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【一風堂ラーメン総選挙スペシャル#1】ラーメンづくりの日々を特別公開!商品開発担当インタビュー

2022年8月1日、「一風堂ラーメン総選挙2022」が開幕しました。選挙にエントリーしているのは、かつて一風堂で店舗限定・期間限定などで販売されたラーメンの中で特に反響のあった22杯。投票数が一番多かった人気No.1の商品が、10月に行われる創業祭に合わせて期間限定で復刻販売されます。8月31日までの期間中、キャンペーンサイトからいつでもどこでも誰でも参加できるイベントです。

1985年の創業から約37年間の年月のなかで一風堂が開発してきたオリジナル商品は、累計なんと500種類以上。王道な博多ラーメンからちょっと変わった奇抜なメニューまで、その多種多様なラーメンの多くは、一風堂を運営する「力の源カンパニー」商品開発部の手によって開発されてきました。
 
この記事では「一風堂ラーメン総選挙2022」のスペシャル企画として、一風堂の新商品が生まれる過程を、商品開発メンバーの日々をたどりながら特別に紹介します。

商品開発ってこんな仕事

「力の源カンパニー」の商品開発部では、新商品を発案したり既存商品をブラッシュアップしたり、それらのレシピをつくったりしています。ラーメン以外のサイドメニューもつくりますし、店舗ごとのメニュー構成を考えることも大切な仕事です。福岡県のテストキッチンを基本の拠点にしていますが、新店舗のスタッフ教育と商品状態のチェックなどのために全国の店舗を飛び回ることもあります。ラーメンづくりのプロフェッショナルたちは、日々一風堂のおいしさを追求し続けています。

商品開発メンバー こんな人たち

さまざまなバックグラウンドのメンバーが集まった、現在6名のチームです。新卒入社以来20年以上ずっと「力の源カンパニー」でラーメンづくりに励んでいる人、一風堂の海外店舗の立ち上げに深く関わった人、もともとは他ジャンルの料理人だった人など、多様な経験値と個性的な観点が商品開発に活かされています。

今回はこのチームを代表して、入社12年目の堺 文子(さかい あやこ)さんにお話を聞いていきます。

一風堂の新商品が生まれるまで

_堺さん、よろしくお願いします!まず、新しいラーメンをつくるとき、どんなことを考えるのか教えてください。
 堺 文子さん(以下、堺):販売する店舗が決まっている場合は、客層や地域の風土などを把握したうえで商品イメージをかためます。例えば、ビジネスパーソンの利用が多いエリアではスタミナがつくボリューム系のラーメン、年齢層の高い地域ではあっさりめの清湯(透き通ったスープの)メニューを組み込むなどです。また、一風堂創業者である河原成美(かわはら しげみ)さんから直々に「こんなのあったらいいよね」とヒントをいただくことも多いです。

_創業者も積極的に開発に関わっているのですね!店舗からの声が開発に活きることもあるのでしょうか?
 堺:はい。プラントベースのラーメンなどは、店舗スタッフが、様々な理由でとんこつを食べない・食べられないお客様に実際に出会ってきたことがきっかけになりました。インバウンドのお客様が増えてきた2010年代から「ベジタリアンのお客様からリクエストされて、メニューにないラーメンをありあわせのものでつくっている」という店舗もあったほどで、お客様のニーズに応えられるラーメンをしっかり商品化せねばと動き出しました。どんな商品を開発するにも「なんとなく」ではなく、目的や根拠に基づいて開発したいと思っています。

2021年2月、ついに商品化した「プラントベース赤丸」

_開発したい商品は、パッと思いついて形にできるものなのでしょうか?
堺:こればかりは人によるかなと思います。経験の長いメンバーにはどうやら「ひらめきの瞬間」があるようで、日々あれこれ考えているなかでふとした時に点と点が結びついて線になり「あ、こうしたらいいんだ!」となるそうです。頭の中でイメージしたものを、たった1回の試作で思い通りに表現できちゃう人もいます。私はこういう先輩方をすごいなぁと思いながら、ひたすら試作を重ねて徐々に仕上げていくタイプですかね・・・!

テストキッチンでの商品試作のようす

試行錯誤で、更に美味しいラーメンに

_いざ最初の試作品ができあがったら、次は何をしますか?
堺:チーム内で食べてみて、商品イメージやターゲットの客層にふさわしい表現ができているかを話し合います。この段階では特に味のバランスとか、見た目をチェックすることが多いです。客観的な意見を交えて判断できるので、とても大切な過程です。このあとに、ついに創業者の試食が待ち受けています。
 
_それはとても緊張しそうですね!すべての商品を創業者が試食するのですか?
堺:はい。「一風堂」という名を冠して世に出る商品は、河原さんに必ず食べていただいています。商品によりますが、だいたい2~3回の試食を通して、アドバイスを活かした商品が完成します。その場の会話の流れで商品内容がガラッと方向転換するパターンもしばしばありますよ。 

創業者による試食のようす
社内外のメンバーを交えて話し合いをすることも

まさかの展開も、商品開発あるある

_試作品と全然違うものが商品化することもあるのですね!詳しく教えてください。
堺:最近ですと、DRUM TAOさんの「TAOの夏フェス」で限定販売するラーメンの試食会が印象的でしたね。DRUM TAOメンバー数名と談笑しながら試食をすすめていたのですが、「TAOの夏フェスでは、メンバーが目の前でラーメンをつくってくれることが一番の付加価値だよね」という話になりまして。河原さんの「じゃあ、メンバーが目の前でトリュフ削ってトッピングしてあげよう!ファンはぜったい喜ぶよね」という言葉から、今回の「TAKUYAの高級トリュフ入りラーメン 〜夏野菜塩ラーメン〜」が誕生しました!試作の段階ではトリュフを入れることになるなんてまったく想像していなかったので、開発担当一同びっくりな展開でした(笑)

創業者自ら味の調整をすることも
DRUM TAOメンバーとの商品開発のようす
「TAKUYAの高級トリュフ入りラーメン 〜夏野菜塩ラーメン〜」

_紆余曲折ありつつも、商品として完成すると達成感がありそうですね!試作の開始から商品の決定まで、どのくらいの時間がかかりますか?
堺:すごくスムーズだと2週間くらいですが、平均では1~2か月はかかりますかね。もちろん、新ブランドや新業態を考えるとなると更に長く、半年以上の時間を要することもあります。商品のレシピが完成してから別の部署による食材の手配やメニュー写真の撮影、POP制作、レジキーの設定などの必要な準備がスタートするので、実際に店舗で販売され始めるのはさらに2か月後くらいになります。

時にはたいへんなことも・・・

_となるとかなり季節や時世を先取りして開発をはじめる必要がありますよね。商品開発のお仕事にも、やはり感染症拡大の影響はありますか?
堺:ありますね。限定ラーメンを販売する予定だったイベントが中止になり、その商品がお蔵入りになってしまうこともありました。モツをつかったラーメンを大きなイベントのために開発していた担当者は、連日いろんなお店のモツ料理を食べて回って熱心に研究を重ねていました。やっとの思いで商品をつくり上げた矢先、そのイベント自体がコロナの影響で中止になってしまって・・・。その担当者はショックのあまり、「二度とモツを食べられない体になってしまった」と嘆いていました。
 
_なんと・・・それはつらかったでしょうね(涙)
堺:こんなふうに結果的には日の目を見ないことになる商品は他にもたくさんあるんですけど、一度流れたとしても別の機会でその商品の基本が活かされることもあるので、努力は無駄にならないと信じています!

限定ラーメンに込める想い

_一風堂といえば今回の総選挙にエントリーしている「ソースとんこつ」をはじめ、ちょっと奇抜な一風変わったラーメンも発売してきましたよね。どうしてそういうラーメンをつくってきたのか、気になるお客様も多いかと思います。
 
堺:そうですよね。まず純粋に「飽きずにお客様に楽しんでいただきたい」という気持ちがあるからです。ブランドの理念である「食を通して新しい価値を創造する」という言葉のとおり、様々な表現を通してラーメンという料理の可能性を広げていきたい。安定の「いつものラーメン」だけでなく、「こんなのもラーメンなんだ!」という発見や「これってどんな味なんだろう?」という好奇心とともに、ワクワクしながらラーメンの世界を楽しんでいただきたいと考えています。

2017年に期間限定販売した「ソースとんこつ」

_インパクトのある限定ラーメンをたまに興味本位で食べてみるからこそ、白丸や赤丸などの定番ラーメンの安心感を再確認できるなんてこともありそうですね。
堺:はい。限定ラーメンがでたら一回は食べてみて、白丸や赤丸に戻ってきて、ちょっとマンネリしてきたときにもう一回限定ラーメン食べて・・・みたいな使い方もおすすめです!

変わらないために、変わり続ける

_ほかにも商品開発で大切にしている考え方はありますか?
堺:「変わらないために、変わり続ける」という言葉は、いつも意識しています。1980年代の福岡のとんこつラーメン店のイメージ「3K(くさい、汚い、店主がこわい)」を覆す存在として誕生した一風堂。ジャズの流れるおしゃれな空間で味わえる臭みのないとんこつラーメンは、当時の業界では革新的な存在でした。たくさんのお客様に支持をいただいて全国や世界に展開を始めてからも、ただ創業当時と同じラーメンを出し続けるのではない。世の中の動きやお客様の味覚の変化に合わせて既存商品をブラッシュアップするなど、敏感に変化を続けてきました。

最近ではデリバリーやテイクアウトはもちろん、自販機でのラーメン販売やこども食堂でのラーメン提供など、お客様との接点と提供方法のバリエーションも積極的にどんどん広げています。冒頭でお話ししたプラントベースのラーメンなども、一風堂が業界の先陣を切って、他のラーメン店を牽引するような気持ちで販売を続けるからこそ意味があると思っています。
 
おもしろいラーメンをつくることも「一風堂らしさ」ですが、時代の流れに沿った商品を打ち出していくことも「一風堂らしさ」。これまでどおり「変わらないために変わり続ける」ことで、一風堂が一風堂であり続けることができると信じています。

_さいごにひとことお願いします!
堺:いろいろと大きなお話をしてしまって、商品開発がとてもキラキラした世界に見えたひともいるかもしれませんので、さいごにちょっと地味めなお仕事の紹介を。福岡のテストキッチンでは、ひたすら麺の茹で時間や伸びにくい麺の検証をしたり、「チャーシューは肉のどの部位を使うのがラーメンに合うのか?味付けは漬け込みタイプか煮込みタイプどちらが良いか?」を実験したり、多くの時間をけっこう地道な作業に費やしています(笑)。でも、どれもこれも、すべてはおいしいラーメンをつくるため。今後もたくさんのお客様の笑顔に繋がるように、商品開発部一同、本気でラーメンの開発に取り組んでまいります!

_堺さん、ありがとうございました!
 
読者の皆さま、ここまで読んでいただきありがとうございました。ラーメン店の商品開発という仕事を、今までよりもちょっと身近に感じていただけたでしょうか?「応援したい!」と思ってくださったかた、ぜひ「一風堂ラーメン総選挙2022」で、食べたいラーメンに清き一票をお願いいたします!

☝画像をタップで投票画面へGO!
投票期間は2022年8月31日まで。繰り返し投票OKです!

◆一風堂note次回予告◆
近日中に、総選挙にエントリーしているラーメンの中から商品開発メンバーの推し麺を公開予定です。お楽しみに!


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