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vol.12:望まずに着る“制服”は脱ぎ捨てろ、ファッショニスタであれ

障害者家族コラムニストの川島田ユミヲです。

少し時間が空いてしまいましたが、東京パラリンピック2020が終わりましたね。選手の皆さまも、選手をサポートする皆さまも、関わった全ての人々に、心からのお疲れさまでしたを。

私自身は過去のパラ大会を観てきたかと言うと、全くと言っていい程観た事がなく、やはり東京で行われる大会は、自分が生きているうちにはもう二度とないだろうな、というミーハー心と、こうしてコラムを書き始めたのも相まって、大きく関心を持つ事となりました。ボッチャすごかったなー。

開会式や閉会式も最高だったなー。あの式典のフィールドにいた演者の皆さま、とてもキラキラしてて楽しそうでしたね。衣装も演出も本当に素敵でした。

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さて、ぼちぼち表題に関してのお話を。

私が一人暮らしをやめて実家に戻ってきたとき、弟のきよはるは体重が80kg近くありました。

↑以前も書きましたが、環境的ストレスで暴食、元来料理は得意じゃなかった母親と共にコンビニ弁当やカップ麺生活。ポテトチップスなどのお菓子も大好きなので、そこに間食が乗っかり、ヤクルトをいっぺんに5本コップに注いで飲ませていたり。

それはアカン。

母親からキヨのイッサイをバトンタッチして、まずやったのはもちろん、食生活の改善と、脱引きこもり。本人が望んで引きこもっているわけではなかったため、養護学校(現:特別支援学校)を卒業後にお世話になっていた通所施設にカムバックさせた。

スルスルっと、1年で25kgぐらい落ちた。

こんなに上手くいくとは。うらやましい。←

そこで次の課題として、着ていた服のサイズが合わなくなってきた。もとい、うちの母親のファッションセンスが壊滅的で、キヨに着せている服が全部ダサかった。

私の地元・東村山には障害者支援施設がいくつも点在している。道で障害を持つ施設利用者の方にお会いする事も多い。

どちらかと言うと女性の方は色とりどりの服装をしているけど、男性の方は同色の上下スウェットとか、襟ぐりのヨレた無地のTシャツにジャージのズボンを履いているような人が多かった。

もちろんご自身で選んでいる人もいると思う。しかし、うちのきよはるのように「自分で買い物ができない」「着る洋服を選べない」と言う人もいる。もしかして他の親御さんで、うちの母親みたいに子供の洋服を大体で選んで、着せてる人いない?そんな疑問がよぎった。

そこに至るまでの背景として考えられるのは、例えば薬の副作用とかでよだれダラダラ垂らす人もいるし、うっかり怪我や粗相をしがちな人もいるから、経済的にそんなに洋服ばかり買えない、金額が高いものをすぐにダメにしてしまったら勿体ない、などが挙げられる。様々な事情があるのは前提なので、ここではあくまで個人的な体感としてのお話をさせて頂く。

端的に言うと、学生時代にみんなと同じ制服を着てるの、なんか退屈で鬱陶しくなかった??です。

みんなちょっと制服にプラスワンでベスト着たりカーディガン羽織ったり、こっそりアクセサリーして行ったり、カバンに落書きとかキーホルダーつけて、放課後学校から出たらルーズソックスに履き替えたり(その世代です)、しませんでした?諸先輩方、制服の学ランの長さや、スカートの長さ、変えたりしませんでした?

地味な服装=障害者の “ 制服 ” になっているなら、うちの弟にはその制服を脱ぎ捨ててもらい、オシャレでカラフルに遊ばせたい。

かくいうキヨも、まーまー転んでズボンの膝が破けたり、Tシャツの襟ぐりガジガジ噛んでしまったりするので、洋服に穴が開くのは大小限らず日常茶飯事。端から洋服は “ 消耗品 ” だ。今は “ ファストファッション ”とか “ プチプラアイテム ”とかあるし、お手頃な価格で買える。

キヨは施設で発生するお給料も僅かながら頂いているし、障害年金だって支給されている。本人のために使わずしてどうする。

よし、これからはキヨにもオシャレしてもらうぞ。

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私が公私共に親交がある独立系映画プロダクション「シネマ健康会」の代表 兼 監督、松本卓也さん(写真右下の赤Tシャツの方)が、新潟県粟島浦村の公認非公式ゆるキャラ「泡姫ちゃん」のTシャツや、松本さんの映画制作における座右の銘「ノーマネー ノー真似」Tシャツなどを作って販売していたので、目立つ色の物を買って着せたり。泡姫ちゃんが「TVチャンピオン」で取り上げられた時は確か施設の支援員の方にも

「川嶋さんがいつも着てるTシャツ、この前TV出てましたねー!」

って話題にしてもらった。シンプルに、友人が作ったものがTVに取り上げられて嬉しかったのはあるが、会話やコミュニケーションのきっかけになったのも嬉しかった。当のきよはる本人はというと、人の輪の中心にいるのが好きな「ずっと俺のターン原理主義」なので、そうして

「川嶋さん、Tシャツ素敵ですね〜〜!」

と言ってもらってまんざらでもない感じ。

方向性が決まった。

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古着も色々着せてみたり

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音楽系Tシャツその①。レッチリ、ソイル、NakamuraEmiさんに、昔懐かしいCOKE HEAD HIP STARSも。

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音楽系Tシャツその②。左上から時計回りに、姉弟揃ってBRAHMAN→ニルバーナ→グレイトフル・デッド→コンピアルバム「加山雄三の新世界」Tシャツ。

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敬愛するRHYMESTERのTシャツも、たくさんあります。RHYMESTER主催フェスの「人間交差点」では

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友情出店「スナック玉ちゃん」でTシャツを買い

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超イケてる「全日本スナック連盟」Tシャツ。これは通所施設でも話題になったようです(そりゃそうか)。

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双子のラッパー 上鈴木兄弟とギタリスト さいとうりょうじさんのバンド「P.O.P(ピーオーピー)」のTシャツもたくさん。

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特技:ベロが縦になる。

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チームラボに行ったら文字が光ったP.O.P Tシャツ。

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タイのスーパースター STAMPさんとパチリ。

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乙武洋匡さんともパチリ。またお会いしたいなぁ。

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バンド&ミュージシャンTシャツ以外にも色々と。左上から時計回りに、たりないふたり→チャンスタイム→夏びらき2016→99人の壁。

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ついボーダーのシャツを買いがち。笑

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ボタンのシャツは、襟をぐいぐい引っ張ってしまうのですぐボタンが取れてしまった。今ではそんなに着る頻度は少ないですが、アロハとかめちゃ似合ってたな。

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ユニクロ・ジーユーのコラボシリーズには、大変にお世話になっております。

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冬服だってオシャレに。くら寿司では謎にコブシをきかせがち。笑

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元々は帽子を被りたがらなかったのですが、施設における活動中で発作で転倒する事が増えてきたため

「川嶋さんはヘルメット(当時は自転車用)を被らないと、ウォーキングに行けませ〜〜ん!」

と、支援員の方が言い聞かせてくれたおかげで、すっかりヘルメットやヘッドギアを始めとした被り物を好むようになりました。笑

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てんとう虫とまった。フォトジェニック。

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おまけ。外出コーデ。

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これはなんかネタ的にコラージュした感じ。左上から時計回りに、雨ガッパ→アパホテルの浴衣→サルエルパンツ上までぎゅーん!て上げ過ぎ→家で着るお気に入りのオレンジのベスト。

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そうそう、今度ここで新たにキヨのTシャツを買おうと思っている。

作家・岸田奈美さん経由で知った「ヘラルボニー」、障害を持つ人の中で絵や模様を描くのが好きな人のデザインを元に、アパレルや雑貨などのアイテムを様々生産して販売しているらしい。

奈美さんは、東京パラリンピックのスタジオゲストの際に、このヘラルボニーのアートブラウスで出演されていた。あの黒い丸がたくさんのブラウス、素敵だったなぁ~~~。

自分が描いた絵が商品になって、こうしてTVに映ったり、今はインターネットの時代だから、インスタとかに自分の作品を買ってくれた人の投稿とか観たら、きっと作家さんたちは嬉しいだろうな。

「障害は、欠落ではなく、絵筆になる。」

HPに載っていたこの言葉、すごく心を打たれました。キヨのTシャツ以外にも私もなんか買おーーっと。

「障害者、陰の時代」なんて、もうとっくに終わっている。

派手に行こうぜ。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。


ハードルがあるのは障害者だけじゃない。「私たちは健常者だから」と言うそこのあなただって、職場や家族間での対人関係だったり病気したり大変な事(ハードル)が沢山あるでしょ?という意味で、エッセイのタイトルは「世の中全員、障害者。」と言います。おススメ&サポートして頂けたら嬉しいです。