自然現象の神仏と知られる風神雷神、俵屋宗達以外にも尾形光琳、酒井抱一や葛飾北斎なども描く
先日、クロアチアの友人と京都 建仁寺を訪れた際に、友人は禅寺の風景に感銘を受けたようだ。その中でも枯山水や池泉式庭園の美しさ、そして百八畳もある天井画 双龍図の迫力には度肝を抜かれていた。彼は、幼少のころから日本武道に親しみ、日本文化に興味をもっていることから感動は計り知れなかったようだ。
さらに、彼の心を鷲掴みしたのが俵屋宗達の「風神雷神屏風図」。金地に風神と雷神が左右上部に睨み合っているかのように描かれているのはご存じのとおり。宗達の大傑作として後世に伝わっている絶品である。
宗達以外で、この「風神雷神屏風図」を描いているのが琳派の尾形光琳や酒井抱一、そして異色ではあるが葛飾北斎などがいる。光琳は、ご覧のとおりほぼ完全な俵屋宗達版の模写である。(日本美術大全集より)
先日、図書館で美術大全集のページを捲っていると「風神雷神屏風図」が目に留まった。宗達の「風神雷神」とどことなく違うことに気づき解説を見ると尾形光琳のものだと分かった。
風神雷神は二十八部衆の一体の神仏であるが、自然現象を象徴しているという親しみやすさから徐々に2神の存在だけがクローズアップされていった。そういうことから風神と雷神は民間信仰の対象として庶民に親しまれていったようだ。
とくに、菅原道真公は雷神を崇め天神信仰の礎にしたことで庶民に大きな影響を与えたといわれている。仏教というカテゴリを超えた神様として日本文化に浸透していった。
友人は、自然現象の神様として「風神雷神図」を捉えたのかもしれない。彼は、クロアチアにある自身の道場には神棚が祀られている。彼は、神道の一員としてこよなく武道を愛しヨーロッパで活動をしている。日本の伝統文化や芸術に触れることにより日本への敬愛がさらに深まっていく。
リポート&写真/ 渡邉雄二
写真資料/ 建仁寺・日本美術全集(学研)
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