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#9 空間作りの大切さ

空間とは何か

私たちは生活の中で様々なグループに所属しています。

グループにはそれぞれの「空間(雰囲気)」が存在します。

授業を例に見てみましょう。学生時代、誰にでも以下のような経験があるのではないでしょうか。

私は英語という科目は好きだけど、担当教員の授業は嫌いだから勉強する気にならない

私は英語という科目は苦手だけど、担当教員の授業は好きだから勉強する気になる

授業一つ取ってみても、そこには「空間」が存在するのです。その中には、居心地の良いものもあれば、そうでないものもあります。当然、前者の中で学ぶほうが学習効率は上がるでしょう。

教員の役割は、生徒の学びを促進する「空間」を整備することです。

空間は理念を体現する

「空間」は理念から始まります。

以下の例題を見てみましょう。

<例題>
英語の授業中、生徒に音読してほしい。

この理念を叶えるためには、どんな「空間」が必要でしょうか。少し考えてみてください。

どんなアイデアが浮かびましたか。

もちろん様々な方法論がありますが、私がこの理念を叶える「空間」を作る上で、実践したことを紹介します。

① 意義と意図を明確に
どのような活動においても、その意義や意図が見えなければ当然人は実行に移しません。声に出して読む意図と目的を説明し、実感させることが大切です。

②  特定の誰かを指名しない
音読をしない主な原因は「恥ずかしさ」です。特定の誰かを指名すると、クラスの注目はその生徒に集中します。無意味なプレッシャーがかかる中で発音を間違えれば、その生徒が音読することに嫌悪感を抱く可能性があり、それは他の生徒にも伝染します。

③ BGMをかける
個別で練習する場合にも、音読に集中できる「空間」が必要です。英語の発音に自信のない生徒は、自分の声が周りに聞こえることに恐怖を感じます。BGMがあれば自分の声がかき消されるので、恐怖感が消え安心して音読をすることができます。

④ 音声知識の定着
音読を妨げるもう一つの要素は知識不足です。発音の難しい単語はまずペアワークで確認し、発音知識を定着させてから全体コーラスをします。発音に自信を持てる「空間」をつくることで、生徒は音読をするようになります。

大事なことは

生徒が音読しない要素をあぶり出し、解決策を授業に取り入れることです。

適切な「空間」が生徒の学びを促進する

上の例題では英語の授業の「空間」を取り上げましたが、他の授業や部活でも担当教員の「理念」があるはずです。

・生徒に活発に発言してほしい

・ペアワークに積極的に取り組んでほしい

・練習を一所懸命やってほしい

「理念」が達成されていないなら、障害となっているものを探し取り除きましょう。そうすれば、生徒の学びやすい「空間」を整備することができます。

教員が一番してはいけないことは、原因を生徒に求めることです。これは職務放棄と言っても過言ではありません。

「空間」が生徒にとって快適なものであればあるほど、生徒はその空間を好きになり、結果として科目、教科、部活に積極的に取り組むモチベーションとなります。

生徒がより学びやすい「空間」を作ることが、教員の役割だと言えるでしょう。


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