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【グローバル経済での半導体】半導体業界の動向とカラクリがよ~くわかる本 要約②

こんにちは。

都内でひっそりと生きる専業主夫です。


今週の土日は春並みの陽気ですね。本日の東京の最高気温は25℃と、3月にも関わらず初夏の気温となっています。
今月の夏も一段と暑くなりそうですね。電気代がかさむなぁ。。


明日からは新年度ですね。

もし、私と同じように都内で1人暮らしを検討されている方は、こちらの記事が参考になると思いますので、よろしければ読んでみて下さい。

毎年物価や税金が上昇するご時世で、少しでも生活費を抑えるコツを紹介しています。




さて、今回の記事は「半導体業界の動向とカラクリがよ~くわかる本」の要約、第2回になります。先月(2024年2月1日)に発刊したばかりの本を図書館で借りてきました。



第1回の要約記事はこちらからご覧ください。


なお、私は新NISAでの投資信託と個別株で約500万円を米国株に投資しています。

読者様の中に私と同じく米国株投資家の方がおりましたらフォロバさせていただきますので、何卒フォローのほどお願いいたします。




②グローバル経済における半導体業界



・アメリカによる中国向けの半導体輸出規制強化はもちろん、コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻など様々な世界情勢の変化に、半導体業界も影響を受けることになる。

 2022年に成立したCHIPS法(※)は、アメリカ国内の半導体産業に関する政策で、アメリカ商務省標準技術局や国防省によって、国内の半導体エコシステムを再構築するとともに、国家安全の強化を目指すものである。この法の成立によって、アメリカ国内の半導体に対して500億ドル(約7兆2500億円)の巨額の補助金を投じることになる。

 2023年7月には、EU理事会が官民合わせ430億ユーロ(約7兆円)[そのうちEU自体の投資額は33億ユーロ(約5,300億円)]の投資を行うとともに、EU全体の半導体生産で世界市場のシェアを2030年までに20%へ増やすことを目標に掲げ、ヨーロッパでの「半導体法」を承認している。

 2023年10月には、半導体チップおよび半導体製造装置に関する中国向けの輸出規制として「半導体輸出規制強化措置」を発表している。この措置は、インテルやNVIDIAの中国向けGPU製品などを対象にしている。

 アメリカの輸出規制に対し、中国側ではすでに警告・対抗措置として、半導体製造に不可欠の重要な鉱物であるガリウム(Ga)やゲルマニウム(Ge)の輸出規制を実施しており、さらなる制裁措置を講じると見られている。

・CHIPS法
Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors  and Act(半導体製造と科学法の有益なインセンティブな創出)の略。


世界的にはもちろん、国内においても過去に半導体産業ほどの成長を遂げた産業は存在しない。半導体技術は現代の高度情報化社会を根底から支えており、この高度な技術革新によって、ライフスタイルや産業構造を大きく変化させつつある。

 半導体はGDPの約1%を占めているが、それに関わる川下の電子産業や川上の半導体製造装置産業、部品・材料産業などを含めると、GDP比で5%ほどになると報告されている。

 半導体の需要が伸びれば、それに対応した増産が必要になるが、輸入に頼っている日本には「自国で賄えない」という大きな問題がある。そこで、世界で最も多くの半導体を生産している台湾と日本の双方にメリットがあるような環境を作っていくことが必要と考えられる。


・日本経済の”失われた10年”は、バブル景気崩壊後の1990年代中頃から2000年代前半にわたっている。当時の経済情勢を指して、「複合不況」や、「平成不況」とも呼ばれていた。この”失われた10年”と同時期に起こったのが、半導体産業の急激な凋落である。

 それまでの日本の半導体産業は、1980年代をピークに、64キロビットDRAM(※)の技術開発で、当時の競争相手であったアメリカを大きく引き離していた。これに対し、1986年アメリカは日本と「日米半導体協定」を締結。「協定」とは名ばかりで、実際には日本製半導体の締め出しを目的にしていたことで知られており、日本の半導体産業を圧迫していくことになる。

 内容的には、日本に対して海外製の半導体を20%以上輸入することが義務づけられており、国内だけではなく、世界的にも市場原理や市場経済をまったく無視したものであると言える。このアメリカの行為は競争相手の力を政治的圧力で奪う行為に等しく、日本の半導体産業は大きな打撃を受けた。

・DRAM
「Dynamic Random Access Memory」の略。読み方は「ディーラム」で、トランジスタとコンデンサーを1個ずつ利用してデータを記録する仕組みを用いている。半導体を使用したメモリ(RAM)の一種で、パソコンの主記憶装置やデジタルカメラなど多くの情報機器の記憶装置に用いられている。電源が切れると記憶内容が消えてしまう揮発性メモリのため、情報処理過程の一時的な作業記憶に用いられる。


・日本の半導体メーカーは、それまでの経験の中で、システムLSI(前回の記事を参照)に必要な半導体製造技術とそのノウハウを蓄積している。すなわち、集積度の低いディスクリート(※)やアナログ半導体のほか、LEDや光デバイス、各種メモリ、ロジック回路、ASIC(後述)など、それら全てを製造する技術力を持っているということだ。

 日本における従来のシリコンサイクルは、パソコン向け半導体需要に占めるDRAMの割合が極めて大きかったことから、「DRAMサイクル」と言い換えられるであろう。

・ディスクリート
「トランジスタ」「ダイオード」「コンデンサ」「サイリスタ」など、単機能素子の総称。


・半導体産業は、設備に巨額の投資を必要とすることで知られている。半導体製造装置が高額というだけではなく、生産に必要不可欠なクリーンルームの建設費用や超純水装置など、製造装置以外の付帯設備の設置にも多額な費用が必要になる。

 メイン製品の生産・販売・在庫計画に合わせた生産ラインや稼働計画の変更のほか、ウエハサイズの大口径化(※)や高機能化、微細化などに対応するためのラインの組み替え、工程の組み直しなどにも設備費用がかかる。

 また、先々の生産を確実にするため、設備投資に踏み切る前に、顧客との間で「生産受託契約」を結び、投資回収の目処を立ててから取り組む企業もある。その中には、顧客から販売計画を前倒しで受け取る形で資金提供してもらう企業も現れている。

・大口径化
ウエハ円盤のサイズを現状より大きなものにする動きが大口径化で、現在は従来のラインで主体となっている200mm(直径)ウエハから300mmの大口径ウエハに生産ラインを変更する企業が多い。300mmウエハ1枚で200mmウエハの2倍以上のチップ生産が可能になる。

出所:NHKスペシャル 半導体大競争時代


出所:Semi Journal


・半導体商社は、特定の半導体メーカーの製品販売を主たる事業とした「メーカー系列」と、メーカーに依存しない「独立系」に大別できる。メーカー系列の半導体商社の場合は、所属しているメーカー系列の製品を専属的に扱うことしかできない。一方、独立系商社の場合は、メーカーの系列にとらわれることなく、複数メーカーの製品や海外製品を扱うことができる。

 一見、独立系の方が営業しやすいように思えるが、そこには「商権」(※)という大きな壁が立ちはだかっている。半導体商社はこの商権で基本的な業務を推進していくことになるが、最近は商社の実績次第では他社に変更するといったドラスティックな動きにも脅かされている。それによって、商権の流動化減少が発生し、中小規模の商社が倒産に追い込まれるケースも増えてきた。

 日本国内には上場している半導体商社だけでも30社以上あり、二次商社や三次商社などの末端の事業者までを含めると、その数は1000社以上になると推測されている。

・商権
特定の顧客と独占的な取引ができるように、メーカーが半導体商社に与えている権利。この権利を持っている限り、ほかの商社はその顧客に対して当該メーカー製品の営業活動ができない。


・日本の半導体産業が衰退した原因として、バブル崩壊による”失われた10年”が挙げられるが、別角度では「知的財産権(※)に関する戦略的な敗北」を大きな要因としている見方もある。

 日本の得意分野であった半導体製造装置業界でも諸外国の設備投資に呼応して装置を販売する際、技術やノウハウにまでも安易に提供したことで、業界全体が丸裸にされてしまったという経緯もある。

 今後は知的財産権の流出に歯止めをかけるだけではなく、日本が最も不得手としていた特許の財産化にも取り組んでいく必要がある。いわゆる特許収入の獲得だ。日本はこの分野で海外に大きく水をあけられており、出願数では劣っていないものの、利益ベースでは桁違いに少ない結果となっている。

・知的財産権
特許や意匠、商標などのように、無形の技術的および科学的発見・発明や独自の表現の発案者の功績と権益を保障する権利のことで、「知的所有権」とも呼ばれる。グローバルには、世界知的所有権機関(WIPO)が知的財産権の世界的な保護活動を行っている。


・日本の商社構造に対して、アメリカの半導体商社には世界規模で事業展開する巨大な「メガ・ディストリビュータ」と、エリア単位でユーザーの技術的なサポートを行う「レプレゼンティブレップ)」の2つの形態がある。

 メガ・ディストリビュータは、アメリカ国内の物流網はもとより、海外にもネットワークを拡充し、ワールドワイドな体制を整えているが、半導体メーカーと直接の取引はしない。一方のレップは、半導体メーカーが指定したエリア内でユーザー企業の技術サポートをするのが仕事だ。

 したがって、メガ・ディストリビュータと違ってレップはアメリカ全土に多くの企業が存在し、きめ細やかな対応を提供するのが特徴である。

 アメリカで早くから水平分散型(前回の記事を参照)に移行したことが流通変革のきっかけとなり、現在の形態になったと考えられている。一方垂直統合型から抜け出しきれない日本では、この2つの生産形態の混在状態が続いており、それが世界で戦えない要因の1つだと指摘する見方もある。

 また、水平分散型が進んだアメリカでは、生産拠点が海外にシフトしているため、「世界中に工場を持ち、生産の肩代わりをしてくれる企業」としてEMS(※)型の企業が誕生している。

・EMS
「Electronics Manufacturing Service」の略で、電子機器の製造および設計を担うサービスを指す。1980年代までの「受託製造サービス」と違い、関わりを持つ領域が大きく広がっているのが特徴。


・半導体製品を製造する施設を、「製造」を意味する「Fabrication」を略して「ファブ(Fab)」と呼ぶ。このファブがない、つまり工場を持たない半導体メーカーのことを「ファブレスメーカー」と言う。ファブレスメーカーの事業体組織には、開発および設計や、マーケティングを主として行うベンチャー企業や中小企業が含まれる。一方の「ファウンドリメーカー」(※)は、製造工程の前工程と後工程を受け持ち、チップの製造から組立までの全工程を担うことができる。

 ファウンドリメーカーとしては台湾企業が先行したが、中国をはじめ韓国や東南アジアの各国で参入が相次ぎ、熾烈なシェア争いが起こっている。台湾・韓国・中国の3カ国だけで、世界の生産能力の実に9割近くを持っていることになる。


2020年のファウンドリーの市場占有率 出所:日経ビジネス


・デジタル革命以降、半導体の需要は急激に伸張の一途を辿っていたが、リーマンショック以降は拡大路線にかげりが見えるようになってきた。しかし、一時的に低迷したとはいえ、半導体の需要がなくなったわけではなく、逆に考えると低迷したことで半導体産業への各国の取り組み方が明確になってきたとも受け取れる。

 アプリケーション分野では、アメリカが総合力を結集して、パソコンやインフラを中心とした通信系に重きを置く傾向が強くなっている。EUは、域内で製造する半導体について、アメリカや中国への依存度を低くすることを目的として、2030年までに世界シェア20%を目指すとしている。

 日本では、システムLSIを活用してお家芸のデジタル家電をさらに進展する考えのようである。いずれ将来的には少子高齢化対策の一環として、ホームコンピューティング(※)あるいはホームエレクトロニクスに通信機能を活用した介護機器やヘルスケア機器なども一般家庭に普及させられるよう、機能の拡充とコスト対応が当面の課題となっている。

・ホームコンピューティング
 日常生活を豊かにするために家庭でコンピュータを利用すること。ノートPCのような”いかにもコンピュータ”といったものではなく、デジタルテレビの双方向性を利用するなど、低価格で簡単に使えることが必須条件となる。




今回は「グローバル経済における半導体業界」についてでした。

次回は半導体投資家も必見の「半導体業界の主要メーカーの特色と強み」について取り上げます。


投資対象とするにあたっては、見かけの財務状況や業績も大事ですが、「どのような製品を主力としており、どのような市場でシェアを持つか」「業界での立ち位置」などを知り、「今後も伸びるかどうか」という視点で判断することが必要不可欠です。


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それでは今回はこの辺で失礼します。


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