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デジマート

インプレスグループの株式会社リットーミュージックは、楽譜や教則本、楽器専門誌などを手掛ける出版社ですが、楽器のオンライン販売プラットフォームを手掛けています。今回は楽器と音楽機材専門の検索&総合情報サイト[デジマート]をご紹介します。

オンライン楽器販売システムの
先駆けとなったデジマート

株式会社リットーミュージック

Web黎明期の1997 年にいち早く楽器専門検索サイトとしてオープンした[デジマート]。技術や市場の変化に合わせて、スマートフォンや決済機能などに対応して、国内最大級の楽器専門ECモールへと発展した。


オンラインで楽器を買う文化に先鞭をつける

 1997年の公開当時、[デジマート]は株式会社インプレスA&Dによって、企画開発された。楽器売買の仲介に始まり、次第に全国の楽器店を紹介するWebサイトとなったものの、すでに[インプレスダイレクト]で直販ECを手掛けていたグループにとっては、[デジマート]のECモール化への流れは、いわば必然的な取り組みだったといえる。

楽器売買の仲介、中古楽器オークションサービスなどを提供するWebサイト(左)から、全国の楽器店を紹介するサイトを経て、楽器のECモール(右)へと進化を遂げた[デジマート]。


 当時、楽器はオンラインでは売れないという認識が業界のEC進出を阻んでいた。〝楽器を試奏しないで買うなんてとんでもない〞という認識が多数派を占めており、[デジマート]もECサイトではなく、楽器店が取り扱っている商品の情報を載せ、ユーザーはそれを参考にして、楽器店に足を運ぶという流れになっていた。

 ところが、社会的にオンラインで商品を買うという行為が広まるにつれ、楽器においてもオンライン販売は自然と受け入れられていった。例えば、[デジマート]には、新品以外にビンテージ物のギターなどを扱う[ビンテージマート]がある。

[デジマート](https://www.digimart.net/)内には、ビンテージ専門の[VintageMart]など、特設ページも用意されている。


 ビンテージ、あるいはレアな中古商品などの1点モノの商品は、自宅から離れたショップにしかない場合が多い。
 また、それらの楽器を試奏する意識もユーザーによって大きく異なる。

 「楽器店を訪問した際に、店内で試奏をしている人を見ていると、上手い人が多いなと思うのですが、人前で演奏することに自信がない、恥ずかしいなどとなると、楽器店に行ってもギターのフレットを抑えたり、構えた感触を確かめたりといった確認しかできないかもしれません。であれば、ECモールで購入するというのもひとつの方法だと思います」(本間彰/リットーミュージックデジマート事業部部長)


豊富な品揃えで購買意欲を喚起する

 [デジマート]は2022年2月時点で出店店舗数約520店、商品掲載点数39万点を誇る。

 「PVや滞在時間などを分析すると、検索結果のページが約8割を占めています。購入予定がなくても、空いた時間に気になる楽器のページなどを見て、ウインドウショッピングのように楽しんでいる人も多いのではないかと思います」(本間)

 2020年12月にはスマートフォンアプリもリリースし、ユーザーが家やパソコンの前にいなくても、気軽に楽器探しができるようになった。


楽器店とユーザーのつながりを重視

 ショッピングカートや決済機能を備えたことから、自前で仕入れた楽器を販売することもできるが、楽器店の個性を大切にし、ユーザーとお店のつながりを大切にしたいという理念から、プラットフォームの提供に徹している。

 「楽器は購入すればそれで終わりというものではありません。アフターサポートや問い合わせ対応などを含めた楽器店ごとの個性がわかるようにして、ユーザーが信頼できるお店を選んで購入できるようにしたいのです。ソート機能で最安値がわかるだけでいいというサイトにはしたくないですね」(本間)

 [デジマート]に出店する際には審査があるが、古物商許可証を持っているかといった形式的な条件のほか、ユーザーを大切にするかどうかという点も重視するように心がけているという。[デジマート]が20年以上にわたって、ユーザーと楽器店を結び付ける役割を果たしてこられた秘訣はそこにある。


グループの強みを生かして差別化

 試奏ができないというオンライン販売のデメリットを解消するため、[デジマート]には取り扱っている商品を紹介するWebメディア『デジマート・マガジン』がある。リットーミュージックは、『ギター・マガジン』や『キーボード・マガジン』をはじめとする楽器メディアを社内に抱えていることを生かして、他社との差別化を図れるのだ。

『デジマート・マガジン』には、販売されている楽器をより深く理解してもらうための記事が定期的にアップされる。


 「『デジマート・マガジン』もそうですが、リットーミュージックが会社として多くの楽器メーカーと深いつながりがある点も、大手のECモールに対抗するうえで、大きな強みとなっています。とはいえ、それゆえに、ECモールとして、リットーミュージックの殻を破れていないところが現状の課題ですね。せっかくインプレスグループにいるのですから、ほかのグループ会社と協力して、音楽以外の専門性を生かした展開ができないか、考えているところです」(本間)


[デジマート]運営の現場から

デジマートは楽器をお届けしたい加盟店様と、より良い楽器を手にしたい注文者様をつなぐ機能を担っているため、取引規模が拡大する中、双方から激励の言葉や機能追加の要望など、さまざまな「お問い合わせ」がシステムサポートに寄せられます。対応できることも、すぐには対応が難しいこともお声として運用に生かしていきます。

 なかには「クレジットカードを不正利用されてしまったのですが」なんていう、思わず冷や汗をかいてしまうような相談事もあったりしますが、そんなときは焦らず、一度冷静に受け止めることを心がけています。声の主が本当に解決したいことは何なのか、緊急性は高いのか、既存の機能で代用はできないのか、システム的には実現可能なことか、本当に必要なことであるのか等の思考を巡らせ、ひとつずつ対応していきます。

 サービス全体から考えるとごく一部の作業であっても、この積み重ねが現場に即した機能を構築し、さらには信頼関係を築いていくために必要なものだと考え、今日もシステムサポート業務を進めています。
(余川寛樹/デジマート事業部システム・サポート部課長)


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