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3月7日放送分『青天を衝け』プチ解説

2021年の大河ドラマ『青天を衝け』。まだ放送が始まったばかりであり、主人公・渋沢栄一は世に出る前です。歴史を知っている人にとっては、物足りないと感じる人も多いかもしれません。しかし、幕末の動乱は着実に始まっており、栄一もその時代の流れに巻き込まれつつあります。

脚本は、『ロング・ラブレター~漂流教室』や『ランチの女王』などのヒット作で有名な大森美香氏。引き込まれるストーリーが特徴です。今後の放送も楽しみであります。

さて、今回は前回に引き続き『青天を衝け』のプチ解説をお送りします(前回の記事は以下)。

それでは、3月7日放送分(第4回)の『青天を衝け』プチ解説です。

1.井伊直弼

彦根藩主。掃部頭(かもんのかみ)と呼ばれます。劇中では岸谷五朗さんが演じていますね。将軍徳川家定によって大老に就任し、天皇の勅許を得ずに日米修好通商条約を締結します。家定の跡継ぎ問題では徳川慶福(家茂)を推し、反対派を弾圧しました(安政の大獄)。その結果、桜田門近く(現在の警視庁前)において暗殺されます(桜田門外の変)。ドラマや映画では悪人に描かれがちですが、「鎖国していた日本を開国に導いた」という点では、評価に値する人物であると思います。

2.日米和親条約

1854年に、アメリカと日本の間に結ばれた条約。ペリー(演:モーリー・ロバートソン)自体は1853年に浦賀(横須賀市)に来航していますが、一旦は帰国。翌1854年に再度訪れ、条約の回答を求めました。老中阿部正弘(演:大谷亮平)は各藩に対し意見を求めましたが、これは極めて異例なことであり、幕府の権威を失墜させる遠因となっています。この条約では①米国船が「食料」や「燃料」などの物資供給を受けるようにできること、②「下田」と「箱館(現在の函館)」を開港すること、③下田にアメリカの領事館を置くこと、などが決められました。同様の内容の条約が、イギリス、オランダ、ロシアとも締結されています。なお、日米和親条約では最恵国待遇(日本が他の国と結んだ条約の中で、有利な条件は自動的にアメリカにも与えるというもの)も認めさせられました。

3.泣く子と地頭

岡部藩から呼び出された栄一。藩の姫君が輿入れということで、代官である利根吉春は、渋沢宗助(演:平泉成)に1000両、渋沢市郎右衛門(演:小林薫)に500両の御用金を申し渡します。これに不服な栄一は反発。一度は利根に反発しますが、結局は御用金を納めることに。家に戻り、不平不満を言う栄一に対して市郎右衛門が言ったのが、泣く子と地頭という言葉でした。正確には「泣く子と地頭には勝てぬ」と言います。この言葉は、赤ん坊(泣く子)や権力者(地頭)とは、いくら争っても無駄であるという意味です。地頭とは、平安・鎌倉時代に荘園(私有地のこと。墾田永年私財法の制定によって生まれた)を管理し、税金を取り立てていた役人のことです。地頭は税を過剰に徴収して私腹を肥やすなど、横暴な振る舞いをしていました。荘民が地頭の横暴を訴えた「紀伊国阿弖河荘百姓訴状(きいのくにあてがわのしょうひゃくしょうそじょう)」に、その実情が書かれています。

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以上、3月7日放送分『青天を衝け』プチ解説でした。今回は1854年頃を描いており、これから14年かけて明治維新に突き進んでいきます。なので、まさに歴史はこれから変わっていくということです。歴史の授業で習った出来事がどんどん出てきますので、これからの放送に目が離せませんね。

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