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「なまあたたかさ」の時代。

【ゆる物書きサロン、文系女子&男子のためのたまり場、言葉のパーソナルトレーナー、遊んで学べる文章ジム、こと「おとなの寺子屋〜文章教室〜」、次回は8月7日(土)開催です】

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 「生暖かい」という言葉が、ちょっと流行った時期があります。「ま、そういうわけなんで、これからも生暖かい目で見守ってください(笑)」のように使われました。
 
 意味としては「しょうがない奴だと思ってかまってください」「あまり厳しくしないでくださいね」ぐらいのところ。「暖かく」ではなく「生暖かく」というところがポイントです。
 
 昨今のコミュニケーションの特徴のひとつに「ゆるさ」があります。
 
 事前にきちっと予定を決めるのではなく、ぎりぎりまで保留する。堅苦しいメールではなく、だらだらとチャットできるLINE。ひとりに直接話しかけるのではなく、みんなのいる場で適当に絡む・・・。
 
 ITツールの進化とともに進むこうしたトレンドに、なじめない人も多いかもしれませんが、大きな時代の流れであることは確か。多かれ少なかれ、対応していかなければなりません。90年代に携帯電話が登場し、待ち合わせ時間と場所があいまいになったのと同様です(「着いたら電話して」)。
 
 こうした傾向は当然、使われることばも変えていきます。
  
 「暖かく見守ってください」だと、本気で見守ってほしいみたいで気恥ずかしい。かといって、すっぱり関係を断つのもさみしいし、たまには連絡を取り合いたい。そんなとき冗談っぽいトーンで「生暖かく見守ってください」と頼めば、言われたほうも悪い気はしないし「ま、なんかあったら適当に連絡ちょうだいよ」と返せるわけです。
 
 こうした言葉づかいに対して「けしからん」「使い方が正しくない」「で、結局どうすればいいんだ?」などと目くじらを立てるのではなく、それこそ生暖かく見守っていきたいものです。



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