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これから僕は、僕の選んだ家族と幸せになるんです|『エロスの種子』7巻

※この作品はアダルト作品です。

今回も良かった。
前回のバブルダンサーのお話も良かったけれど。

オムニバス形式の作品で、一話完結形式で、繋がっていたり、独立しているお話が入っています。

この巻の中心になるのは、エロマンガ家“ちあき”先生。

僕は不細工だの 気持ち悪いだの 言われて育った
家では阻害され 学校でもイジメられた
いつからか まともに自分の姿を見られなくなった

『エロスの種子』7巻

面白いところは、この“ちあき”先生の容姿が、黒く塗りつぶされていて、見えないところ。

他人に受け入れられない世界から逃げるように絵の世界に没頭して、マンガ家になった“ちあき”先生。

描いているのはエロマンガだけど、恋愛は見た目の良い男女がするものだと思っている。

アシスタントは、イケメンの久米くんのみ。

そこへ、急に辞めてしまった背景アシスタントの代わりとして、新しく上澤まことがやってくる。

名前だけで男性だと思っていたのだが、やってきたのは女性。

苦手な女性。

女性であることを理由に断りたいと思ってたが、抜けてしまったアシスタントの穴を考えると選んでもいられない。

「絵柄は ちあき先生に合わせます
男性向けエロということも 承知しています
アシスタントは初めてで不慣れなことも多いかと思いますが 頑張ります」

『エロスの種子』7巻

その日、“ちあき”先生の日常に、小さな波風がたった。


ストーリーも絵も最高。

作者は もんでんあきこ 
多数の作品を商業誌で発表されている作家さんです。
この作品は青年コミック(アダルト系)ですが、BL、TL作品もあります。
個人的にはTL作品の『すべて愛のしわざ』も好き。

出版社は集英社

掲載誌・レーベルはグランドジャンプPREMIUM

既刊7巻。連載中。


それは、“恋のフィルター”

アシスタントが帰り、1人机に向かう“ちあき”先生。

仕事と割り切ろうとしても、1人になるとネガティブな考えが湧いてくる。

上澤さん 僕のこと 気持ち悪いって 思わなかっただろうか
こんな不細工なオッサンが 恋愛と セックスのマンガを描いている

『エロスの種子』7巻

不安と。

そして、一緒に働いていると、どんどんキレイになっていく上澤さんに戸惑う“ちあき”先生。

上澤さんが臨時のアシスタントだったこともあり、本採用の可能性を尋ねられた“ちあき”先生は、咄嗟に「考えさせて」と明言を避けてしまう。

即戦力にもなって、申し分ない人材なのに、何故、即答をしなかったのかを久米くんに追及された“ちあき”先生は

「大体あの子だって 変なんだ
ウチに来るたびにキレイになっちゃって
僕は目のやり場に困る
胸がザワザワする なんとか頑張って作画はできたけど
ストーリー作りは無理だ 僕はマンガに集中したいのに…」

『エロスの種子』7巻

だから、メールでアシスタントを断る返事をする、という“ちあき”先生に久米くんは、直接会ってアシスタントを断って、自分の気持ちも伝えるべきだと言う。

“ちあき”先生の恋の行方は――。

この“ちあき”先生の、恋愛に対する言葉がいいんですよ。

小さなことをすごく大事にしている、って感じが。

そして、この小さな変化をきっかけに様々な運命が変わっていく。

全年齢対象ではないですし、ジャンル的に苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが。

大丈夫な方には是非読んでもらいたい作品です。

もんでんあきこさんの何が魅力って、絵の技術の確かさも然ることながら、ストーリーがしっかりしていて読み応えのあるところ。

このシリーズ作品、実は序盤数巻は、女の不幸みたいなストーリーが多くて、あまり好きな系統ではなかったのですが、5巻あたりから読み応えのある話に変わってきて、とても好きです。

この巻も、“ちあき”先生の話だけではなく、アシスタントの久米くんや、その他の話も良いお話でした。

次の巻も楽しみです。


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