2023年9月前半日経平均相場の振り返り

①    日経平均チャート

9月前半相場を振り返ると、日経平均株価は8月28日～9月6日まで8日連騰となり、6日には33241円で取引を終えた。
これは5月11～22日以来の連騰記録となる。

②    中国・鉱工業生産指数鈍化

この上昇の背景としては海外マネーの流入がある。
海外投資家の中国に代わる投資先としての魅力が高まっている点があげられる。
8月は中国の景気鈍化を示す経済統計の発表が相次いだ。
7月の鉱工業生産の増加率が6月に比べ鈍化し、景気減速に警戒感を強める中国人民銀行（中央銀行）が市中銀行向けの1年物金利を0.15％引き下げた。
このことから市場では、夏枯れ相場で取引が低調になる中、海外勢による日本への資金シフトのマグマがたまっていたと考えられる。

③    日経平均と香港株・韓国株

実際6日アジア市場では日本株の強さが目立った。
日経平均は寄り付き直後から上昇し、取引時間中で8月初め以来の高値をつけた。
一方、香港株や韓国株は軟調に推移した。

④    石油関連株

そんな中、前半で上昇が目立つのは石油関連株である。
4日の東京株式市場では業種別日経平均の「鉱業」が2008年以来約15年ぶりの高値、「石油」も22年8月以来約1年ぶりの高値水準となった。
石油関連株の上昇には主要産油国の減産継続がある。
サウジアラビアが10月も日量100万バレルの自主減産を延長するとの観測が浮上し、輸出減による需給の引き締まりが意識せれていることで、足元の原油高が収益の拡大につながるとの期待が広まった。

⑤    INPEX

業種別日経平均の「鉱業」に属するINPEXは2008年以来の高値をつけるなど、「石油」に属するコスモエネルギーホールディンスは上場来高値を更新し、ENEOSホールディングスが年初来高値を更新した。

⑥    アクティブ上場投資信託（ETF）

9月7日国内初のアクティブ上場投資信託（ETF）が上場した。

⑦    アクティブETF６

上場したのは以下の6本だ。
ＰＢＲ１倍割れ解消推進ＥＴＦ（シンプレクス･アセット･マネジメント株式会社）
政策保有解消推進ＥＴＦ（シンプレクス･アセット･マネジメント株式会社）
投資家経営者一心同体ＥＴＦ（シンプレクス･アセット･マネジメント株式会社）

⑧   ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 日本成長株アクティブ上場投信

ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 日本成長株アクティブ上場投信（野村アセットマネジメント株式会社）

⑨   ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 日本高配当株アクティブ上場投信

ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 日本高配当株アクティブ上場投信（野村アセットマネジメント株式会社）

⑩   ＭＡＸＩＳ高配当日本株アクティブ上場投信

ＭＡＸＩＳ高配当日本株アクティブ上場投信（三菱UFJ国際投信株式会社）
まずアクティブ運用型ETFとは株価指数など特定の指標に連動した投資成果を目指すETFとは異なり、連動対象となる指標が存在しないETFのことを言います。
アクティブ運用型ETFは、運用会社やファンドマネージャーが、予め定められた運用方針に沿って、その専門知識を生かしながら組み入れ銘柄や資産配分を選択することで、ベンチマークを上回る投資成果を得る可能性を提供するものです。
このように連動対象となる指標がないので、管理会社が指定した方法により、日々売買立会開始前までに確定したポートフォリオ情報（ETFの組入資産である有価証券やデリバティブ取引等の数量や金額、単価などの情報）が配信されます。
そして取引時間中には、当該ポートフォリオ情報を基に一口当たり推定純資産額（インディカティブNAV）が算出・配信されるので、それを参考に売買することになります。
ただし当該情報は、前日の基準価格算出時の情報であることに留意が必要です。
アクティブ運用型ETFの組入資産は、絶えず入れ替わる可能性があることから、一口当たり推定純資産額（インディカティブNAV）についても、常にETFの原資産価格を反映するものではないということです。

⑪    ＰＢＲ１倍割れ解消推進ＥＴＦ

今回上場したETFの中で特に注目されているのが、シンプレクス・アセット・マネジメントが運用する「PBR1倍割れ解消推進ETF」である。
このETFは企業と対話を重ね、企業の価値向上を促してリターンを得る戦略だ、いわゆる「エンゲージメント型」というものである。
エンゲージメントとは機関投資家が投資先企業や投資を検討している企業に対して行う「建設的な目的を持った対話」のことで、投資家が中長期的な視点から経営の改善に働きかけることで、企業の持続的な成長と企業価値向上を促すことを目指すことである。
最近はエンゲージメント型の投資信託の設定が出始めている、今後は多数の投資信託が設定されそうである。