「みんなの心の根っこになれ」

♪「いつの〜まにか〜おおき〜くなった いつの〜まにか〜泣かな〜くなった」

4歳の息子が歌っている。そうか、もう卒園式の時期が近づいてきているんだ。


この曲を初めて聴いたのは、今は小学生の娘がまだ保育園に通っていた頃。少し早めにお迎えに行った際、その年の卒園児たちが練習で歌っている声が耳に飛び込んできた。そして、歌詞を認識した瞬間、思わず涙が出てきた。

いつのまにかおおきくなった
いつのまにかなかなくなった
いつのまにかこけなくなった
いろいろできるようになった

ああ、これはあかんやつや……。我が子が卒園する訳ではなかったのだが、入園してからの日々が走馬灯のように駆け巡る。(死なんけど)

はじめてのであい
はじめてのなかま
はじめてしったたくさんのこと
ないてわらったまいにちが
みんなのこころのバネになった

娘が入園した際の慣らし保育の時は、娘も泣いてたけど私も寂しくて泣いたなぁ……。お友達と喧嘩をしてしまって心配した日もあったな。いつのまにか保育園が大好きになって。みんな小さかったのに、本当に大きくなったよなぁ。
練習の歌声に不意打ちで泣かされて、その後、娘が家で歌う度に感動してこっそり泣いていた歌、『こころのねっこ』。今年も、この曲を練習する季節が来たのだ。


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先週、またも園でコロナが複数人出て、息子が通う保育園が休園。そして、今年度最後のイベント生活発表会を中止せざるを得なくなった、と連絡があった。

我が子の保育園は発表会に非常に力を入れており、先生方の熱の入った指導に園児たちが応え、想像以上の成長に毎回感動させられる。たくさん練習していたのに……。息子はまだ来年も再来年もあるが、今年最後の学年の子たちのことを思うと辛い。

今年の年長さんは、娘の同学年に兄や姉がいる、弟妹たちが多い学年。そのため赤ちゃんの時から知ってる子も多い。
お兄ちゃんやお姉ちゃんにくっついていた、あの小さかった子たちがもう小学生か。時が過ぎる早さにびびる。みんな大きく、立派になったなぁ。
最後の発表会も、お別れ遠足までも中止になって。「仕方ない」なんて、言葉で済ますことが難しい。

これからのであい これからのなかま 
これからであうたくさんのこと
ここですごしたまいにちが
みんなのこころのねっこになれ

生活発表会は中止になったが、もう作られていたのか演目プログラムが配布された。
そのページの最後にこんな文字があった。

発表会のれんしゅうを毎日がんばりました。
このがんばりは決して無駄にはなっていないと思います。


ああ……。言葉が出ない。うん、絶対、そうだと思う。あんなに毎日頑張っていたんだから。無駄になんてなるはずがない。
先生たちの無念が伝わる。何とか分散の参観形式でも発表する方法を模索している、とのこと。

はじめてのであい はじめてのなかま
はじめてしったたくさんのこと
ここですごしたまいにちが
みんなのこころのねっこになれ

このような情勢の中、子どもたちはまだ知らなくて良いはずの、悲しい気持ちを知ってしまったかもしれない。けど、その思いはきっと、心の根っこになっているよ。力を合わせて、一生懸命頑張った日々は決してなかったことにはならないから。

みんなのこころのねっこになれ

上記引用すべて『こころのねっこ』


なんとか練習の成果を、卒園児の保護者が直接目にする機会が得れますように。そして、予定されている卒園式も、無事執り行われますように。

全員が揃った『こころのねっこ』の歌声が、保育園に響き渡ることを祈っている。


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