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M-1決勝を予習しよう

M-1グランプリ決勝進出者発表されました。

準々決勝でアキナが落ちてしまったり、準決勝では優勝候補だった見取り図がまさかの落選という事態が起きたり、今年もなかなか波乱の展開が予想される大会でございます。既に、漫才か漫才じゃないか論争が去年の比じゃなく行われるのではないかという人がいるほど、今年の決勝進出者はなかなかの曲者ぞろいでございます。

そんな今年のM-1グランプリですが、お笑いをあまり見ない方からすると、よくわからないコンビ多いのではないでしょうか。

そこで本日は、M-1決勝進出を果たした9組全ての紹介を、3回戦動画とともに、記事にしたいと思います。

M-1決勝を楽しむパドックとして、ご活用いただければ幸いです。


1.もも

「せめる」顔が「まもる」で、「まもる」顔が「せめる」でおなじみの若手お笑いコンビ、ももでございます。

関西では、土曜日の若手の登竜門番組、せやねんにも出演していて、テレビで見る機会も増えてきた、関西で勢いのある漫才師でございます。

彼らの漫才といえば、「○○顔」で展開する「顔漫才」でございます。パッとしないオタク顔せめる田舎のヤンキー顔まもるの、容姿を互いにいじりまくるっていうシステムの漫才なんですね。

このシステム、文字にすると単調に見えますが、これを漫才として一本のネタにできるのがもものすごいところなんですね。ボケ顔いじり一貫しているにもかかわらず、展開があってずっと面白いんですよ。

システムのしっかりした顔漫才。

見たことない方は、是非見ていただきたいコンビでございます。


2.真空ジェシカ

大学のお笑いサークルからプロになった、人力舎所属の漫才コンビ、真空ジェシカでございます。

彼らの漫才の特徴といえば、とにかく大喜利が強いんですよ。漫才中に出てくる、ひとボケひとボケの大喜利パンチ力尋常じゃないんですね。

そして大喜利の強さに、漫才の展開が乗って、さらに癖のあるツッコミ独特な空気感を持つボケが加わることで、とてつもない爆発力になるんですよ。貫禄やフレッシュさなんかの既存の概念とは違う、真空ジェシカの空気感とりこにさせられてしまう漫才なんですよね。

1回戦のTOP3のネタでもとてつもないネタを披露していて、決勝でも活躍が期待できるコンビでございます。

是非事前にチェックをして、この空気感の沼ハマっていただきたいと思う一組でございます。


3.モグライダー

今年の決勝進出者の中で、一番のダークホースじゃないでしょうか。マセキ所属の漫才師、モグライダーでございます。

モグライダーの決勝進出は、個人的に一番意外だったんですよ。というのもこのコンビの売りが「できない」だからなんですよね。

彼らの漫才はボケのともしげが色んなことに失敗して、それを芝がアドリブのテイストでツッコむっていうのがスタイルなんですね。ただこの「できない」が、本当の意味で「できない」なんですよ。ネタ番組でネタを飛ばしたり、展開がグチャグチャになって終わったり、想定通りの事が「できない」んですよね。

そしてこの「できない」というスタイルは、賞レース不向きというのは言うまでもありません。特に伏線回収の様な高度な展開がウケる今のお笑いの中で、どうなるかわからない博打の様なスタイルは、なかなか勝ち上がれないだろうと勝手に思っていたんですよ。だからこそ、このコンビの決勝進出は意外だったんですよね。

ただ、三回戦のネタを見てもらっても分かりますが、今年はかなりノッています

知らないという方も、一度予習がてらに見ていただきたいコンビでございます。


4.オズワルド

今年のM-1の中で数少ない正統派枠、決勝常連のオズワルドでございます。

オズワルドについては過去何度か記事を書いていますが、今年はABCお笑いグランプリの優勝もあって、波に乗っているコンビでございます。

オズワルドの為に劇場に足を運んだりするほど、個人的にめちゃくちゃ好きなコンビでございます。

波乱が予想される決勝で今年こそは優勝してほしい、期待のふたりでございます。


5.ランジャタイ

去年のM-1敗者復活で、大スベリしたことで逆に有名になったお笑いコンビ、ランジャタイでございます。

ランジャタイは3年前くらいから、結構推してるコンビなんですけど、去年のM-1をお笑い好きの友達と一緒に観戦していたとき、「欽ちゃんや!!最高や!!」と俺が笑う度部屋が静まり返るという、スベリの又貸しをされたのを今でも覚えております。

ただ紹介が難しいのがランジャタイでして、ランジャタイは何が面白いとか言うところに居ないコンビなんですよね。

どうやったら思いつくのかわからないトリッキーすぎる設定、どうしてこれが笑いにつながるのかわからないボケ、ツッコんでいるのかいないのかわからないツッコミなど、全然枠にはまっていないコンビなんですよ。

でも私は、見てるとなんか笑ってしまいます

これを面白いと思うのかどうか、みなさんも好きか嫌いか確かめに、一度動画を見てみてもらいたいと願っております。


6.インディアンス

怒涛のボケ倒し漫才を披露する決勝常連コンビ、インディアンスでございます。

テレビでもちょこちょこ見るようになってきて、今年の決勝進出者の中ではかなり有名な部類かと思いますが、インディアンスの漫才は気持ちのいい漫才だなぁと思うんですよ。

というのも、ボケの乱発ツッコミが振り回されるっていう、漫才の王道ど真ん中を突き進んでいるにもかかわらず、古臭くなく面白いじゃないですか。加えて、ひとつの大きなボケ枝分かれするようにボケを詰め込んでいて、連鎖するようにずーっと笑えるって、本当にすごいと思うんですよ。ボケとツッコミの熱量ワードセンス動き、舞台の二人の一挙手一投足全てがハマらないとこの空気感は出ない訳ですからね。

見たことあるという方も多いと思いますが、三回戦のネタもめちゃくちゃ仕上がっております。

是非予習がてら、動画を見ていただきたいと思う一組です。


7.ゆにばーす

M-1に命をかける川瀬名人と原ちゃんのコンビ、ゆにばーすでございます。

今回の決勝進出者の中では正統派枠になるのかと思いますが、ゆにばーすのネタってなかなかにぶっ飛んだ設定ボケが多くてですね、大好きがゆえに受け入れられるのか少し心配になってしまうコンビでもあります。

とりわけこの三回戦のネタも、まぁーぶっ飛んだネタなんですよ。どこかの団体に怒られたりしないのか、勝手に心配になってしまう位トリッキーなネタでしてね。正統派なのに、トリッキーという、なんとも不思議な感じのコンビでございます。

ただ三回戦の動画を見ると、見ている自分も一緒に叩かれるんだろうなと思うほど、笑っていたのは言うまでもありません

ぶっ飛んだ設定笑いに変えられる話術感服する最強漫才を、皆さんも是非チェックしてみてください。


8.錦鯉

今年ブレイクした若手おじさんSMA所属の錦鯉でございます。

本当にいつネタを作ってるのかわからないくらい多忙な二人ですが、私が今年注目してるのはツッコミの渡辺さんなんですよ。渡辺さんが今年どういうスタイルのネタを持ってきたのかが、個人的な注目ポイントなんですよね。

というのも去年M-1決勝で披露した、CRまさのりのネタなんかは、結構渡辺さんの動きがあるネタだったと思うんですよ。この三回戦のネタを見てもらっても分かりますが、基本的に渡辺さんってその場でドツいてツッコむスタイルが多いんですけど、そんな中で動きがあるネタだったってのがすごい好きだったんですよね。

もちろん、去年のレーズンパンの様に、どんなキラーワードが飛び出すのかにも注目しています。

どんなスタイルの漫才をするのか、どんなキラーワードが飛び出すのか。とにかく楽しみなコンビでございます。


9.ロングコートダディ

独特の空気感を持ったセンスの光る若手芸人、最後に紹介するのはロングコートダディでございます。

ロングコートダディに関しては、ランジャタイほどぶっ飛んではいませんが、人を選ぶコンビじゃないかなと思っています。妄想の様な設定やボケの中で、ツッコミなのか共感かわからない合いの手が入る、漫才という形からすると、少しズレたコンビでございます。

ただ見れば見るほど、ロングコートダディの世界観って没入しちゃうんですよね。ぬるっとした空気の中で、ボケが違和感として広がるんですけど、それをツッコミで強く制するわけではなく、立ち話しているように展開するのが、妙に心地いいんですよね。

この空気が受けて、勢いよく優勝まで突き進むことができるのか

みなさんの感性としてウけるかどうかは、皆さん自身の目で見ていただきたいと思います。


M-1は「売れるきっかけ」と「やめるきっかけ」を作る大会

M-1グランプリは島田紳助により2001年に作られましたが、紳助の思いとして「漫才への感謝・恩返し」ともう一つあったことを皆様ご存じでしょうか。

それは、「漫才師が辞めるきっかけを作る」と言う事です。

どこで売れるかも分からない不安定な芸人という職業の中で、売れるきっかけと、辞めるきっかけという、光と闇の両方をM-1グランプリという大会は理念として掲げております。だからこそ、M-1という大会は大きくなり、芸人さんたちも命がけて優勝を目指している訳でございます。ただただ人の目を引く為の賞レースではないからこそ、お笑い最大の大会と呼ばれるようになったのだと思います。

そんな全芸人の思い入れの詰まったお笑いの祭典を、皆様も是非笑いながら楽しんでいただきたいと切に願っております。

光と闇の光を掴む芸人になるのか。

12月19日楽しみで仕方がない今日この頃でございます。


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