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ポレポレ広場

ベンチに座っても暑さを感じないくらいの気候になったらまたここでゆっくり誰かと話したい。
街の中の小ぶりなショッピングタウンの北側にあるポレポレ広場は憩いの場。夏休みには小さな櫓が組まれて、盆踊りを開催したり、また日曜日の朝にラジオ体操をしたりもしている。
綺麗でカラフルな人工芝は毎日、明るい時間いつでも子供たちが寝そべったり犬を連れた散歩の人が立ち話をしたりしている。
彼らをぼんやり見ながら、ここで待ち合わせた大学生の男の子を思い出す。

「愛さーーーん」
遠くから大きな声で呼ばれ顔を上げると可愛い黒髪マッシュの細くて背の高い男の子が歩いて近づいてきた。
わたしは理系の大学生の男の子が好きだ。
ずっと前から大好きだ。
自分が高校生の頃から好きだ。理由はこじつければいくらでもそれぽいことはあるけどどうでもいいと思っている。
ついでに童貞が好きだ。でも、理系の若い子ってのとセットでないと意味がない。社会人童貞はもう嫌いと言っていいくらい眼中にないし、文系も全く興味がない。
わたしは、研究室に篭りっきりで髪の毛ボサボサ、服も中学生の時に買った色褪せたヨレヨレのTシャツとか、毛玉だらけのパーカーとかを無造作に着ているくらいの子がいい。
そういう子の大きな深爪の指がわたしの肌を触る。震えてる。
そういうのが大好きだ。

しかし今待ち合わせて向かってくるのは名古屋工業大学の1年生の、可愛い男の子だった。見た目だけだったら理系の童貞には見えない。
そしてやはり違った。
「セフレが地雷化してる」
そんな話をしてくれた。
見たままの感想を言おう。
セフレが地雷化しそうな外見である。
韓国系の見た目。綺麗な白い肌に痩せてすらっとしたモデル体型で、ニコニコしてておっとりした話し方は関西訛りで、誰がどう見ても可愛い若い男の子。
「地雷化したらどうするの?」
「切りたい・・・でも難しいよね」
家も知っててだったら難しそうね。絶対に生活に入れ込んだらだめだよ。相手はあなたのことセフレって思ってるのかな?わからないよね。

唐突に彼、「ホテルいく?」
「行かないよ」とわたし。
その日は本当に時間がなかった。わたしは夜は絶対に自宅にいる。健康と美容のためもあるけど、他の目的もある。
自分を守るため。
太陽の時間にしか男とは合わないのだ。
「じゃあまたね」と、可愛い大学生は去っていった。

あの子はとても大きなおちんちんだった。
カリも高くて太くて大きくて、でもセックスは合わなかった。入れたら気持ちいのだけど、わたしはもう少し激しくして欲しくて、あの子はネコだった。
ネコ同士がお尻突き合わせていても仕方がないよね。
ただ合わなかったけれど一緒に過ごした時間は楽しかった。
途中で思い出したかのようにベッドから飛び出してスマホをとりに行き、課題の提出期限が今日の17時だったと慌てて16時過ぎに取り掛かり出したの、
とても可愛かった。
課題を見せてもらったら、化学の問いが並んでた。
「放ってごめんね、愛ちゃん。待っててね」
優しい子だった。

その後お礼のLINEを入れて、返事が来て、しばらく経った日に「ユニバいく、楽しんでくるね!」と入り、「うん、いっぱい遊んできてね」と返し、
それからは何もない。

久しぶりにあの子と知り合ったアプリを開いたらいたので懐かしくなったけど、足跡がついたのか消えていた。
おそらくわたしから見えない仕様に設定したのだろう。
そんなことしなくてもわたしのいいところは後腐れないところなのに。

「わたしは、遊びです」
これは全員に言う。最初に言う。

そう言ったら、悲しそうな顔をした子がいた。
その子は同じく名古屋工業大学の4年生。
最初はタウン内のコメダで会った。
わたしは仕事の後1時間くらい時間があったので、その子はその1時間でいいから会いたいと言ってくれた。
本当は、朝から働いて汗もかいてて、メイクも崩れるし仕事帰りの待ち合わせは好きじゃない。
でも彼の研究室はとても忙しかった。
その子とは、会うまでに幾度かやりとりをしてて、LINEの交換をしてからも時おりメッセージの往復があった。
でも忙しい研究室だったので、実際会うまでには二ヶ月くらいかかってしまった。マッチして会うまでにひと月、それからセックスするまでにまたひと月。

「最初に言っておくけど、わたしは遊びです」そういうと、視線を落として寂しそうに「本気になるなってことですか」といった。
「うん、そう。」
「あとお小遣いもあげられない。そう言うやり取りは嫌いなの」そう言うと顔を上げて怒ったように「そんなのいいです」と言ったの。

わたしは大学生との逢瀬は全部割り勘したい考え。
ちゃんと、理由はある。
お互い楽しむのだからというのが一番の理由。
対等ということ。
風俗じゃないんだから、男の子が全部出すのもおかしい。

わたしはこの男の子のことはかなり気に入っていて、院試に受かったと連絡をもらって彼が乗っていたバイクのメーカーのキーホルダーをプレゼントした。
「包は捨てて帰っていいよ。」ホテルでそういうと、「ちゃんと持って帰ります。せっかくもらって、嬉しいので」と言った。
でも、それっきり。
大学の近くに蕎麦屋さんができるので、そしたらそこでアルバイトしないかって言われています。そうするつもりです。そしたら、遊びに来てください。
そう言ってたけど、、、
お蕎麦屋さんは、できたけど、まだ行っていない。

お蕎麦屋さんのこの子は名古屋大学の工学部だったバイク仲間のあの子にも似ている。
あれはわたしが30歳くらいの時。彼は19歳の名大生だった・・・
この話は別の場所で書いてるのでここでは割愛。
それにポレポレ広場は関係ないの、この子は。

要はお蕎麦の子はわたしのとっても好みのタイプだったっていう話。

今お話した二人は童貞ではなかったんだけどね。
わたしは理系大学生の童貞が大好きなの。
わたしね、あの子達童貞だったからとっても大事に抱いたの。
いつもずっと勉強ばかりで、大学に入ったら勉強、研究室決まれば研究漬けの毎日でいつの間にか20歳。女子も気になるだろうし、性欲もあるよね。でも勇気もいるし、若い女子は独特の万能感に溢れてて面倒だろうし・・・
学生の時は理系は特に勉強、研究に没頭する方がいいと思う。
理解のある彼女だったら何も悪いことはないけれど、研究室はドタキャン、リスケ多くて。でもわたしは慣れてるから大丈夫。
母親とも、姉とも違うけど優しいお姉さん。
いつかあなたが誰か好きな人とした時その子がお芝居しなくていいようにするの。わたしは好きだからしてる。

でね、一度寝た子とは、わたしはもう寝ないの。

あなたは絶対に魅力あるから。
わたしと遊んでいないで、勉強して研究に没頭して卒業したら立派な社会人になって。立派っていうのは日々のすべきことをこなしていくことね。すべきことは、自分で決めるの。
そうしたらね、余計なお世話なんだけどあなたを大事に思ってくれる誰かと子供作って、人生を幸せに生きるの。
もし、、、もしね。
あなたがその人生を終わるときに走馬灯のように思い出す一幕一瞬に、
「優しいお姉さんと、人生で初めてセックスしたあの時」を思い出してくれたら最高よね。
わたしは、思い出がいいの。

初めて理系大学生の童貞とセックスしたのはわたしが19歳の時、同級生で彼氏だった男の子。名古屋大学の一年生だった。
あれからわたし、すごくたくさんの理系の大学生とセックスした。
後半はほとんど童貞。
本当に好きなの。
著名人になった子もいるし
どこでどうしてるかわかんない子もいるけど
多くは毎日責務を果たしながら日本を支えてる。頭脳や技術を使って。

ニュースであなたの会社のテクノロジーが紹介されてたのを見て、
とても嬉しかった。
そういう思い出もある。
まだ大学生だったあなたが雪の日にわたしに作ってくれたシチューのローリエ避けたの、映像で覚えてる。
あの子の研究してたことが実用化されたニュースも、暖かく嬉しい気持ちで見たの。
10年経つんだものね。
そんなふうに・・・
わたしの宝物なの。

連絡は、取らなくなっちゃうことがほとんどだけど、何年も経ってフラッと繋がることもあって、
あの時大学生だったワンナイトした男の子の会社を見せてもらったことがあった。
感慨深かった。
きみ、頑張ったんだね。
そういうと笑ったよね。
親心みたいなものかしら。


春は、ポレポレ広場はあたたかかくて、ベンチでサンドイッチなど食べながら時を過ごすのが好き。
暖かい日差し・・・・目を閉じて、光のなか眠るように消えることができたら最高にいい人生だったよね。
でももう少し生きなくちゃね。

暖かい季節になったら
涼しい秋でもいい。
またこの広場で誰かと話したい。


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