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【半導体のしくみ】今と未来がわかる半導体 要約②【GPU、DRAMとは?】

こんにちは。
都内でひっそりと生きる専業主夫です。


昨日4/22(月)のNY株式市場では、ダウ・S&P500・ナスダック全て反発しました。「売られすぎた」ことによる買い戻しが生じたと思われますが、恐怖指数も前日から10%弱低下、ヘッジファンドも株買いに転じているとの記事も出ております。

また、本日からアメリカM7(マグニフィセント7)の決算発表が始まります。テスラが23日、メタが24日、アルファベットとマイクロソフトが25日にそれぞれ予定されています。テスラは特に今年に入ってからは悪材料が目立ち、本日現在、年初来で株価は-43%と最高値から半値近くまで下げております。

M7とは米国を代表するIT企業、アップル、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラの7社のことを指します。S&P500の構成銘柄であり、この7銘柄だけで時価総額の3割を占めるとも言われています。


ここ数日は利下げ観測の後退や中東情勢の緊迫化により下落基調の米国相場ですが、今週は相場の方向性に影響を与える重大な週と言えそうです。仮に上昇基調に転換しそうであれば、打診買いをしていきたいと思います。



さて、今回は「今と未来がわかる半導体」の第2回の要約記事となります。

前回の記事の繰り返しになりますが、この本については

  1. 半導体の基本

  2. 半導体のしくみ

  3. 半導体のつくり方

  4. 半導体業界を探る

  5. 半導体の最新事情

  6. 半導体の歴史と未来

という構成となっています。その中で、特に参考になった1~3の内容について、3回に分けて要約していきます。
今回の記事は、2の「半導体のしくみ」についての要約となります。


今回の記事を読めば、耳にすることも多いCPUやGPUとはなにか、なぜGPUで圧倒的シェアを持つエヌビディアが急成長したのか、USBメモリの原理などが分かります。


※1の「半導体の基本」については、こちらから参照ください。



②半導体の仕組み

半導体の基本的な機能

1.増幅機能
 小さな電気信号を大きくする。

 例:テレビやラジオ、スマートフォンなど電波を使った無線通信を行う電子機器は、アンテナで微弱な電気信号を受信し、その信号を増幅する。そして増幅された信号が処理回路を通ると、音声として聞こえたり、画像として見たりできるようになる。

2.スイッチ機能
 電気信号をオン・オフする(電気を流したり止めたりする)。
このオン・オフの状態を2進数の「1」と「0」に対応させるとデジタル回路を組むことができ、計算したり記憶したりすることが可能になる。
 例:計算処理を行うCPUや、データの記憶を行うメモリはスイッチ機能を利用した半導体であり、スマホやパソコンには必ず使用されている。

3.変換機能
光や力などを電気に変える。電波を電気信号に変換して、テレビやラジオ、スマホなどの電子機器のなかで扱えるようにしたり、電子機器の中の情報を電波にして外部に送信したりもする。
 例:太陽からの光のエネルギーを電気に変換する太陽電池、光を電気信号に変換するイメージセンサ(スマホのカメラなど)
※発光ダイオードやレーザはその逆で、電気を光に変換している。

増幅とは何か?

 増幅させるためには、増幅用のデバイス(素子)とエネルギーの供給源が必要である。デバイスは古くは真空管でつくられていたが、現在では半導体でできているトランジスタで構成されている。真空管には多くの課題があり、それらを克服しようとベル研究所で20世紀半ばにトランジスタが発明された経緯がある。

 そのトランジスタに外部からのエネルギーとして適切な条件の電圧(バイアス電圧)を加えることによって、入力信号よりも大きな信号を出力できる。つまり、トランジスタが半導体の増幅機能を実現させている。

スイッチ機能 ロジック半導体・メモリ

「計算」に使うロジック半導体
→論理演算機能を1つのIC(集積回路)にした半導体デバイスで、スマホやパソコンなどに搭載されている。
例:CPU 高度な演算処理機能を持つIC
GPU 画像処理に特化したIC
     近年はAI向けに重宝

「記憶」に使うメモリ
 →プログラムやデータなどの情報を記憶するための半導体デバイスで、スマホやパソコン、家電などの記憶媒体に使われる。
揮発性メモリ
→電源を切ると記憶情報が消える
例:DRAM
→PCやスマホの主記憶装置として使用
不揮発性メモリ
→電源を切っても記憶情報が消えない
例:フラッシュメモリ
→PCやスマホなどでデータ保存用に使用

スイッチ機能 CPU(MPU)

 コンピュータを構成する上で欠かせない5つの機能、入力・記憶・制御・演算・出力を「コンピュータの5大装置(5大要素)」という。このうち、プログラムにかかれている命令を解釈・実行する制御装置と、算術・論理演算を行う演算装置の2つは、一般的にMPU(Micro Processing Unit)という1つの半導体チップに集積される。

 MPUは中央演算処理、データ処理、制御、判断などを行うコンピュータの中枢部分に使われており、人体に例えると「脳」に相当する。MPUの処理能力はビット数が大きいほど上がり、処理速度は動作周波数が高いほど大きくなる。MPUとCPU(Central Processing Unit)は同義語として使われる。

 動作周波数が高くなるにつれて負荷が大きくなり、高い熱が発生するため、CPUの故障に繋がる。そこで最近ではマルチコアプロセッサを使って機能を向上させるようになった。これは、2つ以上のコア(独立して機能する制御・演算装置)を1つの半導体チップに集積したCPUのことで、コアの数に応じて複数のプログラムを並列処置できるので、動作周波数を上げなくても性能向上を図ることができる(搭載数が1つのシングルコア、2つのデュアルコア、4つのクアッドコア、6つのヘキサコアなど)。現在は複数のものが主流であり、コア数が多いほど全体としての性能が向上し、同時に実行可能なプログラムの数も増える。

スイッチ機能 GPU

 CPUは汎用的に設計されており、プログラムされたさまざまな命令を実行できるが、一度にこなせる数は限られている。一方、3次元コンピュータグラフィックスや動画編集などの画像処理は、比較的単純な数値計算を同時に大量に処理することが求められ、そのために設計開発されたのがGPUである。  

 GPUの計算速度は特定の演算に限定すると、CPUの数倍から100倍以上になる。この機能により、画像描画に必要な数値計算を同時に大量にこなすことができる。

 GPUは画像処理だけに用いられるわけではない。高い演算能力を利用し、スーパーコンピュータやAI(人工知能)のディープラーニングにも利用されている。ディープラーニングとは、AIに学習させる機械学習の手法の1つ。機械学習では大量のデータを取り扱い、その読み込み処理に時間がかかるが、GPUを用いればその演算能力と並列処理能力で高速処理が可能である。そのため、現在のAI開発ではGPUが不可欠となっている。

スイッチ機能 DRAM

 メモリは多数のメモリセルからなり、電源を切ると記憶情報が消える揮発性メモリの一種であるRAM(Random Access Memory)と、電源を切っても記憶情報が消えない不揮発性メモリの一種であるROM(Read Only Memory)に大別され、DRAMはそのうちRAMに分類される。

 DRAMとは、Dynamic Random Access Memory(=Dynamic RAM)の略で、多数のメモリセルにランダムにアクセスできるメモリという意味だ。構造がシンプルなことから1つのセルを小さくして高集積化することが可能なうえ、コストも安いため、パソコンやスマホなどの主記憶装置として使用されている。

 DRAMのメモリセルは1個のMOSFET(MOS型トランジスタ)と1個のキャパシタ(コンデンサ)で構成されており、キャパシタ内に電荷が蓄えられているかどうかで「0」(電荷がない場合)か「1」(電荷がある場合)の情報を記憶する。ただし、キャパシタ内の電荷はリーク電流(漏れ電流)によって徐々に消えていく。そのため、DRAMでは定期的に再書き込み動作、すなわち電荷の再充電を行うリフレッシュという動作が必要であり、常に動作していることから、Dynamic RAM(動的なRAM)と名付けられた。

スイッチ機能 フラッシュメモリ

 フラッシュメモリは電源を切っても記憶情報が消えない不揮発性メモリの代表格であり、電源を切った状態での記憶の保持のほか、その書き換え(書き込み、消去)ができる。USBメモリ、デジタルカメラのメモリーカードやスマートフォン内にデータ保存するストレージ、最近ではパソコンの記憶装置であるSSD(Solid State Drive)などにも使用されている。

 基本的な構造はMOSFETと似ており、DRAMのキャパシタに相当するのがフローティングゲートである。ここに電荷を蓄えることにより、「0」か「1」の情報を記憶する。DRAMとは異なり、フローティングゲートが絶縁膜に囲まれているため、蓄積された電荷はどこにも逃げることができないため、電源を切っても情報が消えない。

 それでは、電子はどうやってゲート内に出入りしているのかというと、トンネル酸化膜(フローティングゲートの下に位置する厚さ数nmの絶縁膜)によるものだ。非常に薄いため、コントロールゲートに電圧をかけると、ゲート内の電子はトンネル酸化膜を抜けて移動することができる。このトンネル効果により、電子がゲート内にたまったり、なくなったりするのだ。

変換機能 発光ダイオード

 光半導体の一種である発光デバイス。その代表格が発光ダイオード(LED)である。電気信号を光に変換するダイオードで、照明、ディスプレイ、リモコン、カラーコピー機、スキャナ、計器類、光通信用光源、各種センサなどに幅広く使われている。大量に生産してコストを抑えることができる、白熱電球より発熱が少ない、消費電力が小さいといった長所から、日常生活のさまざまな場面で利用されている。

青色発光ダイオードを発明したのは日本人だ。名古屋大学の赤崎勇氏と天野浩氏のグループが高品質単結晶化を成功させると、1993年に日亜化学工業の中村修二市が高輝度青色発光ダイオードを発明し、量産化も進んだ。そして2014年、3氏はノーベル物理学賞を受賞するに至った。

変換機能 レーザダイオード

 レーザとは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光増幅放射)の頭文字をつなげた言葉で、大きく2つの特長がある。ひとつは単一の波長である点。太陽光や蛍光灯などの光は複数の色が混じり合ったものであるのに対し、レーザはひとつの色で出来ている。もうひとつは指向性に優れている点。レーザから発せられた光はほとんど広がることなく、まっすぐに進む。

 構造としては、pn接合のp層とn層の間(クラッド層)に活性層と呼ばれる層を葉編み込んだ形になっており、ダブルへテロ構造とも呼ばれる(ヘテロは「異種の」という意味)。活性層で電子と正孔が再結合して光を放出すると、その光は活性層の鏡面加工した側面で反射を繰り返して発振状態となる。そして、外部へ放出された一部の光がレーザー光となる。

変換機能 太陽電池

 発光ダイオードと逆に光を電気信号に変換する受光ダイオードのひとつに太陽電池がある。太陽電池は太陽光を電気エネルギーに変換する半導体デバイスで、発光ダイオード同様にpn接合の構造になっている。

 p型半導体とn型半導体を接合すると、接合部付近で正孔がn型側に、電子がp型側に拡散する。拡散した正孔と電子は再結合し、キャリアが消滅した空乏層という領域が形成される。その空乏層に光が当たると、光によって新たに正孔と電子が生成され、正孔はp型側に、電子はn型側に移動する。結果、電流を流し続けようとする起電力が生じ、電流を流すことができる。

 このように、光によって起電力が生じる現象を光起電力効果といい、半導体が持つ性質のひとつである。

変換機能 イメージセンサ

 スマートフォンやデジタルカメラにはレンズがついている。そのレンズに使われている半導体がイメージセンサである。イメージセンサはレンズから入った光を電気信号に変換し、データ転送を行う役割を担っている。

 その基本構造は人間の目の網膜と似ている。網膜には光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の光の波の長さを感じる3種類の細胞があり、3つの色の組合せによってこの世に存在するほぼ全ての色を作ることができる。

 これと同じように、イメージセンサはマイクロレンズで集めた光をカラーフィルタで色ごとに分離して、受光デバイスであるフォトダイオードで電荷を生成することにより、光を電気信号に変換する。

●CCDイメージセンサ 
フォトダイオードで生成された電荷をバケツリレーのように画素間で転送し、1つの増幅器に送り届ける
●CMOSイメージセンサ 
各画素が増幅器をもち、スイッチのオン・オフで電荷を転送。任意の画素に絞って、データを取り出せる

変換機能 圧力センサ

 半導体の性質を利用すると、気体や液体などの圧力を電気信号に変換することもできる。その変換器を圧力センサといい、自動車、建設、科学、医療など、幅広い業界で幅広く使用されている。

 圧力センサには静電容量式、圧電素子式、光学式といった種類がある。そのなかで、最も一般的に利用されているのはピエゾ抵抗式である。この圧力センサはダイヤフラムという薄い膜の受圧部と、ダイヤフラム上に形成されたゲージ抵抗(ピエゾ抵抗)からなる。ダイヤフラムに圧力がかかると歪みが生じ、その歪み具合に応じた応力が各ゲージ抵抗に発生する。

 半導体や金属の結晶に力を加えた時に電気抵抗が変化する現象のことをピエゾ抵抗効果という。半導体は金属よりも電気抵抗の変化率が高いため、微小な力を検出できる。その効果における抵抗値の変化の大きさを読み取ることによって圧力を検出するのが、圧力センサの基本原理である。ピエゾ抵抗式の圧力センサは血圧計、エアコン、掃除機の風圧、自動車のエンジン周囲の呼気圧、排気圧や燃料タンク内圧の測定などに利用されている。

変換機能 加速度センサ

 ある物体の速度が単位時間あたりどれくらい変化しているかを表す数値のことを加速度といい、その加速度を半導体を利用して検出するのが加速度センサである。加速度センサでとらえた電気信号を処理することによって、物体の傾きや情報を得ることができる。

 さらに加速度センサは衝撃や振動も検出できるので、自動車のエアバックの衝撃検知に使われたり、工場の機械や設備の振動を検知して故障の兆候把握に使われたりもしている。

 加速度センサに似たセンサにジャイロセンサ(角加速度センサ)がある。ある物体の角度が単位時間あたりどれくらい変化しているか、すなわち物体が回転する速度(=角加速度)を検出するセンサである。身近な用途としては、スマートフォンが挙げられる。スマホを横に向けると画面が横長になるのは、スマホに搭載されたジャイロセンサが傾きを検知しているためだ。


CPU、GPU、メモリ、ダイオード、センサなど、名前は聞いたことあるけど原理を説明してと言われると素人にはなかなか難しいものですが、この本では身近な例も踏まえ分かりやすく説明されています。本ではイラストも掲載されているため、さらに理解しやすいと思います。


次回は③半導体の作り方です。複雑な工程である半導体製造の一連の流れを解説した内容となりますので、もし興味のある方はお読み下さい。

それでは、今回はこちらで失礼します。


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