ネットワークの専門家ではないエンジニアがネットワークの展示会であるJANOG53に参加したら感動することでいっぱいだった
おはようございます、こんにちは、こんばんは、イプリオの中の人エンジニア1号です。今回は技術的な話や内容は抜きに、JANOG53という展示会に参加した感想をこの記事の中で述べていきたいと思います。
細かなプログラムの内容や各社様の展示物関係はこちらで記載することは控えているため、興味を持たれた方はぜひJANOG53公式サイトへご訪問ください。
そもそもJANOGとは?
2024年1月17日~19日の間、博多国際展示場にて「JANOGミーティング53 in 博多」が開催されました。JANOGとは「JApan Network Operators’ Group」の略で、日本語名称は「日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ」です。インターネットにおける技術的事項やオペレーションに関する事項を議論、検討、紹介することにより日本のインターネット技術者や利用者に貢献することを目的としたグループです。年に2回、各地でJANOGミーティングが開催されています。
JANOGに来る人は、インターネットに関心のある技術者や利用者の方々です。JANOGミーティングでは、インターネットの技術的な話題やオペレーションのベストプラクティス、インターネットの社会的な影響などについて、発表や議論が行われます。JANOGに参加する人は、インターネットの発展に貢献したいという志を持っています。JANOGは、インターネットのコミュニティの一員として、オープンで協調的な姿勢を大切にしています。JANOGには、様々な分野や経歴の人が集まりますが、共通の目的や価値観でつながっています。
エンジニア1号は不安でいっぱいだった
一口にITエンジニアと言っても様々な技術、分野があります。その中でも私はサーバ構築系(インフラ周り)に主に携わっており、ネットワークはある程度基本的なことがわかり、一部業務として取り組んだことがある、という程度で「ネットワークエンジニア」としてはまだまだわからないことが多いのが現状です。
弊社イプリオとしてはJANOGへは昔から積極的に関与し、参加し、代表も登壇したりするぐらいには関わりが深いわけですが、私自身はそこまで濃くネットワークの世界に関わってはいませんでした。
「インターネット」「ネットワーク」をキーワードに様々なソリューションが集まる場所
展示ブースを見て回った感想として、まず第一に思ったことは「非常に幅が広い」ということでした。物理的なスイッチやケーブル、コネクタ系の展示からデータセンターと専用回線、そして上位レイヤーで動くアプリケーション等まで網羅していて、それこそ前述した通りネットワークを専門に扱っていない私にとってはわからない分野もありましたが、自身が今後考えていかなければいけないサービスの展開や開発のヒントを多く得られました。
また、余談ではありますがソフトバンク様のブースにてネットワークを介した低遅延な音楽セッションの研究発表があり、置いてあるギターを自由に弾いて良いとの事だったので、少々弾かせていただいたりもしました。
参加者、参加企業の幅広さに驚く
展示会、と聞くと基本的に「オーナー⇔クライアント」という関係性の中で「商談や情報収集」という目的で参加する場合が多いと(少なくとも私は)思っていたのですが、JANOGはそこにはカテゴライズされない展示会という印象を受けました。一言で言えば「インターネット・ネットワークの未来を一緒に考え、共に発展していく」という志が会場の空気にも現れていた、と思います。
プログラムの在り方にもその志が現れており、通常セミナー等は発表者と聴講者というのは明確に分かれていて、最後に「質疑応答」という時間が設けられるのが一般的だと思いますが、JANOGではその時間を「ディスカッション」としています。発表者の方も「質問を受け付けます」というスタンスではなく「皆さんに聞いてみたい」「議論をしたい」と聴講者に対して意見を促すような積極的な姿勢をしていて、より距離が近い立場でプログラムに参加できるようになっています。
誰もが知るような大企業様から地方で精力的に活動されている中小企業様、熟練のエンジニアの方から、これから沢山勉強をし一人前になろうとしている新人エンジニアや学生の方、様々な立場、年齢層の方がいらっしゃいました。また、今の時代「男性」「女性」と分けて考えるのも恐れ多いことではありますが、エンジニアという職種上どうしても男性割合の多い環境で働いてきた私としては、女性のエンジニア、あるいはエンジニアを目指す方がこんなにいるのか、というところにも驚きを隠せませんでした。
聴講したプログラムとその感想
1. 自動化、AI、その前に、あなたのネットワーク見えてますか?
「膨大なネットワークのデータをどう可視化するか、どう取得するか、どう整理するか、どう活用するか」
ということに焦点をあてたプログラムです。具体的なTelemetryの活用方法や障害の予兆と観測、Topologyの可視化の手法について等を具体例を交えてわかりやすく説明してくださっています。
「実例や具体例」というのが非常にありがたく、そして説得力があると感じました。コストを考慮しどこまで見る必要があるのか、追求する必要があるのかという点に置いて最前線で活躍されているエンジニアの方の見解が聞けたことが非常に大きな収穫だと思っています。
2. これからのIPv4 over IPv6の話をしよう
IPv4 over IPv6通信をするために必要なプロビジョニング方式は、現状では各社独自で開発・実装したものが多くを占めており、そして非公開となっています。2020年に策定された「国内標準プロビジョニング方式」の普及と促進を進めるとともにその課題や、導入するためのノウハウ、実例に関しての説明をしてくださっています。
まず私はIPv4 over IPv6に関する専門的な知識がなかったところもあり、根本的な部分から丁寧に解説してくださっていることがありがたかったです。業務的にはプロビジョニング方式を実装する立場ではありませんが、IPv6への対応は様々なサービスを展開する上で必須なこと、またその普及が進むほど構築側でも変化に対応していく必要がありますので、それを行っていく上で土台となる知識を得られたと思っています。
3. 変化するDNS運用とこれからの課題について(DNS設計/運用者の目線から)
時代とともにDNSに求められる役割の変化や増大するハード、複雑になる構成、膨らむ管理コストとどう向き合っていくか、そしてどう解消したか、ということを各社様を代表する方がそれぞれ具体例と共に説明をしてくださいました。
大規模なDNS運用をしている方々がどのようにして設計し、対応しているか生の声で聞くことができたのが非常に貴重な体験でした。また、基本的に一度稼働させると長い期間運用するDNSサーバは設計が古く、どうしても基礎的なところに手を入れるのが難しいくなりがちなものですが、かといってそれを増改築していく形では限界を迎えることに危機感を覚えた次第です。ロードバランサーを使わない構成や、dnstapを使ったログ出力の合理化等今後役に立つであろう知識を得ることができました。
総合的な話
専門的な展示会と言うのは色々と足を運んだり、時には参加したりということは過去ありますが、得てしてそういった場所は新しい知見を得るとともに「業界全体が向かう先」を知ることができる、ある種「未来を描くためのヒント」が多く転がっている場所だと思っています。JANOGも勿論そういった要素を持ちつつ、その上で「いち参加者」としてより業界の深い部分に触れやすく、第一線で活躍している方々の声が聞きやすい環境を用意してくださっていると感じた次第です。
ちなみに私は自身の都合の関係で2日目(18日)の夕方から参加したのですが、その日はほぼ終わり頃での到着だったので懇親会と19日の参加のみとなっています。できることなら全日程参加したかったと思うほどには魅力的な展示会だと思います。聴講したいプログラム、訪問したい企業様のブースもまだ沢山ありました。
非常に魅力的だったからこそ心残りが出来てしまったので、次回はぜひ初日からフル参加をし、余すことなくJANOGを楽しみ、そして学びたいと思っています。
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