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vol.24:お年寄り並みに早寝早起きボーイといつまでたっても夜型ガール

障害者家族エッセイストの川島田ユミヲです。

表題通り、我が弟きよはるは、早寝早起きさん。
19時台に食事が終わり、歯を磨いて、20時台には布団に行きます。
24時前後に1~2回ぐらいトイレのために起き、4時~6時台には起床。たまに2時台とか3時台に起きたりもする。起きて何をするかというと、居間のTVに録画してある「笑点」と「サザエさん」を観ながらゴロゴロまどろんでいたいのである。そのまま朝7時頃まで、二度寝。トータルで10~11時間の睡眠時間。これ、盆暮れ正月関係なく、時間の波やムラはあれど、オールシーズン共通のルーティーン。なので、我が家の人間は

「あ~~~~~サザエさんか~~~~、明日月曜日か~~~~~」

と憂鬱になる、サザエさんシンドロームを回避できています。もはや毎日が日曜日だからね。笑

私はというと、元々深夜にあれこれやりがちな夜型さん。職業も相まって就寝は平均25時~26時の間。

布団に入って1~2時間後に、キヨは起きてしまう。

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白目剥いちゃう。←

さすがにブッ続けで起きていられないので、申し訳ないけれど居間で二度寝してもらいつつ、私も一緒に朝7時ごろまで寝させてもろーてます。(写真がその状態)

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以前はこうしてキヨが「布団出る!」と目ェバッチバチで起きてくると

「〇〇〇(通所施設の名前)に行くまでに何時間あると思ってんの?!そんなに早く起きてもしょうがないでしょ!何で私を布団で寝かせてくれないの!!」

って、夜中に怒ったり、叩いてしまったことも何度もあった。完全に、私の都合でしかない。布団でゆっくり寝たいなら、今の仕事は続けるべきではない。キヨ本人は十分すぎる睡眠時間を取っているのだから、自然に目が覚めてるのに何で怒られなあかんねん、という話なのである。

あくまで、キヨの生活が優先。キヨとの生活ありきで、私はやりたい事をやる。今の仕事もできる限り続けたい。それが私の、キヨと二人三脚で生活するにあたっての、目標。

自分の都合で怒るなんて、私が最も嫌いな母親がしてきた事と同じ。
もうこのエッセイを読み続けている方には周知の事実かもしれないが、私は自分を育ててくれた母親が大嫌いである。敢えて “自分を育ててくれた” という言葉を添えますが、血が繋がっていると思いたくないほどに嫌いである。巨大隕石ばりに大きなコンプレックスを抱いているが故に、母親がしてきた言動や行動を自分もしてしまう事が、本当に本当に嫌で仕方がない。

やめよう。私が寝たくても寝れない問題で、怒るのはやめよう。
キヨにとってもよろしくなければ、自分の精神衛生的にも良くない。

その折り合いは、すぐにつけることが出来た。
起きたければ起きればいいのだ。

前述した通り、キヨは起きて居間のTVで録画してある「笑点」「サザエさん」を観ながらゴロゴロしたい。最早それが彼の、モーニングルーティーンなのだ。やれ朝起きたら筋トレとか、お白湯とかスムージーを飲むとか “ 意識高い系 ” のモーニングルーティーンかと思いきや、うちの弟は「笑点」と「サザエさん」鑑賞ですよ。激シブい。もしくはシブ知(ち)。ボキャブラ天国のあの座標軸で言ったら “シブ知”の8:2ぐらいの場所に貼ってもらえるはず。

私は私で、平日はキヨが通所施設に行っている間に、やるべき家事を終えて、昼~キヨがバスで帰宅する夕方まで、全力で寝ればいい。夜の仕事のパフォーマンス能力も保てる。超ウィンウィン。一石二鳥じゃん。

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そういえば、キヨとの二人三脚生活を決意して実家に戻った2011年3月初旬、敬愛するRHYMESTERの新しいアルバムがリリースされた。
そのアルバムの収録曲「Hands」を聴いて、私はいたく励まされた。

2010年、大阪で起きた悲しい事件を覚えている人はどのぐらいいるだろうか。母親が自分の子供2人を育児放棄し、餓死させてしまった事件を。
残念ながらネグレクト(育児放棄)はおそらくもっと昔からあった事象だと思うが、この事件に関しては母親が語る動機や経緯などがTVやネットのニュースなどで大きく取り上げられたこともあり、とにかく衝撃が大きかった。「ありえない」「最低な母親」などの意見が噴出した。
しかし、残念ながら「ありえない」事ではない。「あってはならない」事ではあるが、人間の本能は時に恐ろしい事だってしてしまうのだ。

RHYMESTERの楽曲「Hands」は、その事件をきっかけに、果たして母親だけが悪いのか?周りを取り巻く環境はどうだったか?もっと何かできる事はなかったか?未来のためにできる事はないだろうか?など様々な思いから制作されたインスパイア・ソング。

過酷な環境で子育てをするお母さんの大変さ。お母さんだってひとりの人間であると同時に、お母さんだって昔は子供だった。誰もが同じ人間なんだ。

このメッセージに、私はボロ泣きしてしまった。私はお母さんでもなんでもないけど、この曲って私のような介助(はたまた親の介護)をする立場の人間にもきっと響くんじゃないか、と思った。本当に素敵な曲を作ってくれてありがとうRHYMESTER…これは直接お礼を言いに行かなければなるまいて…。と、タワレコでアルバムリリース記念LIVE&握手会に行きました。私は
「家族の介助をしている自分にもガツンと響きました……」
と、グズグズに泣きながらMummy-Dさん→DJ JINさん→宇多丸さんの順で握手してもらった。うう、この時の事を思い出しただけで涙が出る……。

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そんなこんなで、私はRHYMESTERのおかげで、キヨや家族に対して理不尽に怒る事をやめられた、と言っても決して過言ではないわけです。
ライフサイクルが全く違う私たち姉弟だけれど、何がダメとか何が悪いとかではなく、そうするには何かしらの理由があるんだという事を、常に考えていきたいと思っています。

<完>

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☆おまけ☆

最近のキヨのブスかわいい寝顔を激写しました。

わろてんか
時々目を開けて寝てます

小さい頃から寝ている時の指しゃぶりが止められない彼なのですが、もうアラフォーのいいおじさんなので、最近は歯槽膿漏が気になるお年頃。歯ぐきにポツッとできたデキモノを親指で気にして触っているみたいです。

何とかしないと……歯医者…私は歯医者好きだけど、キヨは歯医者がこの世で一番嫌いだから……(とりあえず歯槽膿漏に効果がありそうな塗り薬、はじめました)。

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今日もお読み頂きありがとうございました。大型連休を挟むとなかなかパソコンにじっくり迎えず、そのままズルズルと過ごしてしまってどうしても更新が滞ります…(去年もそうだった)
また元のペースであーだこーだ書いていきますので、引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします!

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ハードルがあるのは障害者だけじゃない。「私たちは健常者だから」と言うそこのあなただって、職場や家族間での対人関係だったり病気したり大変な事(ハードル)が沢山あるでしょ?という意味で、エッセイのタイトルは「世の中全員、障害者。」と言います。おススメ&サポートして頂けたら嬉しいです。