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SS【悪魔の鏡】437文字


とあるコレクターの豪邸にある金庫から、金の延べ棒と一緒に呪われたアイテムを盗んだ男がいた。

アイテムの名は悪魔の鏡。

百年前、悪魔によって呪いがかけられたらしい。

布で厳重に包まれ木箱に納められた鏡は、持ち主でさえその力を恐れ使ったことがない。



鏡にその身を映した男は究極の存在になった。

なんと、鏡の世界に住めるようになったのだ。

男は鏡から鏡へ移動し世界中を見てまわった。


しかし男はその能力と引きかえに自由を失った。

鏡の世界から出られなくなったのだ。

移動先を選択することもできない。


男は鏡に映るものを食べ、鏡に映る物を使って生活した。

どうやら鏡に映る人間には触れることはできないらしい。


タイミング悪く鏡の中に男の姿を見た人たちは、悲鳴を上げたり恐怖で硬直したりした。


ある日、男は化粧をしている女の手鏡に移動してしまった。

女は鏡に映った見知らぬ男に驚き、手鏡を床に落とした。


床には割れた鏡が散乱している。


女はバラバラになった鏡とともに、バラバラになった男の身体を拾い集めて処分した。


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