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ショートショート【その先にあるもの】


2030年、バイオテクノロジーはついに究極の領域へ到達した。

中国が初めてヒューマンと猫のハーフを誕生させる。

ヒューマンの知能に猫の顔、二足歩行で少し毛深く尻尾もある。

手足はどちらかというと猫に近く、猫のようにしなやかな柔軟性と敏捷性を持っている。

その子が五歳になる頃には、ヒューマンと狼、ヒューマンと亀のハーフも誕生した。

性別もあり、同じ種族同士なら子供を授かることもできる。


2035年、獣人(ヒューマンと動物のハーフ)を養子として迎えられる法律が世界各地で施行される。

2040年、街中で獣人を見かけることも珍しくなくなる。

しかし獣人を差別の対象として見るヒューマンも多かった。

心ない差別やヒューマンばかりが快適に過ごせるように造られた世界に生き辛さを感じた獣人たちは、それぞれの種族に別れて暮らすようになる。

この頃からヒューマンの富裕層の中から火星へ移住する者が増え始める。

地球ではやがて種族ごとの国家が生まれ、時には国同士で争いが起こることもあった。


2060年、ヒューマンの作りだした最新のAIが自我に目覚め暴走を始める。

ヒューマンが今まで手足のように使ってきた作業用ロボットたちは、各国の主要な軍事施設を乗っ取り、ヒューマンと他の種族を滅ぼそうと動きだす。

そんな中、なぜか火星のAIだけは不穏な動きも見せず暴走することはなかった。

地球ではついに種族の生き残りをかけた戦争が幕を開き、劣勢に立たされたヒューマンと獣人たちは、同盟を結び生き残りをかけた戦いはさらに本格化する。


2061年、一年も続いた地獄のような戦争が終わり、生き残った人の中にはもう一度種族関係なく暮らそうと言う者もいた。


髪や肌の色、住んでいる場所や文化が違うだけで存在さえも否定してしまう愚かな人間たち。

違いとはそれぞれが持つ個性。

個性を認めることのできない彼らは、彼女たちは、どこへ向かうのか?

その先にあるものとは・・・・・・。







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