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鰹日記Lv13: 焦らない。一流になるには時間がかかる。

どうも、インベスター鰹です。

誰にとっても平等に与えられている"時間"

1日は24時間、1年間は8760時間

100年生きれば、人生で876,000時間を過ごすことになる。

1日中働こうが、寝ていようが、ぼーっとしていようが、遊んでいようが、時間の使い方は自由

先日、ある人の面白いストーリーを見つけた。

今から150年以上前に、京橋にある雑貨屋に奉公に出た人の話。

雑貨屋では、雨天の日には客足が必ず少なくなった

雨天が続くと雑貨屋の経営もできなくなる。暇になった。 

そんなとき、ふと近隣の時計屋を見ると、雨天の日でも、忙しそうに仕事をコツコツとしていた。時計の修理をしていたようだ。

ある人は時計屋を眺めながら「時計屋は販売だけでなく、修理でも利益が得られ、ぼーっとする時間もないので、大切な時を無為に過ごさなくてもよい。」と思った。

そして、ある人は決心をした。時計屋になろうと。

そこで、町にある別の時計屋で働かせてもらうことになった。
販売や修理について学んだ。

ところが、その時計屋の店主が他の事業で失敗してしまい、倒産することになった。

店を去るにあたり、これまでの恩返しとして、お店で稼いで貯蓄していたお金を店主に差し上げお店を去った。

その後、ある人は今までに学んだ知識や経験を活かし、自ら時計店を創業した。

その時計店は、現在「世界の時計セイコー」として世界中の多くの人に知られることになった。

今日は、"時を大切にした服部金太郎"が創業した
SEIKO ホールディングス
について調べてみようと思う。

本日の要点

・SEIKO前身の服部時計店の創業者は服部金太郎。約束を守る男。
・海外製品から学んで始めたタイムマシーン戦略
・スローガンは「時代とハートを動かすSEIKO」
・直近売上高2391億円。成長率は-3.3%
・ROIC/WACC 比率0.28。稼ぐ力改善必要
・10年の株主総利回りは142%
・現在のPBRは低水準 0.65 vs 0.97(過去5年平均)

1.歴史

創業ストーリーは冒頭の通り。当時は国産時計店の黎明期。

多くの時計商人は、海外時計製品を横浜や神戸に開設された外国商館から仕入れ、研究や試作をしていた。

商館の取引条件は1か月以内に代金の決済を完了すること。

多くの商人はこのルールを守れなかったが、金太郎はどんなに困難なときでもルールを守ったことで、評判が高まっていった。

服部金太郎。日本の時計産業の近代化を牽引し、セイコーを世界的な時計メーカーに育て上げ、「東洋の時計王」と呼ばれた創業者。

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(出所:https://museum.seiko.co.jp/seiko_history/founder/)

2.会社概要


セイコーホールディングスの社長は服部一族の服部 信二氏

慶応大学卒業後、三菱商事の鉄鋼輸出部門で働いたようです。物を製造しない商社は"人"が財産であり、そこでビジネスは人であることを学んだということです。

そんなセイコーグループのスローガンは「時代とハートを動かすSEIKO」。

セイコーの時計は精密であることが有名ですが、その品質を大事にすると同時に、遊び心、ワクワク、ドキドキとするような輝くブランドにすることを目指しているということです。

19年3月期の連結従業員数は12,020名。ちなみに、シチズンは20,239名。
2025年までの長期ビジョンも掲げています。

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(出所:https://www.seiko.co.jp/ir/management/plan/)

そんなセイコーホールディングスの事業内容は主に3つ

①時計事業
みなさんが知っているSEIKOの時計ですね。文字通り精巧な時計を提供しており、世界初のクオーツ腕時計やGPSソーラーウォッチなどを生みだしています。

②電子デバイス事業

クオーツウオッチ開発から生まれた電子部品は、スマートフォンやデジタル家電、自動車、産業用機器などの分野で幅広く活用されています。世界屈指のシェアを誇る水晶発振器用ICは、高精度、低消費電力、優れた温度特性を有し、AV機器・電子機器や携帯基地局など通信インフラの発振器において、安定した基準信号を生成する要の役割を果たしています。光・温度・磁気・動き・傾きなどの繊細で軽微な変化を的確に検知する各種センサは、カーナビや有価証券認証などの分野で広く用いられ、豊かで快適な生活をサポートしています。(出所:https://www.seiko.co.jp/products/device/)

③システムソリューション事業

デジタル情報に電子署名とタイムスタンプを付与するデジタルエビデンスソリューションをはじめ、外食店舗オペレーションをサポートするレストランオーダリングシステム、総合ビル管理システム、省エネを実現するエネルギー管理システムなどを提供。お客さまに密着し、市場のニーズを深掘りしたソリューションを提案します。
(出所:https://www.seiko.co.jp/products/solution/)

要点

・スローガンは時代とハートを動かすSEIKO
・グローバルで活躍し、世界中から未来を期待される企業を目指す
・主な事業は3つ。時計、電子デバイス、システム事業

3.売上高


次に売上高を見ていきます。直近売上高は2391億円過去5年間の売上高平
均成長率は-6.4%
。シチズンの同成長率は-7.5%。

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下図の日本時計協会のデータによると、時計の生産規模は上昇していて、

市場規模も前年比ではプラスになっています。
そんな中、SEIKOの売上高は思うように伸びない状況が続いています。

たしかに、鰹の友人達も腕高級時計ならスイスやヨーロッパの製品を好んでいる。さらに高級志向ではなくなってきて、生活に便利なアップルウォッチなどのスマートウォッチが人気。 コロナの影響でインバウンド消費もなかなか伸びないであろう。

また、今年実施予定だった東京オリンピックの時計パートナーもSEIKOではなく、スイスのオメガであった。

競争が激化してる市場ではあるが、SEIKOは直近3年間で積極的に研究開発費にも約120億円を投資しているので、今後ドキドキ・ワクワクするような新商品に期待したい。

ちなみに、鰹が社会人になって初めて買った腕時計はSEIKOのプレザージュ。SEIKO=正統派と思って買った。今は内緒........。

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(出所:https://www.jcwa.or.jp/data/mikomi.html)

要点

・過去5年の売上高平均成長率は-6.4%
・時計業界の競争は激化。オリンピックパートナーもオメガ
・研究開発費にとして過去3年間で約120億円投資

4.稼ぐ力

上記から、売上が落ちてきていることがわかったが、やはり稼ぐ力の指標であるROICも低く、ROIC/WACC比率は0.28。つまり、資金調達コストの方が、稼ぐ力よりも大きい状態にある。

総資本(負債+株主)約3000億円に占める負債割合は65.2%と比較的高水準。
財務の安全性を図る有利子負債/EBITDA比率は6.9倍とシチズンの2.6倍を大きく上回っている。

ROIC(投下資本利益率)は投資家や債権者から集めた資本に対してのリターン=稼ぐ力
WACC (加重平均資本コスト) は銀行や株主から資金を調達するための加重平均コスト
したがって、調達するコストよりも、生み出すリターンが大きくならないとあかんな。つまり、ROIC>WACCが良い。
ROICの式は= 税引き後営業利益(NOPAT) / 投下資本(株主資本+有利子負債)

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要点

・ROIC/WACC比率は0.28と稼ぐ力は資金調達コストよりも低い
・有利子負債/EBITDA比率も同業比較で高水準6.92

5.株価と資本市場からの評価


最後に気になる株価。
過去10年間の株主総利回りは142%。株価上昇額は757円。シチズンは-7%。

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上位株5主は以下の通り。社長の保有率を換算すると約36億。
1位の三光起業は服部家の資産管理会社で約70億円。

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PBR(株価純資産倍率)=株価/1株当たりの純資産は直近で0.65倍。市場のコンセンサスでは、今後も0.5-0.55倍になるといわれている。

コロナの影響をもろに受けているので、通常の生活に戻れば、株価上昇も期待できるであろう。

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要点

・過去10年間の株主総利回りは142% 
・社長の保有時価は36億円。うらやましい。
・PBRは比較的低水準の0.65。市場予想では0.5倍近くまで下がる

6.最後に

社会人になって初めて買ったSEIKOの腕時計。
翌日から腕に着けて、ワクワクしながら出社したことを覚えてる。

一方で、昨今の時計市場の競争が激しくなり、東京オリンピックのパートナーになれなかったなど、売上も下がってきている今日この頃。

これからは、遊び心、ワクワク、ドキドキとするような輝くブランドになるうように、長期ビジョンを掲げ、世界で躍動できるように努力している老舗の時計店。

そんな老舗時計店から、利便性とデザイン性を兼ね備えた心から「かっこいいーーー」って思える時計が発売されたら、また買ってみようかな。

どうも。インベスター鰹でした。

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