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ポケモンMV『GOTCHA!』の君と僕は、私と私だった。

2020年9月29日深夜、youtubeやtwitter、その他諸々の画面を駆け巡ったポケモンSpecial Music Video 「GOTCHA!」について。
作品全体を通じて歌われる”君と僕”は、今までゲーム内で捕まえてきた「ポケモン」と私、MV内に登場するオリジナルキャラクターの「男の子と女の子」であると同時に、「現実の私と、確かにそこにいるポケモンの世界の私」なのではないかという話。

以下、twitterで書き出した考察を元に連ねています。明日は普通に出勤の上、別件の原稿の締め切りが数日後に迫っているため、乱文ですがご容赦ください。入稿が済んだらきちんと連ねたい。

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ポケモン歴代シリーズが見事にまとめられた『GOTCHA!』は、“君と僕”に終始徹底的だ。MVオリジナルキャラクターの男/女の子は、終盤まで対面せず、同一、もしくは混ざるような演出が印象的だったけれど。歴代ポケモンシリーズを振り返る中で男/女主人公の対比が続くから、それと同列なのだろうと思っていたけど、違う。

君と僕は 現実の私と、確かにそこにいるポケモンの世界の私だ。

twitterで目にした感想の中に、MV冒頭の線路の上を歩く少年4人は、スタンドバイミーの一場面・・・・・・ポケモンのはじまりのゲームの中で、一番最初に主人公が見つめているテレビの中の世界だというツイートを見つけた。MVでは、この場面を冒頭に据えて、“モニターの向こうに映る人たちの映像”を繰り返し何度も、表現方法を変えつつ魅せたのち、歴代の主人公、ライバル、幼なじみ、主要人物の対峙する様子が続く。このひとたちの映像は、水の流れみたいに混ざって、画面の中と外の境界が曖昧になり、最後にオリジナルキャラクターの2人がやっと出会って、目を合わせて共に線路の先をゆく…

現実と仮想が混ざるポケモンGOのことも脳裏にちらつくけど、
何よりも今タイムラインを流れてくる、この映像を見ている人たちの感想を見ると確かなことが一つある。
みんなが一心同体となって旅した、ゲームの中の主人公は「私」だということ。これがGOTCHA!の君と僕なのではないかと思う。

『京騒戯画』で、平行世界である「絵の中」の世界の“鏡都”を、
『血界戦線』1期のEDで「舞台」という現代の画面に通じる「枠」を描き、
ロッテのバレンタインキャンペーンCM『ベイビーアイラブユーだぜ』では、広告やショーウィンドウという「画面」にまつわる演出が多用されていた。
以上のものは全て、今回のMVの監督を務めた松本理恵さんが監督した作品だ。
画面の外とその中の世界を印象的に描くことができる松本理恵監督にしか、“画面の外と中の私が出会う物語”でもある「GOTCHA!」は、作れない。

そして想像するに、監督のこのテーマに応えたBUMPの素晴らしい曲。キャラクターデザインの林祐己さん。作品を紡いだスタッフの皆様。ボンズ。最強の布陣の皆様、本当にありがとう。
これらは全部一個人の考察だけれど それはともかく本当に生きていて良かった。ありがとうポケモン。

「GOTCHA!」というタイトルについて。
英語の意味では、twitterで拝見したつぶやきによると、「捕まえた」、または「見つけた!」、「やった!」などの意味を含む言葉らしい。(時間が無い故、確証は得られていません。違っていたらごめんなさい)
私は英語に詳しくないので、母国語の角度から。
日本語でGOTCHA!の音を解釈するなら「ごちゃ」 つまりごちゃ混ぜなどの、混ぜる印象を受ける。ポケモン全シリーズも、ゲームの中と外の私も混ぜてしまう、そんなMVのタイトルがGOTCHA! 日本語と英語両方でこんなに意味を含んでいるなんて…世界に愛されるポケモンに相応しい。

ここまで書き上げて、もう一度MVを見返した。
終盤、明確に“画面の向こう”から私たちは見られていましたし、帽子が画面を越えて飛び出してきましたね。帽子と言えば、ずっとポケモンマスターを目指している彼のことを思い出してしまう。
画面を越えて頭に乗った帽子のつばを上げて、2人が初めて出会って話しているところでは、本当に私が主人公と話をしている気持ちになってしまった。そういえば2人、ニンテンドースイッチで印象的な色である、赤と青が所々にデザインされた姿をしていた。

ふたりを囲むきらきらとした四角い光は、松本監督の作品でよく見られる演出だったので、当たり前のように受け入れてしまっていたけれど。もしかしてあのきらきらした欠片は、モニターに映し出されたチャンピオン戦後の青空に振る紙吹雪であり、境界が曖昧になった「画面」の1ドット1ドットだったのかもしれない。

そしてラストについて。いかにも「画面」な向こう側から、ドットの目立つ人物がこちらに手を振り、モンスターボールを投げてきて、私たちは捕まえられてしまう。
その時、MV内で唯一、BUMP OF CHIKENの曲以外で流れる「GOTCHA!」の声。
あれはもしかして、「私とゲームの中の私」も通り越して、ポケモン(コンテンツ/制作者)に私(プレイヤー)が見つけられたことを表しているのかもしれない。
ああ嬉しいな こちらこそ 見つけてくれてありがとう。

(以上、twitterで書き連ねた考察より引用)
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最初は目のインパクトが強すぎたイーブイも、周回を重ねるごとに物凄く可愛らしく思えてきたし、冒頭で虫のように顔を登るピカチュウの動きも、かなり好きだ。

うちにはワンパチのぬいぐるみが3匹いるので、最後に登場してくれたのが本当に嬉しかった。となりで眠っている人は、もしかして最近ゲームから離れている、「休眠している」プレイヤーなのだろうか。
ワンパチに加え、キバナさんをはじめとした剣盾のメンバーを松本理恵監督の作品で目にできたのが、本当のことだなんて。いまだに信じられない。

文章を書くことにまつわるものを除けば、今年一番の私の成功体験は、間違いなくポケットモンスター・シールドで、イヌヌワンことワンパチとチャンピオンになったことなのだ。私の上に、MVラストできらきらと光り輝いていた、あの透明の紙吹雪が今も降り注いでいるなら。この上なく幸せだ。
この特別な思いを抱えている作品を、ずっと新作を心待ちにしていた、一番大好きな監督の作品として見ることができて、本当に嬉しくて仕方がない。
具体的には、締め切りの大変シビアな原稿の推敲をほっぽって、3分強の映像作品に、現時刻で3時間ほど、のめり込んでしまうくらい。


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