぼくは、懐かしさも手伝って二人で飲みに出かけた。
彼は下戸らしく、帰りは車で家まで送ってくれるという。
彼は車に乗りこむと、水をたくさん飲んでおけば二日酔いが軽くなると言って、ミネラルウォーターの入ったペットボトルをぼくによこした。
ぼくはミネラルウォーターを一気飲みした。
そして車に揺られながら彼が百円でクラスメイトの雑用を受けていた時の話を振った。
彼はこう言った。
「ああ、あれか。実は今でもやってるよ。百円じゃもう動かないけどね。今日は君にいじめられていた子から依頼を受けてきたんだ。きっと君の訃報を心待ちにしているよ。ぼくも大金を受け取れるから君には感謝している」
彼が話し終わる頃には身体の自由がまったく効かなくなっていた。
そのうち意識がもうろうとしてきた。
「み、水に毒を混ぜたのか?」
間も無くぼくの視界は暗闇に包まれ、そのまま二度と光が射すことはなかった。
終
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