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〜 エルフの贈り物 vol.2 〜



物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 エルフの贈り物 〜

天気も良く、空は澄み渡り、たまに河川敷から聞こえてくる楽しそうな笑い声に心も踊る、これぞBBQ日和!
そんな上機嫌な日のはずなのだが、一人顔が強張っているやつがいる
そいつの視線の先には、先輩がいる
大学に入って、俺は軽音楽部へ入った
友達に誘われるがまま軽い気持ちで入ったものの、同じ年くらいの人達がオリジナルバンドを組み練習する姿に、俺は一瞬で射抜かれた
今まで熱心に物事に取り組んだことがなかった俺だったが、毎日練習して、毎日先輩と話をして自分に出来ることがあれば何でも吸収していたのだった
今日は、交流のある大学4校で大きなBBQイベントをしている
·
肉を堪能し、次に食べられそうな肉を射程距離に入れ、狙っている俺の隣に来たのは、あいつだった
どこか緊張しているように見えるあいつは、耳打ちを要求するなり
『私、今日先輩に告白する事にした!』
直球に言われたその言葉で、自分がこの子が好きだった事に突然気付かされた
しかしそんな素振りも見せず俺は、彼女と向き合った
『あー、前から気になってた人って先輩の事だったんだ?』
『うん、いつも話聞いてくれててありがとう!私BBQのお肉と共に言っちゃう!』
『例えが全く分かんねーけど、勢い付けて言うってことか?頑張れよ!あっ、その肉俺の!!』
そう言いながら隣のコンロへ俺は移動してしまった
どこかショックを受ける気持ちを俺は肉と共に飲み込んでいく
ここ2ヶ月くらい恋話を聞かされていた俺は、いつしか健気で真っ直ぐに好きでいるあの子に惹かれていたらしい
『何で気付いてしまったんだ、くそっ』
あの子と先輩は仲も良く何度かみんなで遊びに出かける事もしていた
あの子は、素直だし可愛いし告白すればきっと付き合うことになるだろう
自分の気持ちを知った瞬間に振られるって、宝くじに当たったと思ったらドッキリでしたってくらいショックかもしれない
ふと、あの子を探すと先輩と食器を持って洗い場に行くのが目に入った
お肉が焼ける音と楽しく会話する仲間の声が、急に遠くなる気がしていた
·
ぼんやりオレンジ色に染まる空を見上げながら片付けは進んでいく
一通り片付けも終えた頃、2次会へ行く人と帰る人に分かれ始めた
俺はもちろん帰宅組
賑やかな笑い声を後に俺は、とぼとぼと歩き始めていた
『待って!一緒に帰っていい?!』
振り返ると、また俺の隣を目掛けて歩いて来る姿が見えた
あの子の隣には誰もいない
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会話をすることもなく、ゆっくり堤防を歩く
何も言わず何も声をかけず、ゆっくり陽が沈むのを見ながらしばらく歩いていたのだが、俺は耐えきれなくなって君に声をかけた
『今度、一緒にカラオケでもいこっか?』
『・・・ぐすん。ぐすぐす。・・・うん』
『うん。いこう』
陽が見えなくなると暗くなるのが早くなる
俺達は堤防を降り、明るい駅の方へと足を向けた
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