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絶対するでしょう。ここでしなければ、いつするの|ライトノベル『没落寸前ですので、婚約者を振り切ろうと思います』


子爵令嬢のアリシア・ホルトンが学校から屋敷へ帰ってくると。

家が、没落寸前だった。
 
応接間にいた父が言うには、父の幼馴染みであるロースト子爵が珍しい薬草を流通させる新しい事業を半年ほど前から始め、その資金の連帯保証人になったというのだ。

「……実はローストに金を貸したという借金取りがうちに来たんだ」

『没落寸前ですので、婚約者を振り切ろうと思います』第1巻

肝心のロースト子爵は行方不明。
借用書に書かれた金額は、アリシアの家の全財産と同じかそれ以上。

しばらく田舎に身をひそめて、昔のつてを使ってローストを探すという父。

アリシアもすぐに学園を辞めてついていくことを決めた。

友達に会えなくなるのは悲しいが、アリシアの通うセントロゼナ学園の授業料は高い。

「そのことなんだがアリシア、お前は学園──」 「ええ、わかっていますわ。私、あの学園を辞めなければならないのでしょう?」

『没落寸前ですので、婚約者を振り切ろうと思います』第1巻

しかし、父の言葉は予想外の事を口にする。

「いや、お前は学園に残りなさい」
「えっ?」

『没落寸前ですので、婚約者を振り切ろうと思います』第1巻

父曰く、田舎へ一緒に来てもアリシアに得になることはなく、寧ろ、借金取りが来て危険があるかもしれない。

害が及ばない学園の中が一番安全だ、とアリシアに学園の寮に住むことを勧めた。

「それにリカルドだっているじゃないか」

『没落寸前ですので、婚約者を振り切ろうと思います』第1巻

リカルド。
リカルドとは、アリシアの婚約者である。

侯爵家の息子で、容姿端麗、文武両道。
もちろん、女子生徒からの人気も高く、アリシアはよく嫉妬からの嫌がらせにあっていた。

そんなリカルドと、身分も容姿も何もかも釣り合わないアリシアが何故、婚約者なのかというと。

まさかの、アリシアの父親とリカルドの父が学友だったからだ。

それだけである。

当の本人からとは会えば文句ばかりで、お世辞にも良い関係とは言い難い。

「そもそも、今回の件で、リカルドとの婚約は破棄になると思いますけど? リカルドの家に泥を塗るわけにもいかないでしょう」

『没落寸前ですので、婚約者を振り切ろうと思います』第1巻

婚約破棄は、もはや確定。

そこへ、事情を聞いた当のリカルドがやってきた。

アリシアに、どうして相談してくれないんだ、守ってやる、と言うリカルドに「大丈夫、なんとかなるって」と言いながらも、心細い時に優しい言葉をかけてもらえるのは嬉しい。

だから、アリシアは微笑みながら感謝の言葉を口にした。

「とても嬉しいわ」
「アリシア……」
リカルドの潤んだ目を見つめ、微笑んだ。
「だから婚約破棄しても、ずっと友達でいてね」

『没落寸前ですので、婚約者を振り切ろうと思います』第1巻

この後、激昂したリカルドに「お前はどうしていつもそう……空気が読めないんだ!!」と怒鳴られた。

何故なんだ。解せない!


やっぱりフェアリーキスの作品は好き

著者は 夏目みや
女性向けライトノベルを中心に活動されている作家さんです。
他の作品も読んだことがありますが、『婚約破棄が目標です!』とかはコミカライズもされていて面白かったです。

出版社は ジュリアンパブリッシング

掲載誌・レーベルは フェアリーキス

発売は 2019年10月
既刊2巻。おそらく完結。
2巻ともKindleUnlimitedで配信中。

大宮あかねの作画でコミカライズも進行中。
こちらは既刊2巻。連載中。
1巻はKindleUnlimitedで配信中。


あわれなリカルドを見るのが楽しい

基本筋はハイスペックだけど不器用なリカルドと、薬草好きで、好きなもの以外は目に入らず鈍感なアリシアのジレジレなラブコメディもの。

そこへ、友人たちの友情や恋愛が添えられて……って感じ。

取り立てて個性的なものはなく、テンプレ通り…ではあるものの、そこはベテラン作家さん。
上手く押さえるとこは押さえてる。 

ついつい報われないリカルドを見たくて読み進めちゃう。

もう!何でアリシア気付かないの!!(いいぞもっとやれ)
と思いながらあれよあれよと読んじゃいました。

面白いのも良いけど、KindleUnlimitedなら小説2巻に加えてコミカライズ1巻も読めてしまうのは美味しい。

加入されてる方は是非、コミカライズからでも読んでみてください!


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