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落合博満は、キャンプの6勤1休でサイクルを選手の体に覚え込ませた
~ファンサービスをしない監督 落合博満は野球ファンに何を与えたか 第57章~
ネットニュースを見ていると、今でも頻繁に、落合博満についての記事を目にする。
やはり打者としても、監督としても超一流の成績を残しただけに、話題に事欠かないようだ。
最近、私が興味をそそられたのは、横尾弘一さんの『【落合博満の視点vol.72】紙一重の勝負を制するために重視したい感覚とは』 という記事だ。
落合が時間の感覚を重要視していた、という分析が秀逸である。
落合は、野球という競技でチームや選手が成功を収めるためには、確率と時間の感覚を重んじるべきだと説くが、時間に関しては練習の時点から気を配ることが、ここ一番の勝負を制するために必要だという。
例えば、中日で監督を務めていた時は、春季キャンプのスケジュールを基本的に6勤1休とした。
「プロの世界だって、練習すれば上手くなる。だから、4日おきに休むのと6日おきに休むのでは、一年間で見れば練習量に大きな差が出るでしょう」
その中で、休日はおおむね月曜日としていた。
「6勤1休なら休日は週に1日だから、ならば月曜日しかない。ペナントレースになれば3連戦が2カード続き、月曜日が休みになるのがほとんどなのだから」
そうやって春季キャンプから月曜日を休日にしていれば、選手たちの体は月曜日に休むことに慣れていくという。技術事を徹底して反復すれば、頭で考えなくても体が咄嗟に反応して対処できるように、休養のサイクルをペナントレースに合わせていくことも、試合日のパフォーマンスを向上させるのにつながると考えている。
私が会社員として長年働いてきた経験から言うと、1週間の生活サイクルを崩さずに毎週続けていくことは、安定した成果を出すには最も重要である。
土日に休日出勤したり、平日に過度の残業をして1週間の生活リズムを崩すと、体調に異変が生じたり、メンタルが追い込まれたりするからだ。
イチローは、毎日の試合開始時間から逆算して生活のルーティンを決めて、そのスケジュールどおりに行動していたそうだ。それが最も安定した結果を得られることを身をもって知っていたからだろう。
落合も、きっと現役時代にペナントレースでは1週間のリズムの繰り返しをいかに安定して乗り切るかの重要性を意識していたのだろう。
だからこそ、監督になってキャンプから6勤1休で月曜日が休みという、ペナントレースと全く同じ週間スケジュールを組み、選手たちの体に1週間単位のサイクルを覚え込ませたのだ。
落合は、そうやって選手たちにペナントレースの試合で最大限の力を発揮できるよう、キャンプから生活のリズムを作り上げていた。
だからこそ、落合が率いた中日は、8年間すべてAクラス入りという極めて安定した成果を出せたのである。
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