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ホップ ステップ 突き指

⭐️⭐️⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

昔、テレビで
『すべらない話』を見ていた時
パンクブーブーの黒瀬さんの話の中で

「不幸のホップ ステップ ジャンプ」

というワードが出てきた。

不幸なことが一度起こると
同じように不幸なことが
立て続けに2回
合計3連続で起こる

という意味の
おそらく黒瀬さんの造語だ。

当時中学生くらいだった僕は
話の面白さ以前に

「俺もこれや!」

と共感した。

僕の身の回りでも
同じようなことが起こっていたのである。

黒瀬さんの話の中では
不幸のホップステップジャンプの詳細は
小さい不幸が起こり
それより大きい不幸が起こり
そして最も大きい不幸が起こる

という語られ方だった。

僕の場合は少し違った。


僕の中学校ではある時期から
毎週、朝の時間に
早朝テストというものが行われた。

今までに習った
復習内容を
授業前に確認する

合格点に満たなければ
放課後、補習を受けなければならず

部活動に行けない。

帰宅部も
家に帰ることができない。

いわば試練だ。

僕は全ての早朝テストの内、
3度しか不合格を貰わなかった。

これは自分で言うのもなんだが
結構優秀な方だと思う。

しかしこれが都合の悪いことに
3週間連続だったのだ。

部活を休む時には
必ず顧問に報告に行かないといけない

これが本当に憂鬱だったのだ。

1回目落ちた時はまだ良かった。

はじめてだし、
滅多にないことだから
多めに見てくれるだろう

そんな思いを抱えながら
顧問に報告に行く。

実際そんなに怒られなかった。

しかし問題は2回目からだ。

間隔を開けていれば
ある程度
顧問の怒りは軽減されただろう

しかし
2週連続ともなれば
先週の記憶が鮮明に残ってしまっている。


案の定かなり怒られた。

そして迎えた3週目

僕はもはや
もしかしたら報告に行かなくても
バレないのではないかと
現実逃避ばかりしていた。

ただバレた時の
怒りの大きさは計り知れないだろう。

そう思った僕は
渋々報告に行くことにした。
(1人の人間として当たり前)

この時は
もはや呆れられた。

3週連続になっていなければ
こんなことにはならなかったのに

僕は自分自身の運命を呪った。

これが記憶する限りの
僕の人生の最初の
不幸のホップステップジャンプだった。

ここからが本題だ。

僕は中学生の時、
一度大きな
不幸のホップステップジャンプ
に見舞われることになる。

ある夏の日、
僕は所属していた野球部の
練習に参加していた。

まだ野球をはじめてまもなかった僕は
その時
はじめてスライディング
練習することになった。

大丈夫だろうか

不安で一杯だった。

僕は体がすごくかたい。

でもうじうじしていてもしょうがない。

みんなもはじめは緊張しただろう

僕は思い切って
人生初のスライディングに
踏み切った。



ボキ!!!!!!!!!



グラウンドに爆音が響き渡った。

頭の中に
「痛い」
という感情しかなかった。

何が起こったんだ?

状況が全く把握できない。

すぐに周りの方々が駆け寄ってくれ
僕は病院に運ばれた。

お医者さんに
何が起こったのか聞く。

「靭帯がのびてるね」

靭帯がのびてる?

なんじゃそりゃ

切れてるとか

断裂とかじゃなくて?

のびてる?

「全治3ヶ月やね」

嘘やろ?

なんでそんなわけわからん理由で
3ヶ月も過ごさなあかんねん!

しかもなんで医者
そんなにヘラヘラしてんねん

日常茶飯事みたいな感じで言うてくるやん


いろいろ言いたいことはあったが
その後
僕の足はギブスでガチガチに固められた

家に帰る。

僕のテンションはガタ下りだった。

足をゲンコツで叩いてみる

ギブスでガチガチだ。

ちょっと楽しい。

自分の足じゃない気がする。

その後しばらくは
松葉杖での生活が続いた。

クラスのみんなは割と優しくしてくれた。

僕は野球部の練習に参加できない代わりに
スコアの書き方を覚えることにした。

野球のスコアとは
試合の動きを全て書いて残しておくもので
書き方や記号など覚えないといけないことが
数種類ある。

完全に覚え切った僕は、
練習試合に同行し
スコアを実際につけてみることにした。

実戦形式の試合でスコアをつけてみると
難しさがわかるが

リプレイもないし

途中で
あれ!?
これの書き方なんやっけ

となっても
試合は待ってくれない。

僕は必死に食らいつきながら
スコアを書いた。


試合終了


全ての記録をつけることができた僕は
達成感に浸っていた。

もしこれが今後の
練習の参考になるならば
僕はいい仕事をしたことになる。

顧問が
「スコアを見せてみろ」
と言ってきた。

キタキタキタ!

これはおそらく
かなり褒められるだろう

顧問にスコアブックの
ページを見せる。

その瞬間
顧問の表情が変わった

「ん?なんやこれ!」

しまった!

僕は
自分自身のミスに気付いてしまった。



(ここから回想)

数日前

「いやぁ、スコアの書き方も大体覚えてもうたなぁ。」

大まかなスコアの書き方を
既に熟知していた僕は
少し野球のスコアというものに
退屈さを感じていた。

「なんかすることないかなぁ」

ルーズリーフに書かれた
○や△、×などの様々な記号を見つめる。

「○とか△とかつまらんなぁ」


「そうや!オリジナルの記号考えよ!」


(回想終了)

今覚えば
なんでこんなことをしたのかわからないが

当時中学生だった僕にしてみれば
精一杯の飽きないための工夫だった。

顧問が
スコアブックを見つめ
顔をしかめる

「おい!なんやねんこの記号は」

気づいた頃にはもう遅い。

この後
お前はいったい
この期間何をしていたんだと
怒られたことは言うまでもない。


この記事を読んでいる皆さん

このスコアブックに
意味不明な記号を書きまくって
怒られたことが
ホップステップジャンプの
ステップの部分だと思ったのではないだろうか

騙されたな!

この事件は決してステップなどではない。

これはあくまで
小さな事件に過ぎない。

靭帯のびのび事件から
1ヶ月半が経った頃、

足の痛みはほとんど無くなっていた。

これはもしかして
3ヶ月も待たなくていいんじゃないか?

この頃僕は
足の痛みよりも何よりも
足の痒みに悩まされていた。

シャワーは浴びれるが
湯船に浸かることができない。

僕は風呂が好きだ。

この状況にさすがに
耐えられなくなってきた。

定期検査のため病院に行く。

診察室に入ると
僕の担当医がいつものように
ヘラヘラしながら言う。

「結構回復してるねぇ。
思ったよりもすぐ治るかも」

おじいちゃんの先生は
優しい表情でそう言った。

マジか!
やったー!

ギブスが思っていたよりも
早く取れるかもしれない。
おじいちゃん先生のその判断に僕は歓喜した。

と思った瞬間
予期せぬ言葉が担当医から飛び出した。

「君さ、友達おらんの?」

は?

どう言う意味?

意味がわからなかったし
少しイラッとしたが
ここは病院だ。
しかも順調に回復もしてきている。
まだ怒る段階ではない。

僕はあくまで冷静に聞き返した。

「なんでですか?」

「いやぁ、普通さギブスして学校行ったら
友達とかにペンで落書きされるもんなんよ。
君のギブス真っ白やろ。
友達おらんのかなぁと思って
もしかしていじめられてる?」


は?


ふざけてんのかこのジジイ!

黙れよ!

友達おるわ!

黙れよ!

ほんで俺が
ホンマにいじめられてたらどうしててん!

医者ってのは傷を治すのが仕事ちゃうんかい!

傷増やしてどないすんねん!


思うことはいろいろあったが
その時は
何を言い返してもしょうがないので
僕は黙っておいた。

皆さん
これがステップだと
思ったのではないだろうか

また騙されたな!

これもステップではない。
正直ステップにしたいくらいの
衝撃ではあったが

これも決してステップではない。

この後
僕は驚異的な回復力をみせ
全治3ヶ月のところを
1ヶ月と3週間ほどで
ギブスを外し、
自由に歩き回ることが
できるようになったのだ。


肩で風を切って廊下を歩く

なんて気持ちがいいんだ。

僕はルンルンだった。

生活が普通に戻って 
数日が経った。

僕はその日の朝
いつもの通学路を
自転車で走っていた。

行き道は本当に楽だ。

ずっと下り坂が続いており
13分ほどで学校に着く。

一度試してみたが
工夫をすれば一度もペダルを漕がずに
校内の駐輪場までたどり着けるのだ。

いつものように
坂道を下る。

出発して4つ目くらいの坂道に差し掛かった。

ほとんど何も考えず
ブレーキもかけず
下る。



目の前にトラックがいる




え?

ヤバイ!
ぶつかる!

思った時には遅かった。

間一髪
車体とタイヤの間の
一番ダメージが少ないであろう
隙間には入れ込めたが
勢いよく
トラックにぶつかった。


病院に行く。

担当医が僕の
足にヒビが入っていると言う。

皆さんお待ちかね
ステップの登場だ。

その当時は
この状況が信じられなかった

マジか!
こんな短期間でなる?
普通

これあれか?
不幸のホップステ…

やめよう
そう考えてしまうと
もう1回不幸なできごとが
起こることになってしまう。

担当医の話が全く入ってこない。

「まあまあ
今回レントゲン撮って
ヒビ入ってるって言うたんやけど
ヒビ入ってるって言うのは
折れてるってことなんよね(笑)」

なに笑とんねん


「で今日から松葉杖で生活してもらうんやけど
使い方とか大丈夫?」



大丈夫!!!!!!!



めちゃくちゃ大丈夫じゃ!


再び松葉杖の生活が続いた。

この後
数週間僕は

「この前まで松葉杖使ってて
治ったと思ったら
また戻ってて
ほんまは笑ったらあかんけど
これはさすがに笑てまうわ」

という
周囲の人間の顔を見続けることになった。


数週間後
幸いにもこの怪我は一瞬で治った。

トラックの運転手の方から
もらった慰謝料で
パソコンを買った。

僕は信じていた。

これは決して
不幸のホップステップジャンプ
ではない。

これからは平和な日々が続くはずだ。


ヒビが入っている日々から
ヒビの入ってない日々へ


数日後、
いつもの生活に戻った僕は
前まで以上にスクールライフを楽しんだ。

国語、数学、理科、社会

全ての授業が楽しい。(英語も)

特に僕が楽しんだのは
体育のバスケの授業だ。

小さい時からバスケが好きで
家にバスケットゴールまで
買ってもらった僕は

バスケの時間が楽しくて仕方がなく
とにかく走り回った。

ある日の
授業で
チーム戦が行われた。

クラスを適当に幾つかのチームに分ける。

その日の僕が所属したチームは
割と強いチームだった。

試合がはじまる。

かなり白熱した。

両チームが点をとりあい
残り時間1分というところで
点差が1点差になった。

僕たちのチームが1点負けている。

めちゃめちゃ熱い展開だ。

味方からパスがくる

ここで僕が点を決めれば
かなり盛り上がるだろう

パスされたボールを受け取る。



痛!!!



少し痛かったが
全然耐えれた。

アドレナリンが出まくっていた。

ゴールへと
ドリブルをしながら進む。

体育館シューズと床が擦れる音が響く。

シュートを打つ

僕が放り投げたボールが
輪っかの中に吸い込まれた。


うおぉぉぉぉぉぉ!


クラスのみんなが叫ぶ声が聞こえた。

体育教師の笛の音が鳴る。


ピーーーーーーー


試合終了

僕達は勝った。

僕が試合を決めた。

達成感が僕をつつむ。

整列をし授業の挨拶をすると
チャイムがなった。

更衣室に戻る。

着替えをしていると
ある異変が僕を襲った。

なんか指痛いなぁ

普通の痛さじゃない。


突き指か?


その痛みはその日が終わっても
その次の日が終わっても
止む事は無かった。

僕の体に一体
なにが起こっているんだ?

僕は渋々病院に行くことにした。

レントゲンを撮る。
医者が僕に伝えた。

「うん、これ折れてますね」



ジャンプだ



これがジャンプだったのだ。。

僕は自らの行動を振り返った。

これはさすがにヤバイやろ。
たかが体育の授業の試合やぞ!

アドレナリン出てたからって
気づかんか?

中学生活最後の試合
とかやったらまだしも

俺のアドレナリン出す器官どうなってんねん!

ちゃんと仕事せえよ!

情けない。

僕はその後
包帯でグルグル巻きにされた
中指を見つめた


中指に中指を立てたい気分だ。


これが僕の人生最大級の
不幸のホップステップジャンプの全容である。

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