〜 はんこを作ってもらうの巻 〜

物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪

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〜 はんこを作ってもらうの巻 〜

メイクよし！髪型よし！洋服よし！
笑顔もよし！！
完璧だと思う私だが、何度も鏡を見ては決めポーズを作る
今日は片思い中のあの人とのデートだもの、気合の入れようがいつもと違う
失敗したくない気持ちと、いつもの感じでいたい気持ちが相まってなかなか決まらない
そうこうしているうちに時間を見れば、もう出ていく時間を指している
急いでバッグに携帯を詰め込み玄関へと向かう
『いってくるね！』
『帰り遅いの？』
『うん！』
忙しなくバタバタと、私は実家を飛び出す
普段一人暮らしの私は、週末だけ実家へ帰る
親孝行と言ったら大袈裟かもしれないが、父が亡くなってからは出来るだけ一緒にいるようにしているのだ
とか言いつつ今日は遊びに出掛けるので、お母さんごめん！と心で謝りながら走り出すのだった
·
待ち合わせ場所に付くなり私は身だしなみを整える
軽く息を吐き、携帯のメッセージを送る
そわそわしている私は、キョロキョロと周りを見てしまう
あの人の服装可愛いな、あの髪型もいいなぁ、などつい研究してがちな私は、隣に彼が来た事も気が付かずにいた
『何をそんなに真剣に見てるの？』
『うえぇ！？』
隣にしれっと立つ彼に驚いた私は、後ろへ軽く仰け反る
『いやいや、驚き方が芸人だわ』
『だって、ビックリするじゃん！言ってよ！』
『真剣に人間観察してたみたいだから、静かにしてようかと思って』
『恥ずかしい』
『そう？俺もよくするからいいんじゃない？とりあえず飯行く？』
くくく。と笑いを堪えながら話す彼は、無邪気で可愛い
いや、そんな事より、掴みはオッケー！ってやつなのではないか？と、どこか前向きな私は、彼の後ろを付いていく
『何食べたい？』
『私、何でも食べれるよ！』
『んー。イタリアンは？』
『いいね！どこ行くの？』
『どっか知ってる？』
お互いスケジュールを組まない性格のようで、お昼は近くで見つけたイタリアンへと入ることにした
·
秋も深まる11月の初め頃、たまたま共通の友達がいたことから、紹介してもらったのがきっかけ
いつもは友達4人で遊ぶ事が多いのだが、映画を観る話から、今日は2人だけで遊ぼうという事に
観たいアニメの映画が一緒だったので、会話も弾む
最近はアニメが好きな人も多く昔よりは話しやすくなった印象だ
好きな物が似ている事もあり、私は次第に彼に惹かれていくのを実感する
今日がどれだけ楽しみだったかは、言うまでもない
お昼を食べ終えた私達は、ゆっくり歩き出す
『映画16時からだし、それまでどうする？』
『えーっと。決めてなかった』
『ま、その辺見て回ろっか』
ウィンドウショッピングを楽しみながら、私のドキドキも上がってくる
気になる人と歩くだけでドキドキするのに、服や雑貨なんて見る余裕はない
ドキドキが止まらない私は、何とかバレないように取り繕いながら会話を楽しんだ
もちろん心臓の音が大きすぎて、耳にも入ってこないのだが
·
一通り遊び尽くした私達は、星空光る空の下、高層ビルの夜景スポットへとやって来ていた
冬の空気は澄んでいてキレイに見える
相変わらずドキドキが止まらない私は、彼の隣でにこやかに話をする
『今日楽しかった！ありがとう』
『俺も。ありがとう』
しばらくゆったりした空気が流れ静かな時を過ごす
次に口を開いたのは彼だった
『今日ほんとに楽しかった？何かいつもと違った気がしたから』
『え？そんな事ない』
『それならいいけど』
やばい。違和感だったんだ
『や、違うくて、その、えっと緊張してて、ごめん』
『はは。なんで？いつもと一緒でいいのに』
あぁ。私のバカ。どうしようと思いつつも別れの時間は迫ってくる
帰ろうか。の声を聞きながら私は少し残念そうに頷く
駅の改札まで送ってくれた彼は、笑顔で私を送り出す
『また遊ぼうな』
『うん。ありがとう』
そう言って駅のホームへ向かう
やってしまった感がある私は落ち込みながらも、今日のお礼をしようと携帯画面を見る
あれ？彼からメッセージが
〈今日は、ありがとうな！つうか、今日いつもと違って可愛かったから、実は俺が緊張してた。はは。また遊ぼうな！気をつけて帰れよ！〉
『ふぁっ！？』
思わず声を出してしまい、自分の手で口を塞ぐ
不意打ちをくらった私は、緩む口角を素直に受け止める
また遊ぼうな。ふふ。心に陽だまりを覚え、私は電車に乗り込むのだった
·
終

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