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『妖怪』と『音』を巡る旅、のはじまり。

これから「妖怪と音との関係」について、あれこれと考えていく旅に出ます。
なるべく小出しの、一歩一歩の旅です。今回は、その第一歩め。

はじめに

この旅がいつ終わるかは分からないけれど、
きっと、こうやって一つ一つ物語を産み落としていくことが大切だと思って、旅立つことにしました。

そうそう、この旅は、自分のなかでぼんやり考えていたことだったり、放っておいてしまっていた自分のかけらの一つ一つを、カタチにしてあげる旅でもあります。

いやまあ、なんか気取って“旅”なんて言ってますが、実はむかし、これをテーマに論文を書こうとしていたのですけれど、当時は仕事に夢中になってしまって、結局書かずに中退してしまったんですね。

いま、ゆっくりと時間を過ごすようにしていて、
そうしていたら、「そういえばあの論文…完成させたいな…」
と思い立ったというわけです。

ただまあ、『論文!』というふうに構えちゃうと、
いつまでたってもできそうにないので、ここでコツコツ小出しにしていこうと。

そういう次第でございます。


はじめに、のさいごに。

さて、これから書いていく一つ一つの記事は、論文のように順番よく整頓されたものにはならないでしょう。
寄り道したり、あるときはビューンと話題が飛んでみたり。

でも、わたしはそんな「不揃いさ」を愛していくと思います。

これから出会う妖怪たちが、種々雑多で、不揃いで、にぎやかで、どこか可笑しくって、そして愛すべきものであるように。

そんな旅です。
ではでは、いきましょうか。

音を出す妖怪について、ちょっとだけ。

かの水木しげるさんが、こんなことを書いていたのを思い出しました。
「音をだす妖怪のほうがもっともらしい。」

なんででしょうね。なにかありそうですよね。
そう、『音』に注目をして妖怪を観察?してみると、けっこう面白そうなのです。

有名どころでいうと、例えば、「小豆洗い」や「子泣き爺」、ちょっとマニアックなところだと「べとべとさん」なんかがいます。

小豆洗いは、日が暮れて川で小豆をとぐような音を立てる。
子泣き爺は、夜中おぎゃあおぎゃあと赤ん坊のような声をだす。
べとべとさんは、夜道ベトベトという足音を立てて後をついてくる。

竹原春泉画『絵本百物語』より

こういうお歴々は、有名だし音との関係も分かりやすいですよね。

では、ここでもう一人。
今度は、一見『音』とは繋がらないような妖怪さんを紹介します。

それは…、砂かけ婆
ゲゲゲの鬼太郎のレギュラーメンバー。超有名人!

砂かけ婆も、実は『音』と関係しています。

例えば、柳田國男さんによると、

スナカケババ 奈良県では処々でいう。お社の淋しい森の陰などを通ると砂をぱらぱらと振り掛けて人を嚇す。姿を見た人はないという(大和昔譚)のに婆といっている。ーーー柳田國男『妖怪談義』より

ほら、音が鳴ってる。聞こえた?

ぱらぱら、って。


聞こえますよね。

こういうふうに『音』という観点から、あなたの知っている妖怪を眺めていくと、また違った風景が見えてくるかもしれません。

さて、初回はこんな感じで終わります。
こんどはどんなお話になるのやら。

それでは、次の旅路で。



*出典の詳細明記等については、適宜記事の後に書き足していく予定です。
*各妖怪の特徴については、各地で違いがあります。ここでは、便宜上一般的に知られているだろうことを記述しています。

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