2022年6月面白かった本|薔薇王の葬列|戦争は女の顔をしていない|エロスの種子
6月は積読を消化したい、とは言ってましたが。
うん、5月より少し多いかな?くらい。
量を読みたいわけでもないから良いけど。
物理的に読む時間が取れないのがなー。
あ、でも結構映画とかは見たかな。
そんな今月面白かったのはこんな3冊です。
『薔薇王の葬列』菅野文
※期間限定でお買い得価格になってました!
全17巻。堂々の完結。
シェイクスピアの史劇「リチャード三世」を原案に描かれる、中世イングランド・ヨーク家の三男、リチャードの物語。
悪魔の子と厭われ、両性具有という性に苦しめられるリチャード。
愛してほしい人には愛されず、愛してくれた人は去ってしまう。
もがき苦しみながら、リチャードは王座を目指す。
王冠の中には楽園があると信じて。
正直、中盤は中世イングランドが舞台なので仕方がないのですが、同じ名前のキャラクターがたくさんいて、ストーリーを把握するのに苦労しました。
慣れている方ならすぐに整理できるのかもしれませんが、ボーッと読むと誰が誰だか……
後半は死んでしまったり、ストーリーのメインから退場したりでかなり人数が減ったので楽になりましたが。
そして、ご想像通り、最後はドラマチック。
薔薇戦争時代は日本の戦国時代と同じく、どこを切り取っても良い話になりますよね。
『戦争は女の顔をしていない』小梅けいと
500人以上の従軍女性を取材し、その内容から出版を拒否され続けた、ノーベル文学賞受賞作家・スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの主著のコミカライズ。
第二次世界大戦の独ソ戦に従軍した女性たちの聞き取りがまとめられている。
既刊3巻。現在も連載中。
3巻は戦地へ行った家族を待つ女性の話とかもありましたが、やっぱり戦地へ行った女性の話は強烈だ。
しかし、戦地から戻った彼女たちを待っていたのは差別だ。
そして複雑な気持ちで迎える毎年の戦勝記念日。
考えさせられるのは。
これが、戦争に勝った国の人の言葉だということだ。
勝っても負けても、戦争は傷しか残さない。
『エロスの種子』もんでんあきこ
父に虐待され、結婚を約束した人を喪った過去を持つ主人公・マキが、ナンバーワンソープ嬢になり、そして……
マキをソープ嬢にスカウトし、彼女を守ったヤクザの檜山。
マキが面倒を見続けている、パーキンソン病と認知症を患っている婚約者の母・亜矢子。
檜山の属する可成組の組長。
そして、檜山の側近をしていた、女性組員・岸。
性的なシーンも多く、アダルトな内容が目立つ作品ではある。
しかし、このストーリーの根幹は“愛する者に残された女の人生”だ。
マキの人生に同じように愛する者に残された亜矢子、岸がリンクする。
この作品は既刊6巻、連載中であるが、オムニバス形式になっており、マキの物語「泡姫」は6巻単独で成立している。
作中に出てくる歌『Bubble Dancer』は小説家・桜木紫乃のもの。
「泡姫」はこの曲をモチーフに描かれ、作中にも歌詞が登場する。
そんなわけで、6月の面白かった本でした!
ご紹介した作品は下記にまとめてあります。
よろしければサポートをお願いします。