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〜 インド刺繍リボン 〜




物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 インド刺繍リボン 〜

久しぶりの休日は、車で遠くへ足を運び県をまたいだ
ここには、有名なお菓子屋さんがあるというので、そこへ目掛けて朝早くから出発していた
都会に住んでいるだろうと思う私からすれば、ここはとても自然が多くのどかな場所だった
車から降りれば、鳥のさえずりが聴こえ、空気が美味しいことを実感する
甘いバームクーヘンの香りがふわっと香ってきたのは、たぶん気のせいではない
『ねぇ♪早くいこうよ♪』
『待てって、そんな早く行かなくてもいいじゃん』
『はやくっ!はやくっ!』
隣の車から出てきたカップルが楽しそうにはしゃぐ姿を横目に、たまにはゆっくり一人で来るのもいいものだなと、ちょっと余裕を醸し出しながら一人悠々と歩いていった
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中へ入ると、バームクーヘンを食べられるカフェに並ぶ列がすごい事に足を止める
しばらく考えたがせっかく来たのだし、一人ゆっくり並ぶことにした
有名なお店とあって、人が途切れることはなく、カフェから出てくる人は、みな幸せそうな顔をしてお土産などが置いてあるお庭の方へと足を運んでいた
今さっき、一人でいるのも良いものだと心の中で言っていたのに、一瞬、一人でいることが寂しく思ってしまった
そんな感傷に浸っている時間もあっという間にすぎ、私はカフェへと入る
出来立ての分厚い年輪のお菓子を堪能し至福の時を過ごしていた
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最終目的地はここだったのだが、もう少し周辺を散策してみたくなった私は、携帯を片手にぶらぶらすることに
道の駅へ行ったり、近くの公園に行ってみたり、ただただドライブを楽しんでいた
しばらくドライブを楽しんだあと、大きな湖が見える小高い丘を見つけた私は、飲み物を買いに行ってから、また戻って来た
車を止め、近くのベンチに座る
先程買ってきたカフェラテが、冷たくなってきた手をじんわり温めていく
秋風が少し冷たく感じる夕暮れ時には、そろそろ羽織るものが必要な時期になってきたのだと実感する
車から『インド刺繍リボン』とスカーフを持ち出してきた私は、リボンでスカーフを縛り首回りを温めながら、落ちてゆく紅い太陽を眺めていた
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ピピピピピピ
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持っていたカフェラテを一瞬溢しそうになりながらも、音のする方へと体を向ける
人知れず今日の余韻に浸っていたことにヤキモチを焼いたのか、電話の相手は彼だった
『もしもし?』
『もしもし、堪能してる?・・・まだそっち?』
『めっちゃ堪能してるよ♪まだこっちにいるから帰りは遅いかな?』
『そっか。今日は俺は休日出勤だし、君は一人で遊びに行っちゃったし。なぁ?仕事もう終わるんだけど、充電なくなってきたからそろそろ帰って来て欲しいんだけど?』
『充電?何?仕事場に持っていくの忘れたの?電話してて大丈夫?』
『そうそう、充電器が・・・って違うわ!・・・君のだよ、君の充電が足りないから早く帰って来てってこと!言わせんなっ!』
『あっ!へへへ。ありがとう♪うん、もう帰る!ねぇ?今度は一緒に行こうね?』
『うん行こうな。しょうがないから、ご飯作って待っててやるから、気をつけて早く帰って来いよ!』
『はは。素直じゃないなぁ!早く帰るね!』
『じゃあな』
辺りはすっかり暗くなり、さっきまで微かに光っていたお月様が輝いて見える
冷めたカフェラテを手に車へ戻った私は、くすっと笑ってエンジンをかけ帰路へと急いだ
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