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天津チャーハンだけは許さない

一人で街を歩いて昼飯何食おうなんて思う時、安易で嬉しい選択が中華料理やないですか。

一人飯食うってなったら、入れる店って考えてまうやないですか。

自尊心が恐ろしく低いから尚更やねんけど、一人で飯食いに店に行くって所狭しと被害妄想が詰め込まれる空間なんすよ。


まずファミレスがギリアウトなんよな。

(4人がけを一人で使ってる…)ってまず入店直後から店員の目を気にせずにおられへんのよ。

んで周りに若い子が居ろうものなら、(友達おらん痛い奴ってレッテルを貼られてるかもしれない)って言う、闇のカモシレナイ運転を始めてしまう始末。

そんな時手を差し伸べてくれるのが、ファーストフードとラーメン屋ですよ。

ファーストフードは客の流れが速いから店側にそこまで気も使わんでいいしさ、客も大体スマホ以外のものを見てないから、こっちを気にするそぶりもないでしょ。

んでラーメン屋は、一人で来ることを想定して店が作られてるから、全然気を使う必要がない。

その双頭に肩を並べようとしてる存在が、「中華料理屋」やと思うんすよね。

普通の飲食店みたいに大きいテーブルがあるにも関わらず、サラリーマンが一人で押しかけてくるからってカウンター席まで設けさせて、店側にも一人客を重視せざるを得ない状況をつくりだした、戦いの末の桃源郷が中華料理屋ですわ。

せやから俺も、先人に感謝しながらよく昼飯に一人で中華料理屋に行くんやけどさ、行くと毎回天津飯・チャーハン問題に苛まれるんすよ。


餃子は確定なんよな。

腹減ってたらラーメンもつけようかなってところも、だいたい決まってますよ。

じゃあコメをどうするかってなった時に、大抵、天津飯も食べたいしチャーハンも食べたいんすよ。

白米に卵をふわっと被せて熱々の甘辛餡をかけた天津飯。

コメを油でコーティングして香ばしく焼きあげてパンチがあるチャーハン。

どっちも違った良さを持ってるのに、ご飯を使ってるから両方食べるのはしんどい、生まれながらにしてジレンマを抱えた存在のふたつに、毎回メニュー表の前で悩まされるわけなんよな。

でも最近、その二つを合わせた天津チャーハンってあるでしょ。

ご飯の代わりにチャーハンを使って、卵を被せて甘辛餡をかけてある、美味しいものと美味しいものを足した存在でございますよ。

ほんまこの一年間で一番大きな声で俺はこれを叫びたい。



天津チャーハンは、天津飯とチャーハンを食べた事にはならんのよ。

俺は天津飯を食べたいし、チャーハンを食べたいんよ。




天津チャーハンを食べたいなんて思ったことは一度もないし、天津チャーハンを食べて両方を食べた気なんてせぇへんからな。

パンもご飯も食べたい気分やからって、パンにおにぎり挟んで食べようとおもわんやろう。

一緒に食べたら別の食べ物なんよ。

別皿でおかんと意味がないんよ。

「いやwそんな怒らんでも食べんかったらええだけやんw」

違うんすよ。

天津チャーハンを作ったってことは、天津飯とチャーハンを両方食いたいって人が多いことがわかってるんやろ?



そこまでわかって何故できない!!!!

ミニ天津飯とチャーハンのセットを作れ。



子供の頃に先生とかに言われたやろ?

嫌いで怒ってるんじゃない、出来る子だから良くなってほしくて怒ってる」つって。

俺は中華料理屋わかってるのにやらないから怒ってるんすよ。

その需要がわかっていて何故作らない。

大体「天津チャーハンは天津飯、チャーハンを食ったことにならない」とわかっていながら、天津チャーハンに心をくすぐられる俺自身も悔しいんやすよ。

「うまいもん+うまいもん?絶対うまいやんwwww」って思ってしまう俺が悔しいんすよね。



誰がなんと言おうと、俺は天津チャーハンだけは絶対に許しません。

今日も俺は天津飯とチャーハンの誘惑に悶絶しながら、天津チャーハンが差し出す手を振り切って、餃子をほうばるのでありました。

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