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友達がやってるカフェに行きたい

うちには、すべてのバラエティを録画する魔改造を施されたレコーダー、通称お笑いキモオタデータベースが設置されている。24時間365日「バラエティ」とジャンル分けされている物をとにかくすべて録画し続けている、悲しきお笑いモンスターである。

唯一の不満が、バラエティを全録画する癖に、賞レースを録画し忘れやがることだ。ケンミンショーなんて取らなくていいから、R-1を録画しろよ、といつも思う。

そんなちょっとバカなうちのレコーダーなのだが、録画されていた今朝のラヴィットを見ていると、少し変わった店が紹介されていた。

それが「友達がやってるカフェ」という店だった。



名前の通り、このカフェは友達のバイト先に遊びに行ったような気分になれるというのがコンセプト。「お~いらっしゃい。来てくれたんだ」と手を振りながら出迎えられたり、あたかも友達化のようにふるまってくれるのだという。

それを見て僕は、衝撃を受けた。なんだこの店は。めっちゃ行きたいやないか。と。

こんなの、設定を思いついた時点で勝っている。友達がやっているカフェというコンセプトだけで、どんなものが出てきたとしても、もう面白いことが確定しているサービスなのである。

なによりここに関して、シンプルに楽しみたい気持ちはある。ただ僕としては、この店がどこまで「友達バイト先」感を、忠実に再現しているかを、楽しみに行ってみたいのである。

ため口や設定といった、店側が用意してくれた「友達感」というのは、シンプルに楽しむという意味で、味わってみたい。メニューも、「大変そうだから、すぐ出せるので大丈夫だよ(ドリップコーヒー)」といった、友達に話すように注文ができるようになっているようで、そういったところも設定を楽しめる部分であると思う。

ただ僕が期待するのは、ここから先だ。まず味わいたいのは、ちょっと気まずい感じである。

「友達のバイト先」というからには、僕は友達がやってるカフェがあると知って、わざわざその店に向かっているという大前提がある。問題は、ここに来店する人がすべてその大前提の上で入店している事である。いいかえると、既にバイトしている友達の、友達が店にいる状態なのだ。

こんなの、気まずいに決まってるではないか。バイトしている友達目当てに店に行ったのに、その店に別の友達が先にいるのである。「うわぁ…今日来るんじゃなかった…」と一瞬思うのは絶対だろう。

加えてその一瞬のきまずさを乗り越えたとしても、今度は次に入ってくるのもバイトしている友達の友達なのである。僕が来た理由である、バイトしている友達は、別の友達の接客が必要な状況になる。こんなの、気まずい以外の何物でもない。

でも僕は、その気まずい感じも含めて、友達のバイト先に行く醍醐味だと思うのだ。こっちも、友達のバイト先というアウェイに飛び込んで少し緊張している中で、気まずくなってしまうというハプニングも、僕は友達のバイト先の楽しい部分だと思うのだ。

あとは、店長が帰ってきてピリつく感じとかも味わいたい。恐らくため口で接客してる時点で、バイトだけで回してる時間だろう。だったら、さっきまでため口でしゃべってたのに、店長が帰ってきて「ごゆっくりどうぞ!」って言いながらキッチンに戻っていくあの感じも楽しみたいわけである。何なら、「サービスでお茶菓子付けとく…やっべ!!店長帰ってきた!!!すぐ食ってくれ!!!」っていうあの感じ。修学旅行の夜にもにた、あの妙なスリリングな感じも、楽しんでみたいものだ。


考えれば考えるほど、想像が膨らむ「友達がやってるカフェ」。僕の妄想が一つも再現されていなかったとしても、普通に設定だけでも楽しめそうな、コンセプトだけで大勝利の面白そうなカフェである。

次東京に行く機会があれば、一人で一度行ってみたいと思う。

友達が居ないやつって周りに思われる、謎のジレンマを浴びる事にはなるだろうけど。

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