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妖怪に地獄とみどころ盛りだくさん!『地獄くらやみ花もなき』

今回はkayserが担当します。
主に漫画のレビューを書くWEBライターを細々とやらせていただいているkayserですが、その仕事柄、たくさんの漫画を読みます。そこで、最近気になってハマった作品が『地獄くらやみ花もなき』という漫画です。

もともとは、角川キャラクター小説大賞で読者賞、富士見ラノベ文芸大賞の審査員特別賞を同時受賞し作家デビューを果たした路生よるの同名小説が原作です。今回は、そんな『地獄くらやみ花もなき』を紹介します。

タイトルが秀逸!『地獄くらやみ花もなき』

漫画や小説の装丁をみて思わず手に取ってしまうことはよくあるのですが、今回の『地獄くらやみ花もなき』に関しては、このタイトルに一目惚れしてしまいました。なんて雅な響きなんでしょう。
加えて、漫画も小説も作中に登場する着流しの着た美少年・西條皓が表紙に。この雅なタイトルと美少年に惹かれ、すぐさま読み進めてしまった作品です。

ある日、ニートの青年・遠野青児が迷い込んだ洋館。そこには、白牡丹が描かれた着物に身を包んだ美少年・西條皓がいました。自身の持つ不思議な力が必要だというの誘いで、助手として働くことになる青児はその洋館で、罪人を地獄に送る「死の代行業」を担っていたのでした。罪人の罪を暴き、地獄へと送る皓と青児を描いた物語です。

タイトルを裏切らない物語は非常に面白く、妖怪だの地獄だの筆者の好みにピッタリな本作。そこに、ミステリー要素も加わり、鮮やかに推理を展開していくなど、1粒で何度美味しいことでしょう。

小説も漫画がそれぞれ既刊7巻。多くの書店員からも絶賛の秀作です。

その魅力とは!

『地獄くらやみ花もなき』の魅力といえば、最初に挙げられるのは、やはりキャラクターの面白さです。気弱なニート・遠野青児に、青児をペットのように扱い、死の代行者人でもある美少年・西條皓、皓の身の回りの世話をしている紅子、皓のライバル的な存在でもある「凛堂探偵社」の探偵・凛堂棘、皓の前に突如現れる小野篁などなど個性的な面々。それぞれの罪人も一癖も二癖もある曲者揃いとくれば、面白くなること間違いありません。

また、罪人が妖怪に見えるということもあり、広く知られている妖怪が登場してくるのも魅力のひとつ。これは、妖怪好きにはたまりません。

人間ドラマあり、ミステリーあり、逸話あり。これらの要素が程よいバランスで味わえるのが本作の魅力。

小説の挿絵を担当するアオジマイコ、漫画化を担当する藤堂流風のそれぞれが描く絵は非常に美しく、作品の世界観に合っています。これまた大事な魅力のひとつです。

妖怪や地獄が好きな日本人

『地獄くらやみ花もなき』には、妖怪も地獄も登場します。これが、作品世界を構築する上で大切な要素になっているわけですが、本作以外にも、これまでの創作物に多く取り上げられてきました。

現在人気の漫画、アニメなどでも何度も目にしていることでしょう。子どもから大人まで、多くの人たちが好きな世界観です。

日本各地には、昔からさまざまな逸話が存在しています。日本人には、馴染み深いものばかりです。こうした逸話や伝奇を大事にしている民族でもあります。

本作が多くの人に支持されている理由のひとつがそこにあるのではないでしょうか。罪人は地獄に堕ちる、語り継がれてきた有名な妖怪が登場するなど日本的な魅力に溢れています。

皓や紅子が着ている着物もとても美しく作品世界に彩を添えています。そういう意味でもぜひおすすめしたい作品のひとつです。

kayser

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