信頼できる詳しい人たちがくれたキッカケ

僕は格安SIMを長年愛用しています。格安SIMの初期の頃を覚えていらっしゃる方もおられるかなと思いますが、初期は「電波状況が悪くなりやすい」と言われていました。近年殆どそういうことはありませんね。

格安SIMを僕に紹介してくれたのは小学校時代仲良くしてくれた上級生です。もちろんスマホの話なので、それは成人してからのことなんですが、いま思い返せば彼は初期の「テック系」の家の子供で、父親がIBMのエンジニア、家族みんなの趣味がアマチュア無線、シリコンバレー帰りの帰国子女でした。よく家で無線で遊ばせてもらった記憶がありますが、僕がインターネットを学んだのも彼からで、うちの実家に無線LANを設置してくれたのも子供時代の彼です。危うく僕に「パソコンの作り方」まで教えてくれそうになりましたが、僕はそこまではついていけませんでした。どういう意味かというと当時はパソコンを手作りするための部品は滋賀から大阪まで買いに行かないといけませんでしたが、僕にはあいにく大阪までマザーボードを買いに行くパッションがありませんでした。それでもデジタル通信に関して僕は子供の頃から彼を随分とあてにして今に至ります。

自分のブラックベリーを手に持っているとき時々ふと「格安SIMの存在を彼が紹介してくれていなくても、僕は自発的に格安SIMに移行できたかな？」と考えることがあります。

「電波が少し悪くなることがあるけど」と忠告してくれた時、「でも彼がいうんだから、きっと大丈夫だろう」と手放しで信頼できるような心地よい安心感を覚えました。一つで構わないからそういう絶対安全な安心感を人に与えられる人間でありたいなと思います。

（ 文・西澤伊織 ／ イラスト・フッカさん ）