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あえてそうしてるよ顔

⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

芸人は人と話すことが多い。
毎日毎日たくさんの人と話す。

そうすると
誰にどの話をしたのか

だんだんわからなく
なってくることがある。
(老化とかではなく)

その事実に
話してる途中で気づく時もある。

あ!
この話この人に一回したことあるわ!
でも…今更引き返されへんし

もうええわ!
このままいってまえ!

こういう時がよくある。

そんな時僕は
「あえてそうしてますよ顔」で乗り切る。

相手が

いやその話前聞いたわ!

とか

いや何回同じ話すんねん!

をツッコミテンションで言ってきたら成功だ

自分のミスをあたかも
ボケのようにできてしまう。

他にも
自分が意図していていない発言により
相手が笑った時

あえてそうしてるよ顔を発動してしまう。

いつしか当たり前のように
あえてそうしてるよ顔を
発動してしまうようになった。

広い意味で言えば
これは「嘘」というものに
分類されると思うが
平気でなんの罪悪感もなく笑いのために
嘘をつくようになってしまった。

こうなったのはいつからだろう。


僕は自分の記憶を遡ってみた

あれは中学生の時だ

僕は少しの間、野球部に所属していた。

野球部の練習でティーバッティング
というものがある。

1人がネットの正面でバットを構え
もう1人がしゃがんで
ネットの真横からトスをあげる。

フワッと浮かび上がったボールを
バットで打ちネットに当てるというもの

トスをあげる者は
1球目!
2球目!
と大きな声をあげる。

20球ほどやると交代する。

これが僕が所属していた野球部の
ティーバッティングのやり方だった。

ある日
僕が先輩に向かってトスをあげていると
顧問の先生が話しかけてきた。

「お前声変わりの時期ちゃうか?」

たしかに僕はその時期
声の調子が変わったり
喉に違和感を覚えることが多くなっていた。

「確かにそうかもしれないです!」

僕は一旦動作をやめ、そう答えた。

「そうか!まあ喉潰したらあかんから
あんま無理すんなよ」

顧問がそう言ってくれた。

「はい!ありがとうございます!」

礼を言い練習を再開する

「あれ?今何球目でしたっけ?」

こう言った瞬間、
顧問が笑った

僕が急に喋りかけられて
数を忘れてしまった姿が滑稽に見え、
面白かったのだろう。

しかし顧問が笑った姿を見るのははじめてだった。

素直に嬉しかった。

以後
ティーバッティングの時には
このやりとりが一種のノリのようになり

僕も普段厳しい顧問が笑ってくれる
ということがそれなりに楽しかった。

またある日にも顧問が話しかけてきた

僕はその時もトスをあげていた

「なんか、雨降りそうやなぁ!」

顧問が話しかけてくる。

「確かに雲行き怪しいですね!
天気予報見てないんでわかんないですけど」

練習に戻る。

「あれ?

今…

何球目でしたっけ?」

今回はちょっと溜め気味で言ってみた。

顧問が前回にも増して笑う

気持ちよかった。

これが意図的に笑いを取る感覚か
そう思った。

しかし前回と明らかに違うことに僕は気づいていた。

そう

僕は今何球目か確かに把握していた

最初の時は本当に突然話しかけられたので
無意識に数を忘れていた。

しかし冷静に考えてみるとどうだろう。

このくらいのやりとりで数を忘れるほど
僕も馬鹿ではない。

この後も顧問は同じように話しかけてくる
機会が何度かあった。

しかしそれは決まって僕が
トスをあげている時

顧問もわかっていたのだろう。

このノリを見て
楽しそうと思った数人の先輩が
話しかけてくれたりもした。

意図的に笑いを作ることの
楽しさを知った瞬間だった。

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