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【半導体の基本】今と未来がわかる半導体 要約①【半導体の分類、構造、性質】

こんにちは。
都内でひっそりと生きる専業主夫です。


突然ですが、「シュフ投資家」から「シュフライター」に名前を変えました。というのも、どうも米国の今後の利下げについて雲行きが怪しくなってきたことで、先週で一旦米国株を全決済したためです。
ボラティリティの高い半導体関連がメインであることから、下落局面でホールドし続けることはしたくありませんでした。


何とか利益がある内に手放したので良かったですが、ほぼフルポジ気味であったため、含み損を抱えたままでは暴落時に買い増すための資金がありません。そのため、今は現金保有率を増やしておく方が賢明だと判断しました。


4月の投資結果については改めて記事を出します。
(月末から妻と4泊5日で旅行に行く関係で、来月頭になると思います。)



さて、前回紹介した「今と未来がわかる半導体」について読み終えたので、今回はそちらの要約記事となります。


先週の金曜(4/19)は半導体セクターが急落し、あの業績好調・将来性抜群のNVIDIAまでもが10%下落という暴落ともいってよいほどの落ち方をしました。あれほどの下落なので本日のNY市場では反発する可能性もありますが、年内の利下げ観測が後退しており、アノマリー的な要素を考慮してもしばらくは下げ続けると思っています。

株クラやYahooの掲示板では、「狼狽売りは悪」だとするコメントを目にすることは多いですが、資産の少ない方や投資初心者の方は真に受けてはいけません。これらはいわゆるポジショントークであり、既に自分は利確して暴落に備えている場合も多いです。利益がある内に決済できればベストですが、膨らみ続ける含み損を抱え続けることは仕事や日常生活に大きく影響が出る場合があります。時には損切りする勇気も必要です。

投資はあくまでも自己責任ですが、本当に気をつけて下さい。


本題に戻りますと、この本については

  1. 半導体の基本

  2. 半導体のしくみ

  3. 半導体のつくり方

  4. 半導体業界を探る

  5. 半導体の最新事情

  6. 半導体の歴史と未来

という構成となっています。この中で特に参考になったのは1~3ですね。
今回の記事は、1の「半導体の基本」についての要約となります。

※4~6については、前回読んだこちらの本の内容と重複する部分が多いので割愛します。



①半導体の基本 

世間一般でいわれる半導体

・テレビや新聞などで半導体について報じられるときは、シリコンなどを材料にしてつくられる電子部品、すなわち半導体デバイス(素子)全般のことを指す。シリコンウエハ、チップ、パッケージは形態こそ違うものの、すべて「半導体」と呼ばれる。

【WSTS(世界半導体市場統計)における分類】
●IC
①ロジック
 機 能:演算を行う
 具体例:ロジックIC、ASICなど
②メモリ
 機 能:記憶を行う
 具体例:DRAM、フラッシュメモリなど
③マイクロ
 機 能:演算と記憶の機能を併せ持つ
 具体例:マイコン、プロセッサなど
④アナログ
 機 能:信号増幅やアナログ・デジタル変換を行う
 具体例:AC/DCコンバータなど

●非IC
①オプト
 機 能:光関係(受発光)
 具体例:発光ダイオード、レーザなど
②ディスクリート
 機 能:トランジスタ単体のことを指す
 具体例:パワー半導体など
③センサ
 機 能:湿温度や圧力、加速度などを検出する
 具体例:圧力センサ、加速度センサなど

物理学的な意味での半導体

・物理学で使われている本来の意味での半導体は、物質の電気の流れやすさを表す。電気を通す導体と、電気を通さない絶縁体(不導体ともいう)の中間の性質を持つ物質が半導体である。

●導体  金、銀、銅、鉄、アルミニウムなど
●絶縁体 ガラス、ゴム、プラスチック、ダイヤモンド、油など
●半導体 シリコン、ゲルマニウム、セレン、ガリウムヒ素など

・半導体が独特なのは、電気の流れやすさを変えることができる点である。半導体をつくる際に加える不純物の量を調整したり、異なる種類の半導体を接合したりすることによって、絶縁体に近い状態から導体に近い状態にしたり、電気が流れる量や方向を制御したりすることができる。

半導体は何でできているのか?

・現在使われている半導体のほとんどが、シリコン(Si)から出来ている。黎明期にはゲルマニウム(Ge)も使われていたが、高温での動作が安定しないため、次第にシリコンに置き換えられていった。ゲルマニウムは現在は一部の特殊な用途でしか使われていない。

・シリコンのように1種類の元素で形成されている半導体を単元素半導体というのに対し、2種類以上の元素から形成されている半導体を化合物半導体という。

●化合物半導体
代 表 例:ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムリン(InP)、窒化ガリウム(GaN)、シリコンカーバイド(SiC)など
メリット :高速で動作する、高い電圧や熱に耐えられる、可視光や赤外光を出すことができる
デメリット:シリコンに比べて基板が割れやすいうえ、大口径化することが難しく、コストも高い
主な用途 :光半導体、パワー半導体(後述)

半導体の構造と性質

・半導体の内部には電子が流れていて、電気を運ぶ役割を担っている。その流れを外部から制御することにより、デバイスが動作する。

・原子が規則正しく並んでいる物質を結晶といい、すべてが規則正しく並んでいる結晶を単結晶という。単結晶は電子の移動度が大きいことから、シリコンウエハの材料に使われる。

・単結晶シリコンはシリコン原子が規則正しく並んだ構造になっており、別の物質を含んでいない。しかし、シリコン原子100%の単結晶を製造することは技術的に大変難しく、実際のシリコンウエハは99.999999999%(イレブンナイン)のシリコン原子で構成されている。

・この超純度の単結晶シリコンは電気をほとんど通さない。しかし、不純物を加えることによって電気を流せるようになる。具体的には、元素周期表の15族に属するリン(P)や、ヒ素(As)、13族に属するボロン(B)やインジウム(In)などである。

●添加する不純物によって半導体の種類が変わる
・リンやヒ素を添加     →n型半導体
・ボロンやインジウムを添加 →p型半導体

n型半導体とp型半導体

・n型半導体の「n」はnegative(負=マイナス)に由来する。マイナスの電荷を持つ電子が電流の担い手、すなわちキャリアとなっている半導体を意味する。n型半導体は電子が電流に寄与する、すなわち電気を通しやすい半導体である。
 添加された不純物(リンなど)内の自由電子は、電圧あるいは光や熱などのエネルギーを与えられると、結晶のなかを自由に動き回る。電子が移動すると、その流れは電流になる(電子が電流に寄与する)=電気を通しやすい

・p型半導体のpはpositive(正=プラス)に由来する。プラスの電荷をもつ正孔(ホ-ル)が電流の担い手のキャリアとなっている半導体を意味する。ボロンなどの不純物が添加されたp型半導体に電圧などのエネルギーを加えると、近くの電子が正孔へ移動してくる。この正孔も電流に寄与し、電気が流れている。

pn接合ダイオード

・n型半導体とp型半導体、それぞれ単独では何か特別なことができるわけではない。2つの半導体を活用するためには、接合という方法がある。接合することによって、最も基本的なデバイスである(pn接合)ダイオードをつくることができる。p型とn型を接合すると、拡散という現象が生じる。p型に多くある正孔と、n型に多くある電子が相互に拡散すると、接合面付近で結合し、正負がプラスマイナスゼロになって消滅する。そして、接合面付近はキャリアが存在しない空乏層という領域になる。

・pn接合ダイオードは一方向のみ電流を流すことが出来る(整流作用)。これは、p型にプラス、n型にマイナスの電圧をかける順方向バイアス(p型からn型に電流が流れる)と、p型にマイナス、n型にプラスの電圧をかける逆方向バイアス(電流は流れない)という2つのバイアスによるものだ。どの半導体デバイスもpn接合を組み合わせてできていることから、pn接合は半導体デバイスの基本構造といえる。

さまざまなダイオード

・整流ダイオード
→pn接合の特性を活かした汎用的なダイオード。
主な利用例:整流器(交流電気を直流に変換)
      検波器(電波から信号を取り出す)

・定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)
降伏現象(逆方向バイアスの電圧を大きくすると、ある地点で急激に電流が流れる現象)を利用したダイオード。
主な利用例:定電圧回路(電流の変化があっても電圧が一定になるため)
      保護デバイス(静電気やサージからICを守る)

・トンネルダイオード(エサキダイオード)
→1973年にノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈博士が発明。量子力学的な現象であるトンネル効果を利用しており、電圧が増加すると電流が減少する負性抵抗という特徴を持っている。

・ショットキーバリアダイオード
→pn接合ではなく、金属と半導体との接合を利用したダイオード。pn接合ダイオードと比較すると動作が速いため、高速スイッチングができる。

・発光ダイオード
→pn接合に順方向電圧を加え、接合面で電子と正孔が結びついて再結合し消滅する際に光を放つ。
主な利用例:ライト、信号機、イルミネーション

・フォトダイオード
→pn接合部分に光を当てると電流が流れる(光を感知する)。
主な利用例:光センサ

トランジスタ

・p型半導体とn型半導体を組み合わせた半導体デバイスには、ダイオードの他には増幅機能スイッチ機能を持つトランジスタがある。その機能により、電気の流れをコントロールする。

・トランジスタとダイオード、抵抗、キャパシタ(容量)を半導体チップの上に多数搭載したのがIC(集積回路)である。

バイポーラ型トランジスタ
→バイポーラとは「2つの極」という意味で、電気伝導に関わるキャリアが電子(マイナス)と正孔(プラス)の2種類の極(ポーラ)に関わっていることから名付けられた。n型半導体とp型半導体を互いに挟み込んでサンドイッチにしたnpn型pnp型に分類され、電流駆動型のデバイスである。
 消費電力(動作に必要な電力)が大きくなる一方、スイッチングの速度は低く、トランジスタの面積は大きくなる。ノイズに強い、周波数特性が良いといった特性を重視する一部のアナログ回路用のICで使用されている。

MOS型トランジスタ
Metal(金属)-Oxide(酸化膜)-Semiconductor(半導体)の3層構造であることからその名がついた。電気伝導に関わるキャリアが電子、あるいは正孔のどちらか1種類だけなので、バイポーラ型に対して「ユニバイポーラ型」とも呼ばれる(「ユニ」はラテン語で「1」の意味)。pチャネル型とnチャネル型に分類され、電圧駆動型のデバイスである。
消費電力を小さくできるうえ、スイッチング速度が速いトランジスタの面積が小さいといった特性を活かし、ICを構成するメインデバイスとして多岐にわたって使用されている。



次回は②半導体のしくみとなります。今回の内容をさらに細かく掘り下げた内容となりますので、もし興味のある方はお読み下さい。

それでは、今回はこちらで失礼します。

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