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私がいっぱいいるもんだから

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詩たち
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2015年2月の記事一覧

運ばれる先も

あんなに高く伸ばしてどうするんだろうと、運ばれる先も分からない電車の中で、図々しく窓を占…

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蛇が丸くなって私の前に居た。ぐるぐる同じことを繰り返す私に向かって「いつかお前はへびにな…

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《#10秒で書く詩》まとめ 3

twitter ハッシュタグをまとめました ________ 2/13 裏切って逃げてしまったの、と…

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かさねてみるね

白いベッドに繫がれているおばちゃん、汚いものも全部その上でするようになったあなたに、長崎…

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とうきようのボーイ

最近緑色の猫の形をしたぬいぐるみと一緒に寝ます。だいたいトタンの屋根に冬やら生活やらが降…

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あるのかなあ

今私の中に言葉はない。四五日眠って母の足元で丸くなっていたから、空っぽになってしまった。…

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とけていく

お盆の時期に帰る赤い電車には 真っ黒に日焼けした子供が 五十人乗っていて 皆一様に体より大きい ボストンバッグをさげている 電車は普段より揺れながら 東京から真っ直ぐ逃げている 後ろに続いているのは 真っ直ぐ伸びる死だ 鉄橋を囲むように整列する マンションたちは 同じような仄かな灯りを 同じように身体につけて 同じ瞳でこちらを見ている あの中に暮らす人々の生活は 東京との境界上で ゆらいでいる 鉄塔へと疾走する赤い電車で 五十人の子供達は 次第に溶けて行く 速さに