家族うどんを食えなきゃダサい

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僕が高校生の時、
学校の近くに
チェーンのうどん屋さんができた。


価格の安さやメニューの豊富さ、
味などから
連日行列ができていた。

僕も部活帰りにはよく利用した。

食べ盛りだった僕たちは
店に行くと
うどんだけでなくおにぎりや天ぷらなど
サイドメニューまで貪り食う。


ある日も部活仲間とそのうどん屋に来た。

それぞれがうどんを取りに行き席に座る。

無言の時間が続く

今日の練習はキツかった。

僕は水泳部に所属しており
その日は8キロほど泳いだ。

ヘトヘトになりお腹もペコペコ

しばらくうどんを啜る音だけが
僕たちを包んでいた。

すぐに食べ終わると
スマホを触りながらダベリはじめる。

「今日の練習ほんまキツかったなー」

口々に言いはじめる

「全然まだ食えるわ」

「腹減りすぎてる」

食べ盛り丸出しだ。



「俺、今度家族うどん食おかなー」

僕がスマホの画面を
見つめながらふとつぶやいた。

「え!さすがに無理やろ!」

友達が言う。

「今日くらい疲れてる日やったら
いける気するわ」

家族うどんとは5、6人前の
釜揚げうどんのことで
タライのような大きさの桶に麺が入っている。

数人で食べることを
想定しているものである。

「俺今度家族うどん食べるわ」

僕は皆に高らかに宣言した。



それから数週間が経った。

その日も僕は帰る方向が同じ同級生と
そのうどん屋を訪れた。

注文をするため
列に並ぶ。

僕の番が来た。

「きつねうどんの大ください!」

「お前、家族うどん食う言うてなかった?」

友達に後ろからつつかれた。


たしかに


僕はたしかに数週間前
家族うどんを食うと言った。



いま結構お腹が減っている
家族うどんも全然いけるんではないか。

「すいません!
やっぱり家族うどん1つください」

僕はオーダーを変更した
数人の店員が
おぉ!
という顔をしたような気がした。

めちゃくちゃでかい桶の中に
大量の麺が漂っている。

これを食べ切れるのだろうか

というかこれ美味しいのか?
最後の方出汁も薄まって
だいぶ味が落ちるんじゃないだろうか。

席につき
早速食べはじめる。

美味しい
いつも通りの味

食べ進める
まだまだいける

全然余裕なんじゃないか?

高校生男子の胃袋を舐めちゃ困る

僕たちは成長期だ
ここで成長しなきゃいつ成長する?

順調に食べ進め
残りは一人前より少し少ないか
というくらいの量になった



限界だ



家族うどんを舐めていた。

箸が進まない
お腹が苦しい

まず味が一緒だ。

確かに味を変えるための薬味
ネギや天かすなども置いてあるが
それにも限界が来る。

ずーっと
同じ味

僕は半ば諦めたような状態で
椅子にもたれかかった

「もう食わんの?」

友達が聞いてきた

「いやぁどうやろ。ちょっとキツイかも」

正直に答えた。

「お前さ、家族うどん食べられへんかったらダサいで」

言葉が胸に突き刺さる

ダサい?

なんでそんなこと言われなあかんねん。

僕は再び箸を持ち家族うどんと対峙する。

倒す



そこからは割と一瞬だった

このうどんを必ず食べ切るんだという
強い意志を持って麺を口に運んだ。

白く濁った少量の白湯だけが桶に残っている。

食べ切った

達成感がすごい

そこからまたしばらくだべると
自転車に乗り家に帰る。

今日はいい日だ

家族うどんを食べ切った日

でも

なんかモヤモヤする

なんだろうこの気持ちは

僕は人生の中で
違和感を感じる出来事があると
脳味噌のある部分が
反応するようになっていた。

友達の言葉を思い出す

「家族うどん食べられへんかったらダサいで」



家族うどん食べられへんかったらダサいで?

うどんを食べられへんかったらダサい?

そんな基準あるかー!!!

あってたまるか!そんな基準!!


まずな、
ダサいの基準を決める尺度に
うどんは存在せえへんねん!


何が家族うどん食われへんかったらダサいや!


うどんでダサいかダサくないか
決めるのなんて
香川県民でも許されないはずだ。

僕はその言葉を放った友達を
宙に思い浮かべて睨みつけた。

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