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〜 今日は朝まで vol.2 〜




物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 今日は朝まで 〜

年明け早々に目が覚めて、自然と流れる涙を私は拭っていた
夢だと分かっていても会えた事が嬉しかったから・・・

・・・・・・・・・・

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毎日遅くまで友達と遊んで、バイトをして、学校へ行って、そしてまた遅くまで遊ぶ
大学生の私は、毎日何か楽しいことはないか?家に帰らなくていい方法はないか?と、自堕落な思いを抱き流れるままに一日一日を暮らしていた

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祖父が入院をしてからは、たまに病院へ顔を見に行くことが、私の日課の中へと入り込んでいた
と言っても、顔を見る名目でお小遣いを貰いに行く事にもなっているという、どうしようもない孫だった・・・

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『あー・・・もうこんな時間かぁ。どうしようかな、今日はおじいちゃんとこ行くのいっかなぁ・・・まだ年始の挨拶出来てないけど・・・明日でいっか♪』
バイト帰りに、どちらの電車に乗るか迷う日が、たまにある
右へ行けば祖父の家へ繋がる電車、左へ行けば自分の家へ帰る電車がある駅に降り立つからだ
今日もまた迷っていたのだが、時計を見ると18時を回っている
明日の朝に病院へ行ってから学校へ向かう方が効率良い!と判断した私は、今日は自分の家へ帰る電車に乗ることにした

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のんびりと帰ってきた私は、いつものように夕飯を食べ早々と寝入ってしまった
ジャンジャンジャン、ジャージャージャーン・・・
夜中に携帯の着信音が鳴る
部屋中にクラシックの名曲、ヴェルディのレクイエムが鳴り響いていた
『・・・はい』
『お父さん起こしてみんなで早く病院に来て!』
夕方から祖父の家に泊まりに行っていた母からの緊迫した電話に『なんで、今日行かなかったんだ』と私は後悔することになるのだった

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空を見上げれば変わることのない茜色
時は止まることなく1秒1秒過ぎていく
夕陽は少しずつ顔を隠し闇が溢れてくる
お小遣い欲しさに行っていた自分の愚かさに腹を立てる
何てひどい孫なんだろうと・・・
祖父がいなくなって1週間が過ぎていた
気持ちも落ち着いた頃、私は祖父がいないことを実感し自分が嫌いになっていた

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『おじいちゃんっこ』そう世間ではいうであろう
大好きだった祖父の顔を見たのは、去年の終わりのこと
その日は、顔を見て少し話して帰っただけだった、もう少し話していたら良かったと幾度となく私を色んな感情にしては愕然とする
ふと気が付けば、自分の家の前に立っている
いつの間にか帰宅していたのだ
玄関を入り、リビングへ行くと母が思い出したように私に小さな袋を手渡してきた
『はい、これ。あなたが来るからって、おじいちゃん嬉しそうに用意してたよ?』
(お年玉)と書かれたポチ袋の右上には私の名前が書いてあった
『それと、タオルとリボン。こないだ来た時に忘れたから今度来た時に自分で渡すって置いてたのよ』
『おじいちゃん・・・』
私はその場で泣き崩れてしまった
後から後から流れる涙と共に、ごめんなさいを何度も何度も言った
そして、ありがとうと・・・

・・・・・・

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年明け早々に目が覚めて、自然と流れる涙を私は拭っていた
夢だと分かっていても会えた事が嬉しかったから・・・
あの日『あけましておめでとう』って言えなかったから夢で私は言えて嬉しかったのだ
今日は、祖父が持っていてくれた『今日は朝まで♪』を付けて子どもたちとお墓参りにいこう
ベッドから出た私は、隣の部屋へ移動し大切な物を入れている箱をタンスから出してきた
使うことのないお年玉袋を目にしながら『今日は朝まで♪』をそっと手に取った
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