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6月24日公開オススメ映画『ザ・ロストシティ』『ベイビー・ブローカー』『アトランティス』

映画ライターの松 弥々子が、今週末、6月24日に公開されるオススメ映画3作品をご紹介します。ぜひ、映画館へのお出かけ前の参考にしてみてください。

ザ・ロストシティ

サンドラ・ブロックが製作・主演を務める映画『ザ・ロストシティ』は、パンデミックで室内に閉じこもっていた人々に“冒険の楽しさ”を味わわせてくれる、アドベンチャー・ムービー。
南の島で秘宝を追って、考古学者でもあるロマンス小説家、ロマンス小説のカバーモデル、大富豪のドラ息子、そして謎の傭兵たちが繰り広げる宝探しの模様が描かれています。

この作品、まず登場人物がみんな魅力的。サンドラ・ブロック演じる主人公のロマンス作家・ロレッタは、考古学者の夫を亡くし、失意の中に生きている女性。自身も考古学者だったものの、考古学の本は売れないため、考古学の要素にラブロマンスを盛り込んだアドベンチャー・ロマンス小説を執筆し、人気作家となったのです。
そんな彼女は、ダニエル・ラドクリフ演じる大富豪のドラ息子・フェアファックスに誘拐され、フェアファックスが手に入れた宝の地図を読み解いて、宝探しをすることになるのです。

そして彼女の相棒となるのが、チャニング・テイタム演じるカバーモデル・アラン。格好だけのウザい男かと思いきや、ロレッタを守ろうとする熱い男だったことがわかってきます。とは言え、ジャングルの中ではあまり役に立たなかったりもするのですが……。

スパンコールだらけのジャンプスーツを着てハイヒールをはいたサンドラ・ブロックと、見事な肉体にも関わらず頼りないチャニング・テイタムが繰り広げる逃避行と謎解き、まさに家を出て映画館のスクリーンでポップコーンを食べながら楽しみたいエンターテインメント作品の『ザ・ロストシティ』
ブラッド・ピットのぜいたくな使い方にも、思わず笑ってしまうはずです。

『ザ・ロストシティ』(112分/アメリカ/2022年)
原題:The Lost City
公開:2022年6月24日
配給:東和ピクチャーズ
劇場:全国にて
Official Website:https://thelostcity.jp
©2021 Paramount Pictures. All rights reserved.

ベイビー・ブローカー

第75回カンヌ国際映画祭でソン・ガンホが男優賞を受賞した是枝裕和監督の映画『ベイビー・ブローカー』
この作品は、「赤ちゃんポスト」に入れられた赤ちゃんとその生母、そして赤ちゃんを違法に仲介しようとする金銭目的のブローカーの物語です。

ある赤ちゃんを中心に集まった彼らは、その赤ちゃんの売り先を探すため、一緒に旅に出るのです。さらに、親に捨てられて養護施設で暮らす少年も仲間に加わり、まるで擬似家族のように韓国を旅していくのです。

これまでも、新聞の片隅に載っているような、決して悪人ではない人々が引き起こした、避けられなかった事件を映画化してきた是枝裕和監督。
本作では、“親ガチャ”に失敗した子どもたちが、幸せになろうとして葛藤する姿を描いています。

その犯罪を犯さずに済んでいるのは、偶然、親ガチャに成功したからだけ……。彼らを追っている刑事たちも、彼らが生きてきた背景を知るうちに、そのことに気付くのです。

是枝裕和監督は、「親ガチャに失敗したからって、あなたたちが生きていてはいけないわけじゃない。生まれてきてくれて、ありがとう」と作品を通して強いメッセージを贈っています。
彼らは、きっと日本にも、そして世界中にいるのでしょう。

『ベイビー・ブローカー』(130分/韓国/2022年)
原題:브로커
英題:Broker
公開:2022年6月24日
配給:ギャガ
劇場:TOHOシネマズ日比谷ほか全国にて
Official Website:https://gaga.ne.jp/babybroker/
©2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

アトランティス

今も戦争が続くウクライナ。
このウクライナで2019年に製作された映画が公開されます。

この『アトランティス』は、ロシアとの戦争が終結し、1年後の2025年を舞台としています。2014年にはすでにロシアとウクライナの間でウクライナ紛争は始まっており、ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督は、このウクライナ紛争下で映画を製作していたのです。この作品は2018年のマリウポリで撮影されたそう。

この映画『アトランティス』では、戦争終結後のウクライナを舞台に、PTSDを抱えた元兵士と、ボランティア団体の女性との交流を描いています。
劇中ではあまりセリフやナレーションはなく、彼らが戦死者の遺体を掘り起こして身元確認をしたり、戦争で荒廃した街を彷徨ったりする様が、淡々と長回しで映し出されています。

彼らが生きているのは、死や虚無に満ちた土地。水は汚染され、建物は破壊され、そこここに遺体が埋まっています。
そんな環境では、“生きている”というそのことだけでも奇跡なのです。

この作品の中には、赤外線カメラを使って登場人物たちを描き出すシーンが存在します。画面からは、生きている彼らの体温が伝わってきて、「生きている」ということが持つ深い意味が伝わってきます。
すべてを薙ぎ払い、破壊しつくす戦争という理不尽。その土地で「生きる」ということのすごさ、すさまじさを感じることができる、素晴らしいシーンでした。

『アトランティス』(108分/ウクライナ/2019年)
原題:Atlantis
公開:2022年6月25日
配給:アルバトロス・フィルム
劇場:シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開
Official Website:https://atlantis-reflection.com/
© Best Friend Forever


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