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東大日本史答案例

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2024年東大日本史第1問答案例

A
答案例
A当初、太上天皇は天皇と同等に国政に関与して政治的実権を保持したが、9世紀前半、政務の場を離れ、国政への関与を控えた。(59字) 

B
答案例①
B奈良時代までは、ヤマト政権以来の伝統的価値観を背景に天皇と結びついた畿内の有力氏族が要職を占めた。9世紀前半、唐風化を背景に従来の価値観は否定され、官僚制原理のより一層の浸透や天皇の個人的な信任を背景に、台頭した文人貴族が要職に就いた。(

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2024年東大日本史第2問答案例

A
答案例
A日宋間を禅僧・商人らが民間商船で往来し、大陸文化がもたらされる中、渡来僧の人脈を活かし、南宋渡来の技術が用いられた。(59字)

B
答案例①…奥州藤原氏を記述する
B奥州藤原氏に対抗するため、頼朝は多額の寄付に応じた。藤原氏滅亡後、朝廷の下で軍事権門としての地位を確立したことに伴い、御家人に奉公の一環として材木運搬や仏像・伽藍造営を負担させた。(90字)

答案例②…奥州藤原氏を記

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2024年東大日本史第3問答案例

A
答案例
A島原の乱以前、日本人の海外渡航や帰国を全面的に禁止して長崎のポルトガル人を隔離したうえで、生糸の確保を目的に貿易を行っていた。乱後、禁教の徹底を目的にポルトガル船来航を禁じた。(89字)

B
答案例①
B従来は幕領の長崎での施策であったが、貿易停止に不満を持つポルトガルが大名領を含む沿岸部で報復行為に出る可能性があった。(60字)

答案例②
B貿易停止に不満のポルトガルが軍事報復

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2024年東大日本史第4問答案例

A
答案例
A地租改正による土地の商品化を背景に、松方デフレや資本主義の進展により自作農は農地を手放した。大戦景気の時期に、重工業の発展を背景に農村の小作農が都市へ流出し、小作地率は停滞した。(90字)

B
答案例
B日中戦争が長期化し、総力戦化する中、国民の戦争協力を促すため、政府は国民生活を維持する必要があった。その一環として食糧増産を促すため、生産者である小作農を保護・優遇しようとした。(

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2023年東大日本史第1問答案例

答案例…荘園整理有
 律令制期、戸籍に基づく人民支配を前提に、律令の規定に基づき、造営に必要な費用・労働力を確保した。摂関期、一国支配と朝廷への税納入を請け負った受領が私富を蓄えていることを前提に、受領に工事を割り当て、受領は成功のために請け負った。院政期、不輸・不入の権を持つ荘園の増加と公領の減少を背景に、荘園・公領に関係なく一律に負担させ、受領・国衙を通じて費用を確保した。(179字)

答案

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2023年東大日本史第2問答案例

答案例
 従来、惣領が家督継承者を決めていたが、義教期には一族や家臣、特に将軍の意向が決定に重要な意味をもった。しかし、将軍の介入は家内部での対立を生んだうえ、嘉吉の変以降、将軍権力の弱体化に伴い、実力を背景に継承を決めるようになり、内紛は激化した。この内紛が幕府有力者の対立と結びつき、応仁の乱に発展した。(149字)

2023年東大日本史第3問答案例

A
答案例①…下層民増加の背景には言及しない
A寄席は歌舞伎と異なり、安価で夜も興行しており、江戸で急増するその日稼ぎの下層民が、気軽に立ち寄れたため、人気があった。(60字)

答案例②…下層民急増の背景に焦点をあてるその①→関東農村の荒廃のみ言及
A関東の農村が荒廃したことで、江戸へその日稼ぎの人々の流入が急増したため、安価で夜も興行している寄席に通う人が急増した。(60字)

B
答案例①

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2023年東大日本史第4問答案例

A吉田内閣期、冷戦が激化する中、単独講和により独立し、対米従属を余儀なくされた。鳩山内閣期、東西対立の緩和を背景にソ連との国交回復が実現し、岸内閣期に日米関係の対等化が目指された。(90字)

B鳩山内閣の改憲を阻止する議席を獲得した左右社会党が再統一すると、分裂していた保守政党も合同し、保革二大政党の対立が鮮明となった。岸内閣が安保改定を強引に進めると、対立は激化した。(90字)

2022年東大日本史第1問答案例

小問A
A畿内・七道それぞれに一通の文書を作成し、使者によって駅路に沿って都から近い順に伝達され、国司が受け取り、文書を写した。(60字)

小問B
B命令は国司から地方支配の実務を担う郡司に伝えられた。郡司は管轄下の役人に、命令内容を記した木札を道路沿いなどに一定期間掲示するとともに、識字能力のない民衆のため口頭で伝達するようにも命じ、定期的に行われる農耕祭祀の際にも繰り返し伝達した。(120字

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2022年東大日本史第2問答案例

鎌倉期以来、上皇の生活費は荘園、即位に伴う儀礼の費用は一国平均役により確保されていた。南北朝期以降、武士の荘園侵略が進む中で室町幕府は荘園の維持に努め、幕府支配が安定した後、守護を通じて上皇の所領や即位に伴う儀礼費用を確保していたが、応仁の乱による幕府・守護の衰退に伴い、それらの確保が困難になった。(150字)

2022年東大日本史第3問答案例

小問A
A豊臣政権は身分分離と農業専念を理由に没収したのに対し、江戸幕府は田畑が荒廃して年貢納入に支障が出る場合や人間・家畜に危害が及ぶ可能性がある場合、害獣駆除のため所持と使用を認めた。(90字)

小問B
B仏教に帰依していた徳川綱吉が生き物全般の保護を命じる生類憐れみの令を発令したことにより、生命を尊重する風潮が広まった。(60字)

2022年東大日本史第4問答案例

小問A
A小学校令で義務教育の整備が進み、識字・計算能力など実学を学んで、労働者の質が向上した。輸入紡績機や蒸気機関の導入、器械製糸の改良が進み、憲法や民法公布に伴い、財産権も保護された。(90字)

小問B
答案例①
B大学令公布により高等教育が拡充され、新中間層が増加した。重化学工業が発展し、電力の導入が進んだうえ、1920年代後半以降、アメリカをモデルとした産業合理化による生産設備の更新が進

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2021年東大日本史第1問答案例

答案例①
承和の変以降、文人官僚が出世する可能性はなくなり、太政官の高官は政務に必要な能力を身に着けた藤原北家・嵯峨源氏ら天皇のミウチが独占した。また、皇位が仁明直系で継承され、外戚である藤原北家が天皇の権力を補完したうえ、法典編纂など官僚機構の整備もあり、天皇個人の能力に関係なく国政運営が可能となっていた。(150字)

答案例②
承和の変以降、文人官僚が出世する可能性はなくなり、太政官の高官は

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2021年東大日本史第2問答案例

小問A
A荘園の支配権と年貢収納権を持つ荘園領主は、地頭らが新たに開発した田地の面積を正確に把握して、年貢の増額を図ろうとした。(60字)

小問B
B地頭請は地頭が荘園領主の検注を拒否する根拠として利用された。荘園内の開発を主導していた地頭は新たな開発地への課税を回避するとともに、開発を通じて、荘園現地における支配を強化した。(90字)