見出し画像

Saiとは ー企画概要と個人的な話ー

- 差異を受容し、才をつなげる -


あらゆる人が協力しなければ、貧困や孤立、児童虐待といった困難が複雑に絡み合う社会課題の解決はありえません。
 
しかし、立場の違い、見えているものの違い、考え方の違いによって、本来協力すべき私たちの間に不要な軋轢が生じることがあります。
 
私たちの間にある「差異」をお互いに受容できれば、この問題は解消されるはずです。
Saiは、私たちの間にある「差異」を受容するきっかけをつくります。
 
そして、志を持つひとつひとつの「才」がつながり続ければ、困難で複雑な社会課題を解決する道が見えると考えました。
 
そのためにSaiは、現場だけでなく様々な立場で活動する人と対話し、その思い・実践・知恵の本質を言葉で描き出し、多くの人に伝えます。
 

- 異なる考え方・手法を綜合し、社会課題解決の道を見つける -


現場の視点を持たなければ、解決すべき課題のリアルは見えない。
様々な立場の視点を持たなければ、絡み合った課題の本質は見えない。
課題が見えなければ解決策もわからず、長期的な意思決定は行えない。
 
この不合理を乗り越えることが、Saiのもう一つの目的です。
 
異なる考え方・手法に触れ続け、それを成し遂げます。

※PDF版はがんばってデザインして作っています。
 パソコンやタブレットからはこちらの方がおすすめです。
 バックナンバーは以下のサイトからダウンロードいただけます。 
 

なぜSaiをつくったのか -個人的な話-


上記では企画概要について述べましたが、「県庁の一公務員」がなぜここまでするのか、という思いにも触れさせていただきたいと思います。
以下は個人的な話になりますが、よければお付き合いください。
 

-「もしかしたらの当事者」としてこの現状を放っておけなかった-


私は滋賀県庁で令和3年度から児童養護施設を担当し始めました。
故あって県庁組織から離れようとすら思っていた時期でしたが、しばらく仕事するうちに、これは何か重要そうな仕事だと感じ始めました。
そこで実態をもっとよく知るために、県内の児童養護施設をはじめとする各施設に伺い、現場を見て、現場にいる職員からお話を聞きました。
 
そこで初めて、壮絶な背景を背負わされた子どもたちの話や、その子たちのケアのため、にわかに想像しがたい苦労をしながら生活を共にしている職員の話をお聞きしました。
これを境に、この現状を何とかしたいと強く感じるようになりました。
 
思えば、私の父方の祖父は里子でした。
幼少の頃に肺結核で近親者をすべて亡くし、遠縁に預けられたのです。
今ならわかりますが、祖父は明らかに虐待を受けていました。
孤立無援のままそういった環境に生きる苦労は想像しがたいものがあります。
それでも必死に生きて、家庭を持ち、私の父が生まれました。
 
一方、母方の祖母も、詳しい事情は言えないのですが、祖父と同じかより厳しい環境を生き延びてきたと聞いています。祖父同様に必死に生きて、私の母が生まれました。
 
祖父も祖母も、かなりの「マイナス」を抱えながらも何とか生き、そこから父と母がまた何とか頑張って、1か2の「プラス」にして私と兄妹の人生をスタートさせてくれたため、私たちは今幸せに暮らせています。
 
思えばこれはとても幸運なことです。児童養護施設のことなどを知るにつれ、「自分が施設に来なかったのは偶然だった」というリアルな感覚を覚えました。
「もしかしたらの当事者」として、この現状を放っておけないという課題感もあります。
 
また、各施設を回って伺ったお話からもうひとつ感じたことがあります。
 

-困難の顕在化を防いでいる地域の支援者の話を聞きたい-


それは、施設職員や施設にいる子どもをサポートするのは私の仕事上当たり前としても、そもそも施設にくるような子が減らないといけない、ということです。
 
施設にくる子は困難に陥り、それが顕在化してしまった子どもです。
であれば、困難に陥りそうな子をそれが顕在化する前でとどめる活動をしている地域の支援者の話を聞きたいと思いました。
そこでお聞きする話に、ヒントがあると思ったのです。
 
現に、地域の支援者のお話はいずれも感銘を受けるようなものばかりです。
この話を自分だけが聞いていてはもったいない、という思いが強くなりました。
また、同じ分野で活動している支援者同士が互いを知らない、という課題も見つかりました。
そこで龍谷大学の山田容先生とのお話でインスピレーションを受け、Saiを構想しました。
 
Saiが取組むことは、この領域で活動する人をインタビューし、その知恵と勇気を言葉で表現し、多くの人に伝えるということです。
取組み自体はシンプルですが、だからこそクオリティにはこだわっていきたいし、少しでも誰かの、何かのきっかけになるものにしたいと思っています。
長くなりましたが、こうやって生まれたこの「Sai」を応援していただければ、幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?