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あなたは、この家の異常さがわかるだろうか|小説『変な家』
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あなたは、この家の異常さが分かるだろうか。
おそらく、一見しただけでは、ごくありふれた民家に見えるだろう。しかし、注意 深くすみずみまで見ると、家中そこかしこに、奇妙な違和感が存在することに気づく。
それはあまりに恐ろしく、決して信じたくない事実である。
オカルト専門のフリーライターである筆者は、ある日、知人の柳岡さんから相談を持ちかけられる。
一軒家を購入することにした柳岡さんは、都内に静かな住宅地で、中古ではあるが築年数の浅い理想的な物件を見つける。
内見をしたところ、開放的で明るい内装で気に入った。
しかし、唯一気になったところがある。
それは、1階の台所にある不可解な空間。リビングと面している部分である。
生活するにあたり、不都合はないものの、何となく気味が悪いのでオカルトに詳しい筆者に相談することにしたという。
筆者も、何となくその気味が悪い空間に惹かれるものの、建築には詳しくないため、ホラーやミステリーの愛好家で建築士でもある栗原さんに協力してもらうことにした。
間取り図を見て、オカルト的な意味はないのではないか、という栗原さん。
「もしかして、最初はここを、収納スペースか何かにする予定だったんじゃないですかね?
たとえば、リビング側に扉を取り付ければ、クローゼットとして使えるし、台所側に付ければ食器棚になります。だけど途中で気が変わったか、費用が足りなくなったかで、扉を取り付ける前に断念したんじゃないでしょうか。」
この空間は、利用を断念したものの、今更間取りを変更することが出来ず、取り残されてしまったのではないか、と。
しかし、彼は別の場所を気にしていた。
おかしいのは二階の間取りなんです。子供部屋を見てください。何か気づきませんか?
栗原さんの指摘と、筆者の憶測から、この家の“本当の異常さ”が明るみになっていく。
あまりにもばかばかしい憶測。「そんなわけがない」と思いながら、二枚の間取り図を重ねてみる。
予想に反して「それ」はあまりにもぴったりと一致した。
そして、この家に隠された真実とは――?
有名ウェブライターの作品
著者は 雨穴
Wikipediaには
日本のウェブライター、ホラー作家、YouTuberである。本名や素顔だけでなく、地声も非公開の覆面作家である
確かに、作家として知っていた、というよりは、私もウェブサイトでこの方の記事を読んで知っていました。
You Tubeもやってらっしゃるんですね。
本作以外の著書には昨年発売している『変な絵』
という作品もあるそうです。
あらすじを見る限り、今回の『変な家』でも『変な絵』でもないお話を読んだことがある気がするので、もしかしたら、書籍化されてないだけで他にも作品があるかもしれないです。
出版社は 飛鳥新社
あまり聞き慣れない出版社だなぁ……と思ったが、元は出版社ではなく雑誌の編集プロダクションが主要な業務だったようです。
発売は 2021年07月
現在はコミカライズ1巻が先月発売。連載中。
尚、本作は2024年春に映画公開が決まっているらしい。
技あり一本!な作品。
この作品の良く出来たところは主人公の“私”を“筆者”としているところだ。
ストーリーは小説のような形式ではなく、脚本のようなスタイルで進んでいく。
筆者 なるほど。何に必要だったんでしょうか?栗原 もしかして、最初はここを、収納スペースか何かにする予定だったんじゃないですかね?
著者はどこでも“筆者”=“雨穴”だとは言ってないのだが、読み手は勝手に“これは著者の体験談なんだろう”と誤解をしながら読み進めてしまう。
以前、岡田斗司夫がYou Tubeでホラー映画について語っているのを思い出した。
“あ、もうこうしかないんだ”っていう
見ている人間がその一本道にはまりこむ そのはめ込む為に ホラー映画は普通の映画よりもはるかに強い論理性が必要になる
ホラー映画は、観客に「そんなバカな」と思わせてはいけない。
笑われたら失敗なのだ。
“事実かも”と思いながら読み進めていって、“これはフィクションでは?”と思う頃にはストーリーに嵌まり込んでる。
構造的に良く出来た作品ですね。
話の基本筋は伊集院光の作った怪談『赤いクレヨン』って感じかしら。
もしくは、この上記Wikipediaでも出てきてる江戸川乱歩『お勢登場』。
もしくは『人間椅子』も似てる?
(余談だけど、江戸川乱歩作品は、この春陽堂の装丁がベストじゃない?!私、ここの文庫しか買わないんだけど(笑)!)
勿論、似ていると思うだけで、この作品独自のストーリー展開をしていきます。
間取り自体は、多少なりとも間取り図を見慣れてる人には一目で異様なんですけど(笑)。
じわじわとこの異様な間取りの秘密に嵌まり込んでいくのは、とても楽しかったです。
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